サードパーティクッキーの廃止 (3PCD)とはなにか、次に何ができるのか?
2024年06月11日

(こちらをクリックすると英語版をご覧いただけます。)

Google Chromeが2025年初頭までにサードパーティクッキーを段階的に廃止する (3rd-party Cookie Deprecation) と発表したことで、サードパーティクッキー廃止の動きが進んでいます。Google Adsのような主要なメディアプラットフォームは、リターゲティングのため、サードパーティクッキーに大きく依存しています。今回の記事では、主要なブラウザがどのような対策を講じているのか、そして私たちデジタルマーケターが次に何をすべきかについて解説します。

Cookie (クッキー) の基本的な概念については、こちらの記事で解説しています。

背景

2018年と2020年に、それぞれGDPR(EU一般データ保護規則)とCPRA(カリフォルニア州プライバシー権法)が導入されました。これらの法律は、人々が自分の個人データやその利用方法をよりコントロールできるようにし、個人情報へのアクセス、削除、および販売のオプトアウト(Opt-out)の権利を含んでいます。

GDPRとCPRAのどちらも、トラッキング方法の制限とデータ処理の透明性向上に力を入れています。これらの規制は、ユーザーの同意なしに、企業がユーザーの行動をクロスサイトで追跡することを防ぐためのものです。

その結果、これらのプライバシー法は、世界中の主要なブラウザに対して、メディアリターゲティングにおいて一般的に使用されるサードパーティクッキーの段階的廃止を促しています。

主要ブラウザの対応策

前回の記事で述べたように、サードパーティクッキーは主にメディアプラットフォームによって、ユーザーを異なるウェブサイト間でリターゲティングするために使用されています。これにより、よりパーソナライズされた広告が可能になりますが、重大なプライバシーの懸念が指摘されています。

これに対し、Google Chrome、Mozilla Firefox、Apple Safariなどの主要ブラウザは、サードパーティクッキーを段階的に制限または廃止する計画を発表しました*。この措置は、ユーザーが自分のデータに対してより多くのコントロールを持てるようにし、知らないうちに行われるクロスサイトトラッキングを減少させることを目的としています。

*備考: Apple Safariは2020年にリリースされたSafari 13.1で、全てのサードパーティクッキーを完全にブロックするようになりました。一方、Mozilla Firefoxは2019年にリリースされたFirefox 69で、強化型トラッキング防止(ETP)を導入し、既知のサードパーティトラッキングクッキーをプライベートブラウジングと標準ブラウジングの両方でデフォルトでブロックするようになりました。

Google Chromeがどのようにサードパーティクッキーを廃止するかの詳細については、こちらをご覧ください。

サードパーティクッキーの廃止は、オンラインプライバシー保護を強化する広範な動きの一環です。これは一部のデジタルマーケティングの手法に影響を与えるかもしれませんが、多くの人々は、より倫理的で透明性の高いインターネットエコシステムに向けた必要な一歩と見なしています。

私たちデジタルマーケターが次にできることは?

Cookie同意管理バナー

ウェブサイトでCookieを使用する前に、明確な同意を得ることが重要です。そのため本記事では、ユーザーがCookieの設定を管理できる、シンプルで使いやすいCookie同意管理システムの導入を推奨しています。これにより透明性が示され、GDPRやCPRAなどのプライバシー法に準拠することができます。

以下の2段階のCookie同意管理バナーを例にご紹介します:

  • レベル1:すべてのCookieを受け入れるか拒否するかをユーザーに選ばせる。
  • レベル2:Cookieの機能に応じて、ユーザーにCookieの設定をカスタマイズさせる。

(Cookieの機能は大きく分けて3種類あります:分析、ターゲティング広告、ウェブサイト機能です。)

すべてのCookieを拒否すると、頻繁なログイン操作などの不便が生じることがありますが、このカスタマイズ可能なバナーは、ユーザーがどのCookieを許可するかを決定できるようにし、プライバシーと機能性のバランスを取ることができます。

サーバーサイドトラッキング

サードパーティクッキーの代替として、サーバーサイドトラッキングがおすすめです。この方法は、サードパーティクッキーを使用する代わりに、ウェブサイトのサーバー上でユーザーデータを処理するものです。これにより、データガバナンスが強化され、プライバシーが向上し、ブラウザのCookie制限を回避できます(サーバーサイドトラッキングはファーストパーティクッキーデータを使用します)。ただし、技術的な専門知識や既存のトラッキング設定の調整が必要になる場合があります。

その他の代替策

サーバーサイドトラッキング以外にも、以下のようなプライバシー保護に適した代替策があります:

  • TopicAPI
  • コンテクスチュアル広告

これらのアプローチを組み合わせて、サードパーティクッキーがない未来に向けてデジタルマーケティング戦略を適応させ、ユーザープライバシーと同意を優先しましょう。この移行には、持続可能なソリューションを開発するための業界全体での協力が必要です。

最後に

これまでの数年間、主要なメディアプラットフォームはターゲティング広告のためにサードパーティクッキーに大きく依存してきました。このアプローチはユーザー間で信頼の問題を引き起こし、Cookieに対する悪いイメージを広める結果となりましたが、それでもCookieは主にブラウジング体験を向上させる役割を果たしてきました。

サードパーティクッキーの廃止に伴い、デジタルマーケターはターゲティング広告のために迅速に代替手段へ移行する必要があります。そして、この移行はユーザーのプライバシーを尊重し、より安全でなければなりません。

ビジネスは相互の尊重によって成り立っています。ユーザーを尊重し、企業の可能性を拡げていきましょう。

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この記事を書いた人
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プン ジャスパー(Jasper Poon)
ソリューションコンサルタント
兼 事業推進担当
香港出身で、デジタルプロジェクト管理、データ収集(GA経由)、可視化(Power BI/GLS経由)における確かな専門知識を持っています。デジタルの世界では、一つのプラットフォームだけでは全ての課題に対処できないという考えを強く持っています。GMP製品に加えて、Google Cloudや他のUX分析ツールにも情熱を注いでいます。趣味は猫、水泳、サッカーです。
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