GA4のレポートで唯一「セグメント」が使えるデータ探索ツール(以降、探索レポートと呼びます)。
標準レポート、カスタムレポートやLooker Studioはセグメントが利用できないことを考えると、探索レポートの利用機会は増えます。業務要件を満たす複雑な複数のクロス集計、グループ集計(例えば、商品ページ全体のユーザー数はセグメント利用しないと集計ができない)は探索レポートの利用が必要不可欠になります。探索レポートを活用していく際の注意点として、利用できる各上限について解説します。
レポート機能 | 分ける機能 | 特徴 | 特徴 | アーカイブ(保存) |
標準レポート | 比較フィルター 検索フィルター | ・管理的なよく見るレポート ・レポートの保存機能(ライブラリー) ・セカンダリーディメンションを利用したクロス集計 | CSV | シェアリンク ライブライリー |
探索レポート | セグメント フィルター | ・詳細な分析(複数のディメンション、指標の利用) ・レポート自動保存 ・レポート手法が複数ある ・期間設定が別途必要 | Google Sheets TSV CSV | 自動アーカイブ |
Data API | フィルター | ・GAS、Pythonなどプログラム言語の知識と実行環境が必要 ・ディメンションをグループ化しユーザー数、セッション数の集計は不可 ・1日、時間あたりのAPIトークン数の制限がある | レポート環境毎に自由 | レポート環境毎に自由 |
Looker Studio | フィルター | ・表示内容、レイアウトなどの自由度が高い ・DataAPIを利用しているため、APIトークン数の制限を受ける | Google Sheets CSV Excel | アーカイブされる |
プロパティあたりの上限
- ユーザーあたり200レポート作成できます
- 共有できるレポートは500レポート
複数アカウントで1つのプロパティを利用しており、プロパティ全体で共有できる数に上限がある。A君200レポート作りすべて共有。B君も同じの場合、C君は100レポートしか共有できない
- 探索レポート毎に適用できるセグメントは10個
しかし個々の探索レポートに1度に適用できるセグメント数は4個まで
セグメントデータが100万行を超えるとサンプリングされます - タブ毎に適用できるフィルターは10個
- 探索レポートに追加できるタブは10個
サンプリングとデータしきい値
サンプリング、またはデータのしきい値が適用された場合、「右上のアイコンが緑色から黄色」に変わります。
- 標準版GA4では、1,000万件を超えるイベント(360版GA4の場合は10億件)が使用された場合、サンプリングが用いられます。
- ユーザプライバシー保護の観点によりデータしきい値の影響は受ける
- 探索レポートは(other) 行の表示は発生しない
非対応のリクエスト
探索レポートに、対応していないディメンジョン、指標または両方の組み合わせが含まれるている場合、非対応のリクエストアイコンが表示され、レポートが表示されません。
サンプリングレポートの速度と精度の調整
360版GA4のみで利用できる機能です。探索レポートでサンプリングされたレポートが表示された場合に、データ品質アイコンから、探索レポートの集計スピードと精度を調整できます。
- 精度の高い結果: 最大限のサンプルサイズ(10 億イベント程度)を使用して、データセットの全容を正確に反映した結果が得られます。
- 迅速な結果: より小規模なサンプルサイズ(1 億イベント)を使用して、速やかに結果が得られます。デフォルトでは、このオプションが選択されています。
「迅速な結果」から「精度の高い結果」に切り替えると、最大10億件のイベントを利用した集計が実行されます。この結果、非サンプリングレポート(利用可能なデータの100.0%に基づいたレポート)になることがあります。精度の高い結果オプションを選択してもサンプリングレポートが表示される場合は、非サンプリングレポートをリクエストできます(後述)。
非サンプリング データ探索リクエスト(ベータ版)
360版GA4のみで利用できる、非サンプリングデータリクエスト機能です。最大500億件のイベントを含むデータ探索が可能です。360版GA4の場合は10億件以上のデータを集計しに行くとサンプリングがかかります。レポート精度を高めるために利用します。
利用条件は
- 360版GA4の機能となります
- 10億件を超えるイベントが返される場合のみ利用できます(360版GA4は標準で10億件の非サンプリングレポートを返します)
- 探索サポートにおいて、サンプリングされたレポートが表示されている時
- プロパティ毎にリクエストできる集計対象のイベント数上限は1日当たり500億件
- ユーザーライフタイムの手法レポートでは、非サンプリングレポートは利用できません
非サンプリングレポートをリクエストすると、Universalアナリティクスでは、非サンプリングレポートのダウンロード画面へ誘導されますが、探索レポートの結果が非サンプリングレポートになります。集計時間は扱うデータ件数に依存します。
データの保持期間
データの保持期間の設定は、GA4において、標準レポート、カスタムレポートには影響しません。しかし探索レポートと目標到達プロセスレポートに影響します。保持期間も360版GA4と標準版GA4で最長期間が異なりますので、探索レポートで長い期間集計を行う業務要件がある場合は、360版GA4の利用を検討しましょう。
おわりに
サービス全体の把握は、標準レポートを利用することで満たすことができますが、各施策、サービス毎の評価、分析は、探索レポートやBigQueryによる集計が必要になってきます。またセグメントを作成する際に、セグメントビルダーが利用できますが、Universalアナリティクスのように作成したセグメントを保存し一覧から再利用することができません。もしセグメントの再利用を行いたい場合は、セグメントが含まれる探索レポートをコピーしてレポートを作り始めると、探索レポート内のセグメントを利用できます。
また、サンプリングの条件が、標準版GA4では1,000万件に対して、360版GA4では10億件となっております。360版GA4は、非サンプリングレポートへのリクエストもできます。分析業務上、サンプリングの影響が出てきた場合は360版GA4の利用を検討しましょう。