セグメントの重複でウェブとアプリの重複ユーザーを集計する
2023年01月16日

スマートフォンの普及により、ユーザーはウェブもアプリも意識せず、どちらのプラットフォームも利用するケースが増えています。

従来のアナリティクスであるユニバーサルアナリティクス(以下、UA)では、ウェブとアプリを統合した集計はできませんでした。

ですが、新しいGAであるGoogle アナリティクス4プロパティ(以下、GA4)はアプリのデータ(ストリーム)とウェブのデータ(ストリーム)を同一のプロパティで扱えるため、これらのデータを同じテーブルの上で集計することが可能になりました。

この記事では、「セグメントの重複」について解説し、その中でもウェブとアプリの横断ユーザーの集計についての解説もします。

  1. GA4のセグメントの重複とは
  2. GA4のセグメントの重複の使い方
    1. セグメントを作る
    2. セグメントを組み合わせる
  3. ウェブとアプリの横断ユーザーの集計
    1. ウェブとアプリの横断ユーザーの条件
    2. ユーザーIDの計測
    3. その他のユーザーの識別子
    4. User IDなどの識別子を適用する
    5. ウェブとアプリの横断ユーザーを集計してみよう
  4. まとめ

1. GA4のセグメントの重複とは

セグメントの重複とは、いわゆる円と円が重なることでデータを可視化する「ベン図」をイメージするとわかりやすいでしょう。

ユーザーやセッション、イベントをグルーピングするセグメントを作成し、そのセグメントの表す円が重なる範囲を見ることにより、データの分布を視覚化することが可能です。

GA4では最大3つのセグメントを比較することができ、比較したものから新しいセグメントを再度作成したり、オーディエンス(ユーザーリスト)にしたりすることが可能です。

例:場所、性別、年齢層でのセグメントの重複

2. GA4のセグメントの重複の使い方

2-1. セグメントを作る

GA4ではセグメントは「探索レポート」から作成します。

1. 左カラムから「探索」を選択


2. 「>」を押し、「セグメントの重複」を選択(「空白」やその他のレポートから入り、「タブの設定」の「手法」から切り替えも可能)


3. 「変数」のセグメントの「+」を選択


4. 「セグメントの新規作成」から作成したスコープのセグメントやおすすめのセグメントから選択


5. セグメント名、セグメント条件を設定し、保存

2-2. セグメントを組み合わせる

6. セグメントを作成したら組み合わせて表示します。セグメントを設定し、「タブの比較」の「セグメントの比較」に3つまで設定すると右のエリアに可視化される
※このとき、「タブの設定」の「手法」が「セグメントの重複」であることを確認

※探索レポートについては以下の弊社コラムも参照

参照:「 [GA4] Google アナリティクス4 データ探索レポートの解説

3. ウェブとアプリの横断ユーザーの集計

GA4ではウェブとアプリの計測データを同じプロパティで扱うことができるようになり、重複したユーザーを集計することができるようになりました。

とはいえ、ウェブとアプリという異なるプラットフォーム上のユーザーを、同一ユーザーとして集計するには条件があります。

3-1. ウェブとアプリの横断ユーザーの条件

ユーザーを繋ぐための条件として、

・ウェブとアプリの計測を同じプロパティに統合する必要がある

・同じユーザー識別子でウェブとアプリを計測する

の2つとなります。

3-2. ユーザーIDの計測

上述の通り、それぞれのプラットフォームに来たユーザーは同一のユーザー識別子で計測する必要があります。

そのため、多くのケースでは、ログイン時などにUserIDを計測し、それを別プラットフォームでも計測することで、ユーザーの照合を行い同一ユーザーとしてつなぎます。

3-3. その他のユーザーの識別子

GA4では、ユーザーを繋ぐために利用できる識別子が3つあります。

①User ID
サイトとアプリ両方に実装が必要。ログイン時にIDをユーザーへ付与して計測することでクロスプラットフォームの識別が可能になります。

②Google シグナル
「Googleシグナル」をオンにすることで利用が可能です。 個々のデータに関するデータは表示されませんが、UserIDが設定されていない場合でも「広告のカスタマイズ」をオンにしている Google ユーザーの集計データが含まれるようになります。
※GoogleシグナルのIDや情報はBQ上にエクスポートされません。

③Device ID
Device ID = ウェブはCookie ID / アプリ のインスタンスIDを利用して計測します。

Googleシグナルに関しては、コントロールすることができないものとなるため、基本的には「User ID」を実装することになります。

参考:Googleヘルプ「 [GA4] レポート用識別子

3-4. User IDなどの識別子を適用する

User IDを実装したら、レポートに反映してみましょう。
設定 > レポート用識別子 が「ハイブリッド」または「計測データ」となっていればOKです。
(デフォルトはハイブリッド)

3-5. ウェブとアプリの横断ユーザーを集計してみよう

User IDを実装したら「セグメントを作る」を参考にレポートを作成してみましょう。
ユーザーセグメントでプラットフォーム > データストリーム とし、集計条件はそれぞれのデータストリームを選択します。

指標にアクティブユーザー等を設定すれば、データストリーム(各アプリとウェブ)ごとのユーザーの重なりが可視化され、下にはそれぞれの指標が表となります。

以下はウェブサイトと2つのアプリの重複ユーザーを可視化したレポートです。

※弊社事例より抜粋
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様事例
Google アナリティクス 4 プロパティ導入支援 モバイルアプリケーション&ウェブサイト統合計測事例

4. まとめ

GA4になりウェブとアプリの重複ユーザーを(User ID等の実装は必要ですが)簡単に集計することができるようになりました。

セグメントは集計における基本ですが、重複状況を確認することで分析のきっかけとなるケースもありますので、是非活用してみてください。