スマートフォンの普及により、ユーザーはウェブもアプリも意識せず、どちらのプラットフォームも利用するケースが増えています。
従来のアナリティクスであるユニバーサルアナリティクス(以下、UA)では、ウェブとアプリを統合した集計はできませんでした。
ですが、新しいGAであるGoogle アナリティクス4プロパティ(以下、GA4)はアプリのデータ(ストリーム)とウェブのデータ(ストリーム)を同一のプロパティで扱えるため、これらのデータを同じテーブルの上で集計することが可能になりました。
この記事では、「セグメントの重複」について解説し、その中でもウェブとアプリの横断ユーザーの集計についての解説もします。
1. GA4のセグメントの重複とは
セグメントの重複とは、いわゆる円と円が重なることでデータを可視化する「ベン図」をイメージするとわかりやすいでしょう。
ユーザーやセッション、イベントをグルーピングするセグメントを作成し、そのセグメントの表す円が重なる範囲を見ることにより、データの分布を視覚化することが可能です。
GA4では最大3つのセグメントを比較することができ、比較したものから新しいセグメントを再度作成したり、オーディエンス(ユーザーリスト)にしたりすることが可能です。
例:場所、性別、年齢層でのセグメントの重複
2. GA4のセグメントの重複の使い方
2-1. セグメントを作る
GA4ではセグメントは「探索レポート」から作成します。
1. 左カラムから「探索」を選択
2. 「>」を押し、「セグメントの重複」を選択(「空白」やその他のレポートから入り、「タブの設定」の「手法」から切り替えも可能)
3. 「変数」のセグメントの「+」を選択
4. 「セグメントの新規作成」から作成したスコープのセグメントやおすすめのセグメントから選択
5. セグメント名、セグメント条件を設定し、保存
2-2. セグメントを組み合わせる
6. セグメントを作成したら組み合わせて表示します。セグメントを設定し、「タブの比較」の「セグメントの比較」に3つまで設定すると右のエリアに可視化される
※このとき、「タブの設定」の「手法」が「セグメントの重複」であることを確認
3. ウェブとアプリの横断ユーザーの集計
GA4ではウェブとアプリの計測データを同じプロパティで扱うことができるようになり、重複したユーザーを集計することができるようになりました。
とはいえ、ウェブとアプリという異なるプラットフォーム上のユーザーを、同一ユーザーとして集計するには条件があります。
3-1. ウェブとアプリの横断ユーザーの条件
ユーザーを繋ぐための条件として、
・ウェブとアプリの計測を同じプロパティに統合する必要がある
・同じユーザー識別子でウェブとアプリを計測する
の2つとなります。
3-2. ユーザーIDの計測
上述の通り、それぞれのプラットフォームに来たユーザーは同一のユーザー識別子で計測する必要があります。
そのため、多くのケースでは、ログイン時などにUserIDを計測し、それを別プラットフォームでも計測することで、ユーザーの照合を行い同一ユーザーとしてつなぎます。
3-3. その他のユーザーの識別子
GA4では、ユーザーを繋ぐために利用できる識別子が3つあります。
①User ID
サイトとアプリ両方に実装が必要。ログイン時にIDをユーザーへ付与して計測することでクロスプラットフォームの識別が可能になります。
②Google シグナル
「Googleシグナル」をオンにすることで利用が可能です。 個々のデータに関するデータは表示されませんが、UserIDが設定されていない場合でも「広告のカスタマイズ」をオンにしている Google ユーザーの集計データが含まれるようになります。
※GoogleシグナルのIDや情報はBQ上にエクスポートされません。
③Device ID
Device ID = ウェブはCookie ID / アプリ のインスタンスIDを利用して計測します。
Googleシグナルに関しては、コントロールすることができないものとなるため、基本的には「User ID」を実装することになります。
3-4. User IDなどの識別子を適用する
User IDを実装したら、レポートに反映してみましょう。
設定 > レポート用識別子 が「ハイブリッド」または「計測データ」となっていればOKです。
(デフォルトはハイブリッド)
3-5. ウェブとアプリの横断ユーザーを集計してみよう
User IDを実装したら「セグメントを作る」を参考にレポートを作成してみましょう。
ユーザーセグメントでプラットフォーム > データストリーム とし、集計条件はそれぞれのデータストリームを選択します。
指標にアクティブユーザー等を設定すれば、データストリーム(各アプリとウェブ)ごとのユーザーの重なりが可視化され、下にはそれぞれの指標が表となります。
以下はウェブサイトと2つのアプリの重複ユーザーを可視化したレポートです。
※弊社事例より抜粋
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様事例
「Google アナリティクス 4 プロパティ導入支援 モバイルアプリケーション&ウェブサイト統合計測事例」
4. まとめ
GA4になりウェブとアプリの重複ユーザーを(User ID等の実装は必要ですが)簡単に集計することができるようになりました。
セグメントは集計における基本ですが、重複状況を確認することで分析のきっかけとなるケースもありますので、是非活用してみてください。