2021年4月ごろにアップデートされたスポンサーディスプレイ広告は、ターゲティングの種類が大きく増え、フルファネルでカスタマー(Amazonユーザー)にアプローチすることのできる広告タイプとなりました。
本コラムでは、ファネル別に、ターゲティング、クリエイティブ、評価指標の観点からベストプラクティスを紹介します。
1. Amazonが考えるフルファネルとカスタマージャーニー
Amazonが考えるフルファネルは、一般的な、商品認知―検討―購入―愛用のフェーズに分かれています。
Amazonの調査では、カスタマーは商品認知~購入までの期間に平均6~7日を要し、その間に14製品もの商品詳細ページを閲覧するそうです。
この間のカスタマーの行動から、Amazonは、カスタマージャーニーは商品認知~購入において一直線に進んでいくのではなく、あらゆるタッチポイントでジグザグに動き、購入に至ると提唱しています。
セッション「A holistic view of video advertising」より
2. 商品認知~購入フェーズのベストプラクティス
前項の通り、商品認知~購入フェーズのカスタマーに、多種多様なターゲティングを用いてアプローチすることが重要となります。
■商品認知~購入フェーズのターゲティング
スポンサーディスプレイ広告のターゲティングは、商品ターゲティング(商品ページの広告枠をターゲティング)と、オーディエンスターゲティング(Amazonの1st party cookieを用い、ユーザーをターゲティング)の2つがあります。それぞれのターゲティングにおいて、トライしたいものをピックアップしました。
商品ターゲティング
- カテゴリー > 広告商品に類似※
- 個々の商品…競合ASINをピックアップしてターゲティング
オーディエンスターゲティング
- Amazonオーディエンス(興味関心軸のターゲティング)
- 閲覧リマーケティング > 広告対象商品に類似※
- 閲覧リマーケティング > 広告対象商品※
- 購入のリマーケティング > 広告対象商品に関連※
※は動的セグメントで、パフォーマンスと関連性の基準に基づき、毎日更新されるリストで特におすすめです。
また、閲覧リマーケティングは、ルックバック期間を30日、14日、7日から選ぶことができます。前項で紹介した通り、商品認知~購入までの期間に平均6~7日を要すと言われていますので、まずは7日を設定し、成果に結び付けば、ルックバック期間を伸ばしたものを追加することを検討しましょう。
■商品認知~購入フェーズのクリエイティブ
Amazon内のタッチポイントで、目に留まるスポンサーディスプレイ広告を配信するには、広告対象ASINやクリエイティブも重要な要素です。広告対象ASINに限らずですが、各ASINは3つの要素が重要です。
- 鮮明な商品画像
- わかりやすい商品名
- 高評価(星の数とよいレビュー)
加えて、カスタムイメージを追加することで、より魅力的なクリエイティブを配信することができます。特に商品認知フェーズで効果的と言われています。カスタムイメージでは、ブランドのストーリーを伝えることを意識しましょう。
■商品認知~購入フェーズの評価指標
ここでは、商品認知・検討フェーズと購入フェーズで評価指標を分けて考えます。- 商品認知・検討フェーズ:クリック率、クリック数
- 購入フェーズ:ROAS、新規顧客の注文
これらの数値の変動を確認しながら、効率改善や最大化を目指して運用することが望まれます。
なお、スポンサーディスプレイ広告では、広告グループごとに、自動入札の最適化対象を選択することができます。商品認知・検討フェーズではクリックを、購入フェーズではコンバージョンを選択することで、運用工数を削減することができます。
■商品認知~購入フェーズのベストプラクティスのまとめ
3. 愛用フェーズのベストプラクティス
ファネルは購入だけで留まりません。自ブランドの商品を継続して購入していただくことで、愛用者を増やしていくことを目的にしたアプローチをおこないましょう。
広告対象ASINでは、アップセルやクロスセルによって、売上やLTV向上を目指します。
複数パックや、詰替え品、セット品、また別ASINのサンプルとのセット品を広告することも検討できます。
4. まとめ
本コラムでは、スポンサーディスプレイ広告でフルファネルのカスタマーにアプローチするベストプラクティスとして、商品認知・購入フェーズと、愛用フェーズに分けて紹介しました。
もちろん、自社の商品や、Amazon内の競合によって、特にターゲティングで合う/合わないがあります。自社の商品がどんなカスタマーから支持を集めるのか、スポンサーディスプレイ広告で可能な、多種多様なターゲティングのトライアンドエラーを繰り返しながら、自社商品にとってのベストプラクティスを見つけていくことが何より重要です。