SEO Mythbusting S2エピソード7:GoogleとSEOコミュニティの関係

2020年10月20日

Google WebmastersのYouTubeチャネルで配信されたSEO都市伝説の誤解を解くシリーズ「SEO Mythbusting」のシーズン2、最終エピソードを翻訳してお届けします。
(エピソード6はこちら

シーズン2の最後のテーマはGoogleとSEO担当者のコミュニティとの関係、ゲストはSearch Engine Roundtableなどでも知られているRustyBrick CEOのBarry Schwartz氏です。

以下、エピソードの内容をご紹介します。

以下、シーズン2エピソード7の内容をまとめます。一部省略や言い換えをしておりますが、主な意味が失われないようにまとめております。

「状況による」は具体的に何によるのか

Splitt氏:
多くの質問に対しての回答はやっぱり「状況による」(It depends)になります。
Schwartz氏:
具体的に何によりますか?
Splitt氏:
色々なことによります。何によるかは質問にもよります。新規サイトなのか?サイト移転をしているか?完全な移転なのか、URL構造を変えているだけなのか? サーバー設定はどうなの? パフォーマンスは? どのようなコンテンツなのか? そのコンテンツで競合性はどうか? 他サイトにもあるコンテンツのコピーなのか? Google側の評価プロセスは非常に複雑なので本当に色々な要素によります。

強調スニペット、メディアサイトとGoogle

Splitt氏:
Schwartzさんに今回の企画について連絡したとき、GoogleとSEOコミュニティの関係について話したいとのことでした。個人的に困惑していることがあります。Googleは透明化を図っていて、透明でありつつ紛らわしくならないように頑張っていますが、なぜかGoogleは本当のことを言わないと思われがちです。Googleが情報を発信しているのは透明性目的ではなく、何か別に裏の目的があると思われがちです。そんなことはないです。なぜそう思われると思いますか?
Schwartz氏:
それはWebサイトに流入を獲得するためにコンテンツを作っている人たちの疑念ではないでしょうか。例えばメディアサイトの視点から見るとGoogleはWebサイトのコンテンツを奪って強調スニペットで検索結果に表示することで、ユーザーの課題は検索結果で解決されてしまって、Webサイトへのリンクをクリックしなくなると思われます。「何のためにこのコンテンツを作っているの?流入とコンバージョンにつながらないコンテンツを作る意味なんかあるの?」と感じる人もいるでしょう。
Splitt氏:
このテーマについては良く聞くことがあり、理解しています。ただし、SEOコミュニティが出してくれている実験結果からもわかるように、強調スニペットからの流入の質は高いのです。
Schwartz氏:
そういう結果が出た実験もあれば、逆の結果が出た場合もありますよ。だからGoogleが持っているデータを公開してくれた方が嬉しいです。もしくはSearch Consoleで強調スニペットのデータのみを見られるようにしてほしいです。それでクリック率や表示回数などのデータを見られて、いいデータが出ていればSEOコミュニティの人たちが喜ぶと思います。
Splitt氏:
どうでしょうね。強調スニペットを問題視している人の動機は色々あると思います。基本的にユーザーに対して有用なコンテンツであり、さらにWebサイト全体でいいコンテンツを持つことで付加価値をつけることができていれば、強調スニペットからもたくさんの流入を期待できると思います。ただ、強調スニペットを問題視しているサイトの多くは、サイト全体で見るとそこまで良いコンテンツではないように見受けられます。一部強調スニペットで参照できる良い情報を持っていますが、ユーザーがサイトを訪れる動機がないようなシナリオです。
Schwartz氏:
USのテレビではGoogleに関する政府の話が出ていて、Googleが多くのクリックを独占しているようなデータが出されています。Googleの検索結果からWebサイトに遷移しているユーザーの数が減っている傾向にあるということですね(コガン注:検索結果におけるゼロクリック問題)。SEO担当者、開発者、そしてメディアコミュニティが恐怖に怯えるトレンドです。
Splitt氏:
Googleはそのようなことをしたいとは考えていません。我々はユーザーとメディアサイトを結びつけたいです。それが検索エンジンの基本原理でありそれを実現できるように頑張っています。ただし、時々ユーザーの目的がメディアサイトに訪れてそのサイト内で何かをやるわけではないシナリオがあります。ユーザーがサイトに訪れたければそれはメディアサイトに対してもGoogleに対してもいいことです。そうでないときは複雑になりますね。ただ、皆さんが言っていることは理解していて、今後はこのような課題に対して更に透明化と見える化を図れたらと思っています。

情報の透明性について

Schwartz氏:
透明化を図ったら裏目に出るかもしれないですし、皆が喜ぶかもしれません。
Splitt氏:
Schwartzさんが言っているようなことを何度も経験してきました。Googleがなるべく多くの情報を公開しようとしたときに、文脈を無視して情報を切り取ったり、誤った引用をしたりする人が出てきます。情報を公開しても負けですし、情報を公開しなくても負けという状況です。難しいです。
Schwartz氏:
私は普段、Googleの透明性についてコラムを書いていますが、おっしゃる通りどちらでも負けですね。ここ何年もGoogleが出している情報について発信していますが、Googleが過去に透明性を下げたり上げたりしてきて、今が過去最高の透明性になっていると思います。何が正しいか私にはわかりませんが、最終的に透明な方が良いのではないかと思います。自分の首を絞めない程度に正直である方が良いと思います。
Splitt氏:
GoogleはSEOコミュニティを誤った方向に行かせようとしていないですし、嘘もついていません。どうすれば負けじゃなくてお互いがWin-Win(ウィンウィン)の方向になると思いますか?とにかく今は透明化を図ろうとしていて、今後もこの方向性でいきたいのですが、SEOコミュニティがそれを理解してくれることを願っています。
Schwartz氏:
この動画のようなコンテンツ、Google WebmastersのYouTubeチャンネルで長年発信しているようなコンテンツ、TwitterやウェブマスターフォーラムでSplitt氏とウェブマスタートレンドチームが行っているような情報発信、このような動きをこれからもやるべきだと思います。これはGoogleが現場に出てやるべきことをやっている証拠です。全世界でGoogleウェブマスターカンファレンスを開催していますが、マウンテンビューで大きなカンファレンスがありました。そこではGoogleのエンジニアがウェブマスターコミュニティの人と一緒に座って会話をしてメモを取って、SEO担当者とメディア担当者から情報を吸収していることを初めて見て面白かったです。例えばSearch ConsoleはSEOコミュニティのフィードバックを元に成り立っています。

フィードバックの提出

Splitt氏:
Search Consoleの「フィードバックを送信」ボタンをもっとたくさんの人に使ってほしいです。Twitterで呟いているだけであればアクションに繋がらないですし、私たちに対してTwitterや対面でフィードバックをくれてときはSearch Consoleチームに伝えていますが、彼らからしたら毎日来ているフィードバックの一つで埋もれやすいです。Search Console の「フィードバックを送信」ボタンからフィードバックを送れば、定量的なデータが取れて皆の望んでいることがわかります。返事はできませんが、もらった情報を参考にして、重要と判断したものを実現しています。例えば表示速度レポートがそれによって生み出されました(コガン:現ウェブに関する主な指標レポート)。
Schwartz氏:
Search Consoleのアップデート頻度は素晴らしいです。Googleに対して全く儲からないツールで透明化のためのツールでしかないのに。
Splitt氏:
Search Consoleは透明化のためのツールですね。それを皆さんとの1つのコミュニティとして、Webのために良いものを作っていければと思います。

AndroidやChromeのデータをランキング要素として使わないこと

Schwartz氏:
GoogleにはChromeとAndroidがあってたくさんのユーザーデータを取得しているので、そのデータを検索に活用すれば良いでしょう?と言う人がいます。昔Direct Hitという大きな検索エンジンがあって、クリックデータを使っていましたが、そのアルゴリズムはクリックスパムなどに悪用されていました。
Splitt氏:
クリックデータにはノイズが多すぎます。
Schwartz氏:
それを言ってもGoogleがクリックデータを使っていないことを誰も信じていないですよ。何で信じてもらえないと思いますか?
Splitt氏:
私も知りたいですよ。その理由が本当にわかりません。一部は心理学で言う「確証バイアス」なのではないかと思います、みんな自分の仮説を支持するような情報を集めたがります。またGoogleが本当のことを隠そうとしているという考えもあります。陰謀説が最近流行っていますしね。
Schwartz氏:
検索結果操作のために情報が悪用されることがあるため、当然Googleはすべてを正直に話すことができないので、何かを隠しているという結論に至りやすいと思います。
Splitt氏:
それはあります。そして、私が「ランキングに使っていないです」と言うときは、文字通りの意味です。例えば検索結果のABテストには使っている可能性はありますし、他にも使っている可能性があります。ただ人間は聞きたい言葉だけ受け入れがちで、Googleが発信した情報が不正確に拡散されて、それをまた整理するのに時間を使って、結果的にコミュニティのために他にできる良いことを後回しにすることになってしまいます。

AMPとトップニュースカルーセル

Schwartz氏:
もう一つの例はAMPです。AMPをリリースした当時、色々なチームが絡んでいて、Google広告、Google検索、またAMPコミュニティの他の人たちがいて、皆違う情報を発信していて、ウェブマスターのコミュニティが混乱しました。「AMPがランキング要素だ」と言う人がいたり、「ランキング要素じゃない」という人がいたり。標準の検索結果に対してAMPはランキング要素ではないですが、トップニュースカルーセルに入るためにはAMPが必須です。そのトップニュースカルーセルは検索結果上位じゃないですか。標準の検索結果にはAMPは特に不要ですが、上位に表示されるトップニュースカルーセルには必要、ということはある意味ランキング要素のようなものですよね。
Splitt氏:
トップニュースカルーセルにAMPがまだ必要でしたっけ、この動画の説明文に情報を記載します(動画のキャプションで、2021年に必須でなくなると記載されました)。
Schwartz氏:
とにかくリリース当時はトップニュースカルーセルに入る唯一の方法はAMPを実装することでした。
Splitt氏:
言いたいことはわかります。でもおっしゃる通りランキング要素ではないです。AMPチームはやっていることを信じていて、とても素晴らしい仕事をしています。とても難しい課題の解決をしています。そしてメディアサイトの開発者に「AMPページにこの重いJSを設置できないですよ」と言える根拠を提供しています。Googleで他社コンテンツを展開することにあたってはプライバシーやセキュリティに関わる複雑な部分も色々あったりします。キャッシュして速く表示できるようにしたいですし、でも色々な理由があってコンテンツをプリロードできないです。そこで「Signed Exchange」という仕組みが生まれました。このような進展があまり注目されておらず、AMPが数年前のままのものとして認識されてしまっている状況で、AMPの理念を誤解する人が多いです。AMPの目的はWebを壊すこと、Google中心のWebを作ることではなく、ユーザーにとって速度が速い、使えるWebを作ることです。Googleが言う”Next Billion Users”(次の十億ユーザー、新興市場)の国ではウェブがモバイルアプリだらけか、独自の壁に囲まれた庭のような状態です。(コガン:おそらく、Webをごく一部のユーザーしか利用できないという意味かと思います)その状況を緩和させて、その国のユーザーに対して速い、よりアクセシブルなWebを作りたいです。AMPはそのためのツールです。

GoogleとSEOコミュニティとのコミュニケーション

Schwartz氏:
Googleはいつまでも他の企業より多く期待され続けて、責任がより重いです。
Splitt氏:
そうです、それは理解しています。
Schwartz氏:
だからこのような動きをして、例えば全世界でAMPデベロッパーカンファレンスを実施し、動画やドキュメントをたくさん発信しているのだと思います。積極的に行動を取っていることがわかります。このSEOの誤解を解くMythbustingシリーズもそのためにあると思います。色々仮説や都市伝説的な情報がある中で、誤解を解いてSEOとメディアコミュニティに対してなるべく多くの情報を公開するのはGoogleの責任です。
Splitt氏:
その責任を確かに認識していますし、慎重に考えています。例えばエバーグリーンGooglebotをリリースした際には適当に公開して本番環境で検証したのではなく、皆に影響がないことを確認してからリリースしました。Googleはそのように動こうとしています。ウェブマスターコミュニティにGoogleが敵じゃないことを理解してほしいです。皆に良い、条件に合った流入を届けるようにしていますし、できるだけ多くの情報を公開するようにしています。このような動画やヘルプのドキュメントもその目的から行っています。ウェブマスターは何かが起きたときに流行りに乗ってGoogleを攻撃するのではなく、何が起きているかを理解して、自分でデータを見て、自分で結論を出してほしいです。
エバーグリーンGooglebot:Googlebotは以前特定のChromeバージョンをベースにしていましたが、現在Chromeの新バージョンが出るたびにそのバージョンに自動的にアップデートされるという仕組みになっていてそのクローラーの名前です。
Schwartz氏:
Googleの中には人間がいることを理解していない人がいます。GoogleのSearch Liaison(https://twitter.com/searchliaison)であるDanny Sullivan氏と話していたとき、そう言っていました。「我々はただのロボットだよ。ウェブマスターは私たちに人間としてではなく、企業として接している」。でもGoogle社員も気持ちがある、生きている人間です。Googleがやっている何かに賛成しないからといって、そのとき話しているGoogle社員を攻撃するのは良くないでしょう。
Splitt氏:
たまに元気がない日にTwitterで特定のツイートを見ると、「私は何のためにこの仕事をしているんだろう。」と思ってしまうときがあります。
Schwartz氏:
ごめんなさい(笑)。
Splitt氏:
いいですよ、Schwartzさんじゃないですよ。ほとんどは(笑)。それはよくある出来事で受け入れるしかないです。不満がある人、怒っている人と接するのはGoogleで働くこととセットになっています。ただ、我々が言ったことが曲解されて、言っていないことを言ったと言いがかりをつけられるときは嫌です。例えば質問をされて回答すると、言葉の言い回しを見て「これ何か隠れた意味があるでしょう!」と言われることがあります。と言い返されるときがあります。PCの前で20分座って隠れた意味を表す言葉を探しているわけがないし、弁護士のような表現はしませんよ。
Schwartz氏:
でも何かトレーニングは受けていますよね?
Splitt氏:
トレーニングは受けますけど、主に人を紛らわさないためのトレーニングです。何かを隠したいわけではなく、例えば何かに確信がないときに「わかりません」と言うべきです。「言えないということですね!」と思われがちですが、言えないのではなく単純にわからないのです。
Schwartz氏:
一回John Muller氏に「わかりません」と言われたときにその意味を聞いたら、「わからない」か「言えない」のどちらかと回答していましたよ(笑)。
Splitt氏:
それはJohnのやり方かもしれないです(笑)。私は言えないときに「これは言えない」と言います。
Schwartz氏:
Johnが言ったことを勘違いしたかもしれないですね。
Splitt氏:
どうでしょう? 個人的に言えないことがあればその通り言います。それが公平だと思います。例えば「スパムはどのように評価しますか?」と聞かれたら、それは「言えません」で返します。そんな情報を公開したらスパムする人たちがそれを悪用できるからです。それについては議論しません。また、ランキングについても議論しませんが、それはランキングについて私が意図的にあまり詳しく理解しようとしていないからです。

Splitt氏がランキングについて知りたくない理由

Schwartz氏:
なんでランキングについて理解しようとしないですか? それが肝ですよね? 自分のウェブサイトを作ってたくさん儲かることもできるのに!(笑)
Splitt氏:
一つの理由としては、我々(Splitt氏のチーム)はウェブマスターコミュニティに対してGoogleを代表しているだけではなく、Google社内に対してウェブマスターコミュニティを代表しているからです。もう一つは、私は秘密を守るのが苦手で間違って話してしまったら良くないので、あえて詳細を知ろうとしていません。また、ランキング要素は数百あって常に変わり続けていて、その中に実用的な部分はそんなになく、そこに注目すべきじゃないと思います。注目すべきなのは、ユーザーが何を望んでいるか? ユーザーのニーズは? それを知るにはどうすれば良いか? 良いUXを提供するのにどうすれば良いか? などです。パフォーマンス、コンテンツ戦略やコンテンツ作成など話すべきテーマが様々あって、ランキング要素について話してもあまり効果的ではないと思います。

ユーザーテストと最高なウェブサイト

Schwartz氏:
そうですけど、ウェブマスターコミュニティに「最高なウェブサイトを作って」と言うと笑われますよ。「もちろんもう最高のWebサイトを作っているよ! でも良くするにはどうしたらいいの? HTTPSにすべき? 表示速度を0.5秒上げるべき? 何を優先すべきなの?」とね。
Splitt氏:
そうですね。優先度は難しいですね、先程言った通り色々常に変わっています。
Schwartz氏:
Googleヘルプに記載してください(笑)。
Splitt氏:
いやー、それは(笑)。でもおっしゃる通り皆がやっておくべきことはありますね、例えば先程おっしゃったHTTPS化や表示速度を上げることです。ただ、これらは基本的にユーザーファーストで考えると出てくる項目ですよね。もっと多くの企業にユーザーテストをやってほしいです。ユーザーが誰か理解して、実際にユーザーと会話すると良いです。ウェブマスターが考えるユーザーのための最高なコンテンツと、ユーザーが考える最高のコンテンツが一致しない可能性があるからです。Googleに入る前に勤めていた各種の企業でその現象を見ています。ユーザーテストをした企業ではユーザーと5分会話するだけでたくさん学べました。
Schwartz氏:
そうですね、あとGoogle Surveyという製品がありますよね。大昔Pandaアップデートに引っかかったとき、John Mullerさんに「ユーザーに自分のWebサイトのコンテンツの意見を聞けば?」と言われました。それでサーベイを実施してその結果を元に修正を公開したら改善されました。
Splitt氏:
そんな製品があったことを知らなかったです、いいですね。
Schwartz氏:
すごく簡単にエンベデッドできますよ。「このサイトはいかがですか?」と聞いて、またどのページにいるかによって動的に追加の質問が表示されて、その結果がSpreadsheetに入ります。

■感想・まとめ

SEO Mythbustingシーズン2、最終エピソードにピッタリなテーマで終わりました。SEOを行う中でGoogleからのコミュニケーションを正しく理解するのはとても重要だと思います。やるべきことはサイトの特徴と状況によりますし、Google社員は言えることが限られるため「Googleが言ったからそうすべき!」と考えてはいけないですし、逆に「本当のことなんて言わないでしょう」、「クリック率はランキング要素じゃないと言っていますけどきっと嘘ですよ!」と疑いすぎるのも良くないです。Googleの意図、話の文脈、自分のサイトの観点から大事なことを意識して、Googleのコミュニケーションを参考に有効に活用していくことが一番です。