SEO Mythbusting S2エピソード5:ドメイン変更・サイト移転とSEOの誤解

2020年09月02日

Google WebmastersのYouTubeチャネルで配信されたSEO都市伝説の誤解を解くシリーズ「SEO Mythbusting」のシーズン2、エピソード5を翻訳してお届けします。
(エピソード4はこちら

今回のテーマはWebサイト移転とリニューアル、ゲストはG-Squared InteractiveのデジタルマーケティングコンサルタントのGlenn Gabe氏です。ドメイン名変更の単純なサイト移転を中心に、サイト内容が大きく変わるリニューアルやサイト統合についても触れています。

以下、エピソードの内容をご紹介します。

以下、シーズン2エピソード5の内容をまとめます。一部省略や言い換えをしておりますが、主な意味が失われないようにまとめるようにしております。

ドメイン変更の際の画像URLのリダイレクト

Gabe氏:
以前一度大規模なECサイトのサポートをしていて、サイト移転の際に画像ファイルのURLをリダイレクトしていなかったケースがありました。そのあと「画像のリダイレクトを忘れないように」という記事を書きました。
Splitt氏:
ビジュアルコンテンツはとても重要です!
Gabe氏:
とても重要です。全画像のURLに対して301リダイレクトを設定すること、そして画像のインデックス更新に時間がかかっているようであれば少し待つことをおすすめしていますよね。
Splitt:
その通りです、旧サーバーのログを確認して、画像を含めて流入とクロール数が十分減ったと判断したら、旧ドメインを閉じて大丈夫です。

ドメイン変更やサイト移転は必ず流入が下落するか

Gabe氏:
一番よくある誤解は、ドメイン名変更やサイト移転を行う際に流入が必ず下落する、ということです。
Splitt氏:
「状況による」ですね。ウェブマスターがサイト移転とは何か、理解されていないことが多いです。単純に1つのドメインから別のドメインに移転するだけでURL構造やコンテンツが全く変わらない場合、おそらく流入の下落は発生しません。旧ドメインの流入が減少して、新ドメインへの流入が増加しますが、全体の流入は減少しません。移転がスムーズに行われていたら、流入は一時でも減少はせずに旧ドメインから新ドメインへ流入数が入れ替わるだけのはずです。

歴史があるドメインの購入

Gabe氏:
ドメイン名変更に関しては、スムーズに実現ができ、時間が経って流入がさらに伸びた事例も見てきました。ただおっしゃるように「状況による」ところが大きく、異常な事例としては、リリース3日後にいきなり流入が70%減少したサイトも見たことがあります。このようなときに影響するのはドメインの歴史などですか?移転先のドメインを購入して、そのドメインの歴史が影響しているなど。
Splitt氏:
ほとんどの流入下落の原因はドメインの歴史ではないです。ただ、特にスパムに使われたことがあるドメインを購入してすぐにドメイン切り替えを行った場合などは歴史が多少影響する可能性があります。そのような好ましくない問題が起こらないように、事前にSearch Consoleを設定して新ドメインをモニタリングしておくと良いです。
他に考えられる原因としては、サイト移転の際にドメイン名変更だけではなく他の変更も行われて、その中で何か問題が起きたということです。Googleが新ドメインをクロールする際に、単純なドメイン名変更ではなく新旧のコンテンツに変更があったことに気づいたときは、そのコンテンツを評価するために数回クロールする必要があるかもしれません。すると大規模サイトの場合はクロールバジェットの問題に引っかかる可能性があります。
流入の下落に影響する要素は色々ありますが、過去に問題のないドメインを購入していればおそらく大丈夫です。そして悪い歴史があるドメインでも、ドメイン上のコンテンツが新しく変わる可能性があることをGoogleはわかっています。ただその購入前の過去のドメインにもともとあったコンテンツによっては、サイト移転として認識されない可能性もあって、コンテンツを再クロール、再処理をして、認識されるまでに少し時間がかかる可能性があるのです。
Gabe氏:
1つ例を挙げます。以前、ドメイン名が長いECサイトのクライアントがいて、そのブランド名4文字の短いドメインに変更したいと考えていました。そのドメインをやっと手に入れて、歴史をちゃんと調べずにドメインを変更して一ヶ月経ったら「大変です!」と電話がかかってきました。過去にロックバンドのウェブサイトでスパムリンクがたくさん集まったドメインだったことが判明しました。結果的にそのサイトは短期的には流入が落ちましたが、時間が経ったら元に戻りました。
Splitt氏:
そうです、Googleはコンテンツが変わることがあると理解しています。スパムドメインを購入するときや自ドメインがハッキングされた場合などでも、改善すればサイトは変わることを理解しています。ただ、Googleが一度問題を発見しウェブマスターに知らせた場合、ウェブマスターがその問題を解決して、コンテンツが良くなったとしてもGoogleがそれを理解するまでには時間がかかります。問題になりそうなところを事前に解決しておいて、Googleに状況が変わったことを理解してもらう時間を与えると良いです。
Gabe氏:
それでは先程の例ではドメインの歴史を調べておいて、スパムリンクがあると分かったらリンクの否認を行ってから移転すればよかったということですね。
Splitt氏:
ドメインを引き継ぐ場合、Search Consoleなどのツールを使って状況を把握すると良いです。場合によってはコンテンツをすべて消してGoogleにコンテンツがなくなっていることを認識させて、シグナルが消えるまで待つのも良いでしょう。そして新しいコンテンツを段階的に移転して、ページが移転されるのにつれてGoogleが、それらが新しいコンテンツであることを把握できるようにすると良いです。

サイト統合 vs サイト移転

Gabe氏:
もう1つの例を挙げます。2つのWebサイトを統合すると「1+1=2」のように思われがちですが、そうならない可能性もあります。経験したことのあるサイト統合で一部良い結果も見ましたが、一部は悪くはないものの「1+1=2」とまでは行かなかった事例も見てきました。
Splitt氏;
単純なサイト移転と比べてサイト統合はもっと複雑です。サイト移転は、持っているものをすべて引っ越すという意味です。サイトの統合だと、2つのサイトを1つに「移転」するのではなく、2つのサイトの組み合わせで新しいサイトを作るということです。定義上、サイト移転でなくなります。コンテンツが移転されるだけでなく、他にも色々な変化が発生しています。例えば完全に新しいドメインであったり、URLの構造が変わったり、別サイトから新しいコンテンツが追加されたり、これらはすべて単純なサイト移転より複雑な変更です。Googleはたくさんのページを再クロールする必要があって、サイトの規模によってはコンテンツの把握だけで結構な時間がかかる可能性があります。サイト構造によりますが、Googleは「ここに新しいページ群ができた」という認識になるかもしれないですし、2つのサイトのコンテンツを混ぜるなら、「何が起きているの?このコンテンツが新しくなっただけなのか、他にも変わっている部分があるの?」と混乱する可能性もあります。サイト統合の進め方によっては、Googleがサイトをどう認識するかが変わり、統合がスムーズにいく場合とそうでない場合があります。

ドメイン変更に対してGoogle側で発生するプロセス

Gabe氏:
サイトに301リダイレクトを設定して、アドレス変更ツールでドメイン名変更のリクエストを実行した後、Google側でどのようなプロセスが発生しますか?
Splitt氏:
外部サイトなどから旧サイトへのリンクがあって、Googleが旧URLをクロールすることでリダイレクトがあることに気づきます。また、1~2つのリダイレクトだけではないことに気付き、サイト移転が発生したことを理解します。単純なサイト移転ではなくサイトが大きく変わっている可能性もありますので、旧サイトについて知っていたことが、移転後もそのままになっているかを確認する必要があります。単純なサイト移転で旧サイトの完全なコピーであると判断したら、今まであった旧サイトのシグナルを新サイトに引き渡し、なるべくサイト全体を再クロールせずに済む方向性で進みます。場合によってはクロール数の増加が見られますが、旧サイトの完全なコピーであると判断すれば、クロール数がまた落ち着きます。最終的に旧ドメインに対してのシグナルが消え、旧ドメインがクロールされなくなります。そして新ドメインが移転前と同じように扱われます。
Gabe氏:
シグナルの引き渡しにどれぐらい時間がかかりますか?
Splitt氏:
それは色々な要素に影響されます。例えば、あまりクロールされないWebサイトであれば遅いですし、クロールの必要性が大きくクロールバジェットの余裕があるサイトならば比較的速いです。外部サイトからのリンクがどれぐらいあって、それらがどれぐらいの頻度でクロールされているかにも影響されますし、単純なサイト移転であるかを認識するのにどれぐらい時間がかかるかにもよります。数日から数週間かかる可能性があります。

アドレス変更ツールについて

Gabe氏:
アドレス変更ツールを使ってリクエストするのと、ただ301リダイレクトを設定するのと何が違いますか?
Splitt氏:
アドレス変更ツールが使われると、Googleに意図的な移転であることを知らせられます。一時的なリダイレクトや間違いではなく、移転である明確なシグナルになります。そのシグナルがGoogle側の優先順位の設定、クロールやシグナルの引き渡しについての進め方の判断などに役立ちます。意図的な移転だと最初からわかっていれば、Googleはいくつかの無駄なステップを省くことができるので移転の認識がより速くなる可能性があります。
Gabe氏:
ではやっておくと良いということですね。
Splitt氏:
そうです。
コガン:アドレス変更ツールはルートドメインが変わるときだけ使います。https化やサブドメイン変更(www.をなくすなど)などには使いません。

サイト移転の際にコンテンツの再評価が発生するか

Gabe氏:
サイト移転の際に、コンテンツの再評価は発生しますか?例えばドメイン名が変わった場合やURL構造が変わったら、Googleがそのコンテンツの品質を見直そうとするか。
Splitt氏:
コンテンツ品質の評価は随時行われます。特定のページが高品質なコンテンツを持っていたとしても、いつまでも高品質のままであるとは限らないですよね。スパムのような低品質のページがある場合も、質を改善すればそのコンテンツの品質が再評価されますし、歴史がすべてではありません。コンテンツは随時再評価されていて、サイト移転で何か変わるわけではありません。でもURLが変更されたとき、特に構造が変わった場合には、前のページと全く同じかを確認する必要があって、全く同じならシグナルを新URLに引き渡すだけですが、構造やコンテンツが変わっていたら慎重に評価を見直さなければなりません。そのため、ご質問への回答は「はい、再評価します」ですが、どちらにしても随時コンテンツを再評価しています。
Gabe氏:
そうなのですね、以前John Mullerさんから「コンテンツの最新版が評価される」と聞きましたけど、今おっしゃるようなことだったのですね。たまにサイトを別ドメイン、別URLに移転して、2週間後にGoogleのコアアルゴリズムアップデートが発生して、サイトの流入が増加か減少して、その原因がアップデートだったのか、別の要因だったかわからないというケースも…
Splitt氏:
サイト移転で変動は常にありますし、ノイズも多くて本来の要因がつかみにくいですよね。でも本当に単純なサイト移転であれば、コンテンツの評価は変わらないはずです。
Gabe氏:
先程シグナルの引き渡しについて話したのですが、シグナルというのはどのようなものかも説明していただけませんか?
Splitt氏:
Webサイトをクロールする際、そのサイトについて色々な情報を集めます。表示速度、HTTPSか否か、コンテンツが良いか、テーマが何なのかなどの情報、ランキングに影響する数百件のシグナルをページ単位で集めます。Webサイトをレストランに例えると、接客が良いか、ご飯がおいしいか、金額が安いかなど、そのレストランについてのシグナルを同じように集めますよね。おすすめのレストランを聞かれたら、「アジア系料理が好きならこのお店はいいよ、ちょっと高いけど」など集めてきたシグナルを元におすすめをします。そしてレストランが移転したら、そのシグナルを再確認する必要があるかもしれません。前の店舗は素晴らしかったけど、今の店舗はわからないですよね。例えばキッチンカーが駐車する場所を変えただけなら、同じキッチンカーなので良いですが、そのキッチンカーが店舗に移転したら、今までの料理と同じか?値段が高くなっていないか?などを再評価します。検索エンジンも同じような状況で、再評価を行う必要があります。

流入が大きく下落した場合、移転を切り戻すべきか

Gabe氏:
サイト移転やリニューアルでwebサイトへの流入がいきなり下落するとします。その場合、どこでリリースを切り戻すべきと判断すればよいですか?サイト移転をたくさん見てきたのですが、切り戻すことは数回しかなかったです。Googleヘルプにはアドレス変更をリクエストすれば、180日以内であれば変更を切り戻すことができると書いているかと思います。そして301リダイレクトを逆に新URLから旧URLに設定し直す必要があると思います。悪夢のようなシナリオですね。例えばリリース後に何かしらの理由で流入が50%下落したら、いつリリースを切り戻すべきだと判断しますか?
Splitt氏:
下落の原因によります。対策を打つ前に必ず調査を行うべきです。Googleが旧URLしか認識していない、なぜかリダイレクトを認識していないパターンなのか、旧URLを十分クロールできていなくてタイミングが悪いだけなのか、何が起きているかを調査します。徹底的な調査をしても原因がわからない場合、一カ月ちょっとか数週間後に外部のサポートを求めるのが一番良いと思います。どうしても何が起こったかわからなくて、1カ月以上経っても改善しない場合、切り戻しを検討しても良いかもしれませんが、本当に他の解決方法がないときだけにしましょう。
流入の下落は大体何かしらの技術的な問題が原因です。リダイレクトが漏れていてドメイン変更が認識されなかった、何か設定が間違ったところがあったなど、失敗が起こりえるところがたくさんあります。いずれ流入は再度伸び始めますので、流入のモニタリングもします。下落のまま全然伸びないようであれば、何かやりそびれた設定があったか、戦略が間違っていたかなどの、問題があったということです。そういうときは一度リリースを切り戻して、原因を理解して、解決して、再度リリースし直すことを検討しても良いかもしれません。
Gabe氏:
もしくは、何かアルゴリズムの変化があったかもしれないですね。
Splitt氏:
そうです、あとはスパムで手動による対策を受けたことも考えられます。そういう場合、予め問題がない状態にしてから移転を開始していれば、切り戻す必要が出てきません。

普段robots.txtでブロックしているURLをサイト移転の際にブロック解除するべきか

Gabe氏:
大規模サイトの場合、robots.txtで既存のサイトのURLを意図的に数十万ブロックしている場合があります。サイト移転の際、robots.txtのブロックを外して、Googleが以前インデックスしてしまったかもしれないページをクロールできる状態にして移転されていることを認識させる必要はありますか?
Splitt氏:
そんなことしなくて良いと思います。理由があってブロックしているURLであれば、サイト移転で特にブロックを解除する必要はないと思います。

サイト移転後のよくある問題

Gabe氏:
Googleから見て、サイト移転に伴ってよくある問題は何ですか? 例えば新ドメインのrobots.txtでのブロックや全ページにnoindexタグが設定されている、Google Search Consoleが新ドメイン向けに設定されていないことなど。
Splitt氏:
そのような問題はたくさんあります。そしてサイト移転を色々なことを同時に変えるきっかけとして見ているウェブマスターがいます。これはおかしい話だと思います。もし変更による影響が不明瞭な場合は、すべてを一気に変えると変動する要素が多すぎます。そういうシナリオでもし問題が発生したときに、URL構造の変更の影響なのか、新しい技術の影響なのか、新しいコンテンツなのか、ドメイン名変更なのか、アルゴリズムの変更なのか、手動による対策なのか…何が起きたか、原因の特定が難しいのです。段取りを組んで、ステップバイステップでリリースする方法が最も安全に移転ができます。。
Gabe氏:
アルゴリズムアップデートや手動による対策で全滅したサイトがあって、それを解決するのにサイト移転をすれば良いと思っているウェブマスターがいると思います。以前Penguinアップデートでそのような対策を行って、実際に効果があったと言っていた人がいました。Googleの方でこのような施策が行われたことを評価するメカニズムなどありますか?
Splitt氏:
先程言った通り、Googleはページを随時評価しています。1つのドメインで低品質コンテンツがあってスパムのようなリンクをたくさん置いているとします。この時、ドメインを移転すると一部のシグナルはなくなるかもしれませんが、低品質コンテンツはどのドメインにあっても低品質であることに変わりません。

■感想・まとめ

単純なサイト移転なら流入が下落せずに済むと言いますが、ドメイン名変更で他に何も変わらない場合でも、少し触れたようなリダイレクトの設定漏れや間違ったクロールブロック、インデックス除外など、様々な問題が起こりえますので、サイト移転は慎重に進める必要があると思います。そしてサイトを移転する際には段階的に進めるのが一番安心ですが、しっかり戦略を立てて準備をしておけば、一気に切り替えを行っても必ずしも流入の下落にはつながりません。「状況によります」が、どのサイト移転でも、前もってSEOを意識して慎重に進めるべきです。

エピソード6は「コンテンツが多すぎると良くない?」という面白そうなテーマです。こちらも和訳しますので是非チェックしてください。

この記事を書いた人
コガン・ポリーナ (Polina Kogan)
コガン・ポリーナ (Polina Kogan)
SEOコンサルタント

SEOだけでなく、Google アナリティクスや広告の知識も生かしたコンサルティングを得意とする。グローバル案件も含め、数多くのプロジェクトを担当、女性コンサルタントとして活躍中。ロシア出身、英語、日本語、ドイツ語など6か国語を操る。

著書