SEO対策はPDCAサイクルに向かない?! その懸念と問題点を考える

2020年02月25日
ライター:岩井 謙治

Webサイトの様々な施策はPDCAサイクルで迅速に、フレキシブルにまわしていくというのがトレンドとなりつつありますが、SEO対策もPDCAサイクルで実行したほうがいいのでしょうか。確かに課題が明確な場合は早くDo(アクション)をしたほうがいいケースもあります。ただサイトのタイプや規模、必要な施策によっては、PDCAサイクルが長期化して、それによる機会損失が生じる場合もあります。今回はPDCA型でSEO対策を行う際の懸念や問題点について説明しようと思います。

SEO対策のPDCAサイクル

ここでは、一般的なSEO対策の進め方をPDCAサイクルに落とし込んでみます。
まずは、自然検索の流入数の減少(または減速)が発生し、その原因調査を行って、対応策を考え出したとします。
そして、以降のようにPDCAサイクルを実行します。

  • 1. 対応策の実行計画を立てる(Plan)
  • 2. 対応策を実行する(Do)
  • 3. 実行結果の評価を行う(Check)
  • 4. さらなる改善の検討や調査を行う(Action)

具体的な例を挙げると、
特定のキーワードでの自然検索からの流入が減少した。
原因を調査したところ、順位に変動はないが、CTRが低下していた。
そこで、titleを変更する対策を行うことにした。
そしてPDCAは、以下の内容で実行しました。

  • Plan:新title案の作成から実装までのスケジュールを計画。
  • Do:新title案を作成し実装する。
  • Check:CTRが向上し、流入が増加したかを評価する。
  • Action:新たな課題や、さらなる向上策があるかを検討・調査する。

SEO対策をPDCAで行うメリットの1つに、行った対策の効果検証がわかりやすいことがあります。
上記のtitleの変更施策は、簡単な修正内容であるため、PDCAに落とし込んで行うほどのものではないですが、予算を確保して、複数の人が携わり、開発が必要となる施策は、費用対効果の検証を行い、それを報告するタスクも発生します。
そのため、スケジュールや人の管理、効果検証をきちんと行おうとすると、PDCAのようなフレームワークを活用するというのは1つの選択であると思います。

PDCAサイクルの問題点

SEO対策をPDCAで回すことのメリットは前述で説明しましたが、デメリットもあります。
PDCAサイクルを高速で回すことができれば、ビジネスのスピードも上がっていきますが、SEO対策をPDCAで運用する場合、サイトによっては「Check」の工程で、効果検証が行えるまで、結構な時間を待たなくてはいけない状況がでてきます。
前述のPDCAの具体例のような施策であれば、早ければ数日で検索結果画面のテキストが差し替わり、数週間で効果検証が行えます。
または、対策漏れのキーワードに対応するため、新規にページを作成したり、カテゴリの追加を行ったりした場合も、数週間で流入が獲得できる順位にランクインするケースも多く、早期の効果検証が行える場合があります。

一方で、

  • サイト構造の修正
  • サイト内部のリンク構造の修正
  • 広範囲にわたるテンプレートの修正
  • カテゴリの改修

などのサイト全体に関わるような対策を行った場合、一部のドメインの信頼性が高い大規模サイトはすぐに効果が現れたことがありましたが、多くのサイトはアルゴリズムのアップデートのタイミングでないと効果が現れないかと思われます。

実際の事例をご紹介します。

【事例A】大規模サイトのリニューアルプロジェクト

リリース後1ヶ月以内にアップデートがあり、まだすべてのリニューアル後のページがクロールされていない状況でしたが、2,3週間後から流入が増えていきました。

【事例B】中規模サイトのリニューアルプロジェクト

こちらもリリース直後にアップデートがありましたが反応はなく、3ヶ月後辺りから新規に追加したカテゴリなどから流入が増えていき、リリース後3回目のアップデートで大きく流入が増えていきました。

【事例C】小規模サイトのリニューアルプロジェクト

リリース後、ほとんど変化が見られませんでしたが、最初のアップデートで大きく増えまして、その後アップデートごとに流入が増加していきました。

以上の例から、SEO対策のPDCA運用には、アルゴリズムのアップデートが大きな影響を与える場合があることが言えると思います。

アルゴリズムのアップデートのサイクル

それでは、Googleのアルゴリズムのアップデートのサイクルや頻度は、どのくらいで実施されているのでしょうか。
Googleの公式アナウンスがあったものでは、2019年に実施された時期と回数と見てみると、3回行われ、時期は3月、6月、9月に実施されています。
ちなみに、2018年は4回(3月、4月、8月、9月)、2017年は3回(2月、6月、12月)実施されています。
このことから、SEO対策をPDCAで運用する場合、施策によっては、Checkで行う効果検証は、年間3回程度しかない行えないことになります。
またアップデートのタイミングで、きちんと評価されるためには、アップデート前に修正したページが数回クロールされ、コンテンツが検索エンジンに理解されている必要があります。
これにより、年3回程度の限られた回数の中で、きっちりと効果検証を行ってPDCAでSEO対策を運用しようとすると、場合によっては、PDCAでの運用がビジネスのスピードアップの足かせとなってしまうケースが出てきてしまいます。

PDCAと機会損失

例えば、サイトのSEO課題を調査した結果、複数の課題が見つかったとします。そして対応策を考え、それぞれの施策をきちんと効果検証を行うためPDCAで回そうとします。
そうすると、PDCAサイクルが3つ以上となる施策は、確実に1年以上時間を要します。

▼年間のスケジュールイメージ(アップデートが4カ月ごとにあった場合)

また、施策がサイト全体に及ぶような大掛かりなものも、Plan から DO までに半年以上かかるものもあり、こちらもCheckまでに1年くらい時間を要することも多いかと思われます。

施策の数と規模にもよりますが、個々の施策の効果測定をきちんと行うためにPDCAで回そうとすると、結構な長期プロジェクトになることが想像でき、時間という機会損失につながります。
特に、スタートアップのサイトや、キーワードの入れ替わりが激しいサイトには、この損失は大きいのではないでしょうか。

PDCA向きかを判断する

これまでの内容から、SEO対策を施策単位ごとにPDCAサイクルで運用するかは、以下の点から判断する必要があると考えます。

  • SEO対策の効果が出るタイミングはアルゴリズムのアップデート時か
  • 施策の数は多くないか、また規模は大きいものではないか

上記に該当する場合は、PDCAサイクルが長期化する可能性が高く、時間的なロスによるデメリットが大きいため、個々の施策をPDCAに落とし込んでの運用には向いていないでしょう。

もし個々の施策の効果検証をそれほど重視していないのであれば、PDCAの設計を見直し、サイクルは、個々の施策ごとではなく、まとめて行える複数の施策をPDCAの1つのサイクルで行い、効果検証はサイクル単位で、実施前後の流入数の比較などとすれば、時間的なロスによる機会損失も解消できるかと思います。

例えば、SEO課題が多く、施策の規模も大きいものが複数ある場合は、サイトリニューアルも兼ねて、PDCAで運用するというような方法も考えられます。

機会損失を回避する方法

結局のところ、「SEO対策のPDCAサイクルの問題点」は、PDCAの設計がポイントになってきますが、細かな効果検証を行おうとすると、多くのサイトは不定期に実行されるアルゴリズムのアップデートのタイミングを考慮しなければならず、スケジュールを明確に組めず、プロジェクトを進行するにあたり、時間的なロスは多少なりとも生じる可能性があるということです。

そのような状況の中で、SEO対策のPDCAを時間的なロスを最小限で回転させるには、施策の精度が重要になってきます。
例えば、対策を講じてPDCAを回したが、成果が得られなかった場合、半年ほどの時間的なロスが生じてきます。そうなると、「トライ・アンド・エラー」などと簡単に口にはできない状況です。

では、施策の精度を高めるには、どうしたらよいのか?
それは、SEOの経験値が大きく影響してきます。
経験豊富なSEOスペシャリストは、様々なジャンルのサイトで、多くの施策を経験しています。
過去の同様の課題を解決した経験があれば、同様の成果が期待できるのではないでしょうか。

もし、身近にそのような人材がいないというのであれば、信頼できるSEO会社にアドバイスを求めてみたり、Google「ウェブマスター オフィスアワー」や「コミュニティ フォーラム」などで、有識者に質問してみてはいかがでしょうか。

余談

PDCAで運用するか否かに限らず、SEO対策は効果が出てくるまでに時間を要することが多く、効果検証のタイミングをどこで行うかによって、成果は大きく変わってきます。
SEO対策の事例・実績ページでご紹介している案件でも、契約などの事情からリリース後6ヶ月くらいが経過したところで効果検証をまとめることが多いですが、1年後のほうがさらに良い成果になっていることが多く、過小評価になりがちな報告に物足りなさを感じることが多々ありました。