2019年8月にGoogleより新しい計測機能にあたる「アプリ+ウェブ プロパティ」の発表と、2019年10月31日をもって、Google アナリティクスのモバイルアプリ計測にあたる、「Google アナリティクス開発者サービス SDK」のデータ処理が停止されました。
アプリとウェブサイトの測定を統合する Google アナリティクスの新機能
本コラムでは、実際に弊社EV smartサービスへ「アプリ+ウェブ プロパティ」を実装したレポート画面を見ながら、「アプリ+ウェブ プロパティ」の解説をします。
- 「アプリ+ウェブ プロパティ」とは?
- 「アプリ+ウェブ プロパティ」を利用するには
- 「アプリ+ウェブ プロパティ」の特徴
「アプリ+ウェブ プロパティ」はGoogle アナリティクスfor Firebaseの仕組みを土台としたGoogle アナリティクスの新しい分析測定ソリューション
今までGoogle アナリティクスを利用してウェブサイトはGoogle アナリティクス。モバイルアプリはGoogle アナリティクスfor Firebaseを利用して計測していました。しかし計測されるデータは基本的に同じプロパティではなく別々のプロパティに格納されます。また、Google アナリティクスとGoogle アナリティクスfor Firebaseではディメンションや指標の定義が異なっていました。
「アプリ+ウェブ プロパティ」では、プロパティの中に新しくデータを蓄積する「データストリーム」という概念が導入されました。ウェブサイトは「ウェブストリーム」。モバイルアプリは「アプリストリーム」の単位で計測され、レポート上は同じディメンションや指標で集計されるようになりました。
【Google アナリティクスfor Firebaseの仕組みをベースにウェブサイトも計測が出来るようになった】というのが「アプリ+ウェブ プロパティ」です。
「アプリ+ウェブ プロパティ」を利用するには
「アプリ+ウェブ プロパティ」はGoogle アナリティクスの管理画面から作成することが出来ますが、ウェブ、アプリ、それぞれの「データストリーム」でデータを計測する必要があります。計測するには以下のように別々の実装を加える必要があります。
<h3ウェブストリーム新しく発行されるウェブストリーム用の計測IDをGoogle タグマネージャーのApp+Webタグかgtag.jsを使いサイトへ設置して計測します。
<h3アプリストリーム既にGoogle アナリティクスfor Firebaseを利用しているユーザーはFirebaseのコンソール画面からGoogle アナリティクスへ連携することで「アプリ+ウェブプロパティ」を利用できます。Google アナリティクスfor Firebaseを利用していない(Google アナリティクス開発者サービス SDK)ユーザーは新しくFirebase SDKをアプリへ実装し、Google アナリティクスfor Firebaseでアプリを計測する必要があります。
「アプリ+ウェブ プロパティ」の特徴
大きな特徴として「アプリ+ウェブ プロパティ」のレポート画面はGoogle アナリティクスのUIが基本になっていますが、モバイルアプリ、ウェブサイト両方ともデータの計測方法はGoogle アナリティクスfor Firebaseの仕組みが土台になっています。
- アプリとウェブのデータが一つのプロパティ内に集計されます。
- アプリとウェブで同じディメンション、指標で集計ができます。
- 「外部ドメインへのクリック」「スクロール数」「ファイルダウンロードのクリック」などアプリ+ウェブ プロパティの管理画面から計測設定ができます。
- User IDまたはGoogleシグナルを利用してアプリとウェブのユーザーを横断して集計できます。
- 今までGoogle アナリティクス360ユーザーしか利用できなかった「分析」機能が利用できるようになりました。「目標到達プロセス」「原因分析」「セグメントの重複」「経路の分析」「ユーザーエクスプローラー」が「分析」機能で利用できます。
アプリ+ウェブ プロパティの画面
アプリ+ウェブ プロパティの管理画面から計測設定
新しい「分析」機能-データ探索
新しい「分析」機能-セグメントの重複
新しい「分析」機能-目標到達プロセスの分析
新しい「分析」機能-経路分析
新しい「分析」機能-ユーザーエクスプローラ
まとめ
「アプリ+ウェブ プロパティ」は今までのGoogle アナリティクスとGoogle アナリティクスfor Firebaseの強みを合わせた新しい計測と分析プラットフォームです。今後は機能強化が進みウェブとアプリのユーザー行動を計測するツール主流として進化していくと思われます。2019年11月時点でまだベータ版ですが、モバイルアプリがビジネスの中心となっているサービスは早いうちから既存の「Google アナリティクス」と並行して「アプリ+ウェブ プロパティ」でデータを蓄積していきましょう。