Tableau Conference 2018 in New Orleans – 後だしジャンケン的参加報告
2018年11月19日

Tableau / Quick DMP担当の加藤です。私を含む弊社3名のスタッフが、10月22日から25日までアメリカのニューオーリンズで開催されました、タブローの年次カンファレンス(TC18)に参加しました。本日はTC18参加で得られたTableau関連の知識や情報、Tableau周辺ツールやベンダーのグローバルなトレンド情報など、来年のTC19参加に向けた事前準備も交えながら情報をお届けします。

はじめに

TC18に参加し帰国してから、既に4週間ほどが経とうとしている状況でこのレポートを書いています。一般的なタブローユーザーが必要としている最新情報、欲しい情報は既に他の参加者やパートナー企業からブログ記事などリリースされていますのでそちらをご覧いただきつつ、私からはちょっと視点を変えたレポートとなりますので、あらかじめご了承ください。YouTubeで殆どのセッションは公開されていますので、現地に行かねば取得できない情報を、主にまとめております。

TC18_01

初日はパートナーサミット参加

弊社アユダンテはタブローの正規パートナーとして活動をしています。昨年のTC17も参加しております。例年グローバルTC開催時には、開催前後日にパートナーサミットが1日通しで自動的に付いてきます。今年は通常TC開催前の前日に開催となりましたので、10月22日(月)は私と弊社システムコンサルタント 井上の二人がパートナーサミットへ参加となりました。パートナーサミットという関係上守秘義務が発生し、あまり外部へは詳細を共有出来ないのですが、1点だけストーリーをご紹介。

今年はパートナーサミットの中で、タブローカスタマーがカスタマーセッションとしてお話しをいただけました。カスタマーはWalmart LabsでDirectorのHeidi Danielsさん。流石のWalmartなので、最先端の分析ツールやテクノロジー、またリソースも豊富なようです。セッションのポイントとしては、Heidiさんが “Roadmap” という言葉を多用されていたように、各ツールベンダーにロードマップを出させ、各ベンダーのロードマップをWalmart(自社)のロードマップに合わせたり、合わせてもらったりという活動がとても大切だ、と熱弁されていました。ツールやサービスは導入しておしまい、ではなく、[自社とベンダー間]、[ベンダーとベンダー間]のエンドレスな最適化やTech Updateが必要だという事になります。こうした考えは一般的になりつつありますが、日々の業務で忘れがちになりやすい点で、流石巨大Walmartの分析チームを動かしている人だ、と思った瞬間でした。

ベンダーが事業活動を行なうにあたり、常にRoadmapを最新にする事が必要となってきますが、Walmartのような規模のデータドリブン企業としての事業会社側の考えや試みがよくわかりました。Quick DMPサービスの現ロードマップを再考したいと思います。

初日は、パートナー企業はパートナーサミットにほぼ参加しますが、他の一般参加者は有償のTableauトレーニングクラスが開催されているのでそれらに参加する事ができます。

2日目以降の活動

10月23日(火)からは一般参加者と供にセッション周りとなります。キーノートセッション含め、内容については既に色んな方が書かれていますのでそちらをご覧いただくか、もしくはTableau社のページをご覧ください。タブローユーザーであればお分かりのように、タブローの進化は早いです。また機能追加が(いつものように)多すぎます。実際のところ、短くまとめるのは大変です。

注目の NLP / NLG

TC18に参加した弊社メンバーの得意分野はまちまちですので、それぞれで注目した点が分かれましたが、私が注目したのは、NLP(自然言語処理) やNLG(自然言語生成)の新機能追加です。タブローと言えば Drag and Drop Analytics とも言われるほど、データ分析がかんたんに行なえるツールですが、今後の分析ツールの流れは、おそらくドラッグ&ドロップさえ不要になり、将来的にはスマートスピーカーに必要な情報を問いかけるだけで、答えを返してくれると思われます。しかしながら今回機能追加される仕様としては、以下の通りです。

  • 英語で質問を書く(タイプする)
  • 結果のグラフと供に、英文で答えが表示される

日本のユーザーとしてはまずは早々に日本語対応してもらいたいところですが、恐らくタブローの事なので早く実現してくれることでしょう。期待して待ちましょう!

Data Night Out

3日目である10月24日(水)は、みなさんお待ちかねの Data Night Out です。セッション会場とは別になりますが、巨大な Mercedes Super Dome を貸しきってのイベントです。いたるところに配置された豊富な食べ物、飲み物(アルコール含む)、音楽など、連日早朝からのセッション受講で疲弊した頭を Cool down します。今回はジャズとブルースで有名な New Orleans での開催という事もあり、音楽はどちらかと言うとJazzyだったりBluesyな感じのバンドが多かったです。総じて楽しめます。

Data Night Outの様子
Data Night Outの様子
Data Night Outの様子2
Data Night Outの様子3

セッションのマテリアル

Session | Tableau Conference 2018
https://tc18.tableau.com/learn/sessions

上記のSessionsページはTC18参加者向けに開催前から公開されていますが、開催後は公開可能なマテリアルについては、各セッションのページで順次公開されています。録画があったセッションについてはYouTubeでも公開されているものもあります。ハンズオンに関しては、PDF資料やTableauファイルも公開されているものもありますので、会場まで足を運ばずに、資料や録画を観ながらタブローを学習できる部分もありますので、お時間ある方はぜひページを覗いてみてください。

昨年のTC17はハンズオンセッションを中心に参加してきましたが、今回のTC18は、事例発表を中心とした Breakout Session や、英語でのやりとりにはなりますがワークグループ的活動のMeetupなどを中心にセッションへ参加してきました。

マーケティング系事例セッションからの Takeaway

今回、マーケティングの事例発表セッションへの参加が多くなりました。グローバルでタブローを活用している事業会社やパートナー企業、また更にそれらのマーケティング部門は、どのように必要なデータの取得、加工、蓄積、分析、レポート配信までを行なっているのか、可能であれば情報を得たいと考えていました。一般的に言われている事でもありますが、データ分析プロセスの7割から8割は、データの前処理にリソースが使われているためです。データの前処理をいかに短期間で、かつ低コストで行なうかは、各社の分析課題であると思います。分析対象のデータ量やサイズが大きくなるほど、こうした課題が問題になってくるからです。データの前処理を無くすことは出来ませんし、ある意味前処理のプロセスをしっかりやっているか否かで、後続のプロセスである「分析」がやりやすいか、効果があるアウトプットが出せるか、に響いてくると考えます。

詳細は長くなるのでここではふれませんが、海外のAd Agencyや事業会社のマーケティング部門では、しっかり分析データマートを構築し、データを蓄積、運用しているケースが殆どでした。データを蓄積する箱が、Amazon Redshiftだったり、Google BigQueryだったり、さらにビッグデータ分析で最近流行の兆しがあるクラウドデータウェアハウス・データレイクだったりの違いがあるだけです。

レポート配信については、恐らく殆どの企業で Tableau Server もしくは Tableau Online を一般的な方法で利用しているようで、特殊なケースや興味深いケースはありませんでした。

弊社のQuick DMPサービスはどうなのか?ここが一番気になります。

Quick DMPサービス
http://quickdmp.ayudante.jp/

結果的には、グローバル標準と比較してそれ程遜色ないサービス展開が出来ているのではないかと思いました。レポート配信については、日本ローカルなChatWorkへのレポート配信に対応していたり、ケースによってはTableau Readerを積極的に活用する運用を提案していたり、レポート配信部分では弊社のサービスが勝っている部分もあるかと思いました。

ビッグデータ分析を早く・安くする流行のクラウドデータウェアハウス

一つ前にも書きましたが、ビッグデータ分析に特化した部分では、Post-Redshift / BigQuery 時台の流れを若干感じるクラウドベースのデータウェアハウスベンダーがパートナーブースで展示をしていました。オンプレミスの高性能なデータウェアハウスベンダーの展示もありましたが、世の中の流れ的には恐らくクラウドベースのソリューションが今後主流となる気がしました。

弊社を含め、Redshiftを定額課金サービスで活用し、ケースによってBigQueryを従量課金サービスで活用する企業は多いと思います。今回参加した事例セッションでは、Redshiftをこれまで活用しパフォーマンスには満足してきたが、データ量の増大に伴い、コストとパフォーマンスの課題が重くのしかかってきている状況が共有されていました。またそうした課題に対して、パートナー企業であるいくつかのベンダーからソリューションが展示されていました。

その一つがSnowflake社になるかと思います。TC18ではLogitechがSnowflakeの活用事例をData Virtualizationの側面(ビジュアライゼーションではない)から発表されていました。詳細はセッション資料と録画がありますので参照いただければと存じます。

Snowflake | Data analytics at Logitech: Snowflake + Tableau = #winning
https://tc18.tableau.com/learn/sessions/34696

資料には両プラットフォームでのクエリーのコストやパフォーマンスが示されていますので、同様の課題をお持ちのタブローユーザー、もしくは単純に分析ツールに関わらずビッグデータ分析でコストと時間で課題があるユーザーにとって、非常に参考になるのではないかと思います。またTC18からの情報ではありませんが、以下も参考になります。

[参考]
Data Warehouse Benchmark: Redshift, Snowflake, Azure, Presto, BigQuery | Fivetran
https://fivetran.com/blog/warehouse-benchmark

Tableau活用における周辺ソリューションのトレンド

ここまででも示したように、グローバルのタブローユーザーは真の意味で大量データを分析しているケースが多い事もあり、以下のキーワードで課題解決を提案しているスポンサーパートナーの展示が多かったです。

  • データモデリング
  • データウェアハウス(オンプレミス・クラウド・ハイブリッド)
  • データ仮想化
  • データカタログ
  • DaaS

恐らく今後、日本でもこうしたキーワードで課題解決を提案するベンダーが増えてくることでしょう。タブロー活用での課題ではありませんし、分析コミュニティー全体の課題でもあります。

TC19に向けての事前準備や情報

もう来年の話?という気もしますが、昨年、今年とTCに参加してきて、もし来年もTCに参加するとしたらこうした方がいいな、と思った点をさらっとまとめます。

キーノートセッションなどホール開催のセッションはData Villageでリモート参加してもいい

なぜかというと、Data Villageの大スクリーンでLive配信されるからです。Data Villageですと、比較的広めのテーブル、椅子に座りながら、コーヒーをゆっくり飲みながら観れるからです。またキーノートなどのセッションは、ほぼ確実に録画され、後々帰国してから再確認する事も出来るので、そこまで気合を入れる必要はないんじゃないかな、という考えです。

Data Villageの様子
Data Villageの様子
Data Villageの様子2

現地へ足を運ばなければ得られない情報を得る

これは私がスポンサーブース周りをした事で感じたのですが、グローバルでのタブロー周りや分析コミュニティーで今何が旬なのか、何が必要とされているのか、みんなは何で困っているのか、といった事が分かるからです。ある意味、業界の先を読み取る非常に良い機会だと思います。

またMini-Theatre系のセッションは比較的マテリアルの共有がありませんし、個人的には非常に良い情報が得られましたので、Mini-Theatre系で参加すべきものは早めに並んで席を取って参加する事をお薦めします。

またMeetup系のセッションも英語でのコミュニケーションが必須となりますが、こちらもおすすめです。同じ課題を持ち合う人たちと課題共有できたり、意見をもらえたりするのがよいのではないかと思います。

対してハンズオン系やTableau提供セッションは、比較的すべてのマテリアルがオンラインで共有されますので、あとで帰国してからゆっくりでも良いような気がします。

最後に

来年のTC19はラスベガス開催が決定しておりますが、来年も弊社が参加できるよう、お客様へ貢献しサービスを拡大していきたいと思います!

Tableauのデータ準備で困ったら
http://quickdmp.ayudante.jp/