Googleアドワーズで2016年7月から全アカウントで運用提供されたレスポンシブ広告。
提供開始から1年以上が経ちました。レスポンシブ広告をまだ導入してない!という方は少ないかとは思いますが、パフォーマンスがイマイチなんだよな…という方は多いのではないでしょうか。
そこで、効果的なレスポンシブ広告の作り方について、2017年9月13日に行われたアナリティクスウェブアソシエーションのウェブアナリスト養成講座「運用型広告の最新事情と分析に基づく最適化手法」において、筆者が担当したパートの内容を、こちらでもご紹介します。
- レスポンシブ広告の効果 導入前後比較
- まずは、おさらい。レスポンシブ広告とは?
- レスポンシブ広告の入稿規定を確認
- CVアップに重要なのは、画像?テキスト?
- 効果的なレスポンシブ広告の作り方
- レスポンシブ広告の評価はキャンペーン全体で見る
- 試行錯誤を続けながら最適解をめざす
レスポンシブ広告の効果 導入前後比較
上記は、あるIT関連企業でのレスポンシブ広告導入前後の3か月間を比較した表です。半分の広告費用でCV数を81%増加させることができました。
広告費用に関しては、思わぬ副産物と言いましょうか、レスポンシブ広告を導入したことによりキャンペーン全体のパフォーマンスがあがり、CPCが下がり結果的に少ない広告費で運用することができるようになったのです。
今回は、筆者がどのようにレスポンシブ広告を作成して、このような結果につなげたのかその一端をお見せします。
まずは、おさらい。レスポンシブ広告とは?
レスポンシブ広告の概要・メリット
レスポンシブ広告とは、入稿されたクリエイティブアセットを組み合わせ、すべてのフォーマット(テキスト、イメージ、ネイティブ)、50以上のすべてのサイズ、すべての広告枠を網羅できる広告形式です。
メリットは以下の2点です。
- 入れるオークションを増やし、機会損失を減らす
- イメージ広告(バナー広告)を作成するより工数が少ない
入稿していないイメージ広告のサイズ以外のオークションにも入れることにより、今までリーチできていなかったユーザーにもリーチできるようになります。
現場の運用者としては、2をメリットと感じることが多いのではないでしょうか。
バナーを何サイズか作成し、入稿するまではなんとかできても、掲載結果を見てクリエイティブを全サイズ分修正し、また掲載結果を見て…というのは限界があるというのが正直な実感です。
クリエイティブを作りこむ必要はありません。修正も容易にできるので、その分PDCAも回しやすいのです。
レスポンシブ広告の入稿規定を確認
レスポンシブ広告の入稿規定(クリエイティブアセット)について、いま一度確認します。
レスポンシブ広告のクリエイティブアセット
クリエイティブアセットは2サイズの画像とテキスト(見出し、広告文)で構成されています。
これを自動的に組み合わせることにより、すべての広告枠にフィットした形で掲載されるのです。
どのフォーマットにどのクリエイティブアセットが使われるのか
では、どのフォーマットにどのクリエイティブアセットが使われるのか見ていきましょう。
上の表はレスポンシブ広告を作るときに、覚えておくと便利です。
例えばブランド名を必ずどこかに入れなくてはいけない、というレギュレーションがある場合、画像、短い見出し、長い見出しに入れておけば必ず表示されるということがわかります。
CVアップにつなげるのに重要なのは、画像?テキスト?
レスポンシブ広告は画像とテキストで構成されています。
レスポンシブ広告を作るとき、画像とテキストのどちらが重要なのでしょうか。
筆者の個人的見解、ではありますが「テキスト、しかも短い見出し」が重要だと考えています。
言い換えてみれば「短い見出しを制する者がレスポンシブ広告を制する」のです。その理由は三つあります。
1.どのフォーマットにも短い見出しは表示される
ネイティブでは、短い見出しか長い見出しのどちらかの表示とはなりますが、すべてのフォーマットで短い見出しが表示されるため、短い見出しがもっともユーザーの目に触れると言うことができます。
2.短い見出しとセットで表示される広告文はサイズによって途中で途切れてしまう
広告文は見出しとセットで表示されますが、サイズによっては、広告文が途中で省略されてしまうことがあります。テキスト広告では、見出しと広告文は相互に補うようにワンセットで作成しますが、レスポンシブ広告では、広告文で補えばいいと思っていると省略されてしまい、意図したとおりに表示されないことが起こりえます。
3.ネイティブでは、短い見出しと画像のみ表示される場合がある
上の図のような掲載の場合、短い見出しでどれくらいユーザーに理解され、興味を引けるかが重要になります。
効果的なレスポンシブ広告の作り方
では、実際に作ってみましょう。
例:アユダンテ株式会社運用型広告部門の営業用リストのため、「基礎から解説!運用型広告」というホワイトペーパーを作成し、プロモーションする
※架空のホワイトペーパーです。
最初にしなくてはいけないことは、キーワードプランナーや関連サイトなどを見てクリエイティブアセットにどんな文言を盛り込むかを決めることです。
例の場合、まず、キーワードプランナーで「運用型広告」と関連性の高いキーワードを、「Web担当者Forum」でSEM関連記事のランキングや弊社サイトのSEM関連のコラムでどんな記事が読まれているのかを確認します。
すると、以下のことがわかりました。
- 「運用型広告」よりも「リスティング広告」「リスティング」の方が検索ボリュームがある
- 「効果測定」や「広告文の書き方」、「キーワード選定」「SNS広告」の記事が人気がある
太字にした文言を盛り込むことにし、実際にテキストを書いていきます。 テキストを書くときに意識することは以下の3点です。
- 短い見出しだけで意味が通じるように!
- 広告文は短い見出しとの関連性を考えつつ言いたいことは最初の半角40文字に!
- 長い見出しは、ネイティブのみ使われるので記事タイトルのように仕上げるのもGood!
1と2は繰り返しになりますが、画像と短い見出しのみで表示された場合にも、ユーザーがある程度理解できるようにする必要があり、広告文はフォーマット、サイズによっては省略されてしまうことがあるためです。40文字はあくまでも目安ですが、最初の方に言いたいことを入れることを意識するのがいいでしょう。
3は、必須ではありませんが、こう考えると書きやすくなるというコツのひとつです。
実際に作ってみました。
①②は良い例、③は悪い例として作成しています。
※赤字が半角40文字の範囲
①②は、短い見出しのみでもある程度の内容が伝わるように書いていますし、短い見出しにしっかりと盛り込むべき文言が入っています。また、広告文も見出しを補足する内容でありつつ、最初の40文字に伝えたいことを入れることができています。
一方、③は、見出しと広告文のセットで「リスティングのキーワードだ」とわかるようにはなっていますが、短い見出しのみだと「キーワード」が何を指すのかが不明です。
レスポンシブ広告の評価はキャンペーン全体で見る
無事にレスポンシブ広告の入稿が終わり、運用開始となりましたがそれでおしまいではありません。せっかく作ったレスポンシブ広告は、どう評価していくべきなのでしょうか。
イメージ広告と比べて…という考えは捨てる
まず、イメージ広告と単純に比較することはやめましょう。
なぜなら入れるオークション機会が増えることにともない表示回数は多くなりますが、イメージ広告と比べクリック率は低くなる傾向にあります。
上の表は、同じレスポンシブ広告を、ネイティブのみに配信した場合とネイティブ以外に配信した場合とを比較したものです。
ネイティブのみに配信した場合、ネイティブ以外に比べ表示回数は倍近い数値になっていますが、クリック率は約0.3ポイント低い結果となりました。
クリック率の低さの一端がここにもあるようです。
評価はキャンペーン全体で
では、どうするんだ、という話に移りますが、キャンペーン全体でレスポンシブ広告の導入前後を比較するという方法があります。
一つの広告グループにレスポンシブ広告を複数入稿し、そのまま1か月程度運用を続けます。
それから導入前後でキャンペーン全体のパフォーマンスが上がったのか下がったのかを確認してください。
もし、クリエイティブの比較をしたいということであれば、レスポンシブ広告同士で行うのがいいでしょう。
とはいえ、イメージ広告と比較してあまりにも表示回数が少ないのは問題です。
レスポンシブ広告の特性としてオークション機会の増加があるにも関わらず表示回数があまりにも少ないということは、その広告の評価が低いため、配信されなくなっていると考えられるからです。
その場合は、クリエイティブの変更を検討しましょう。
試行錯誤を続けながら最適解をめざす
今回説明したレスポンシブ広告の作り方が絶対の必勝法、というわけではもちろんありません。
レスポンシブ広告は修正がしやすい分、いろいろな工夫ができる広告形式ですから、まだまだ筆者も試行錯誤を繰り返しています。
基本は押さえた上で柔軟に、楽しみながら作成してみるのがCVアップにつながるレスポンシブ広告への近道なのかもしれません。