AMPページをGoogleアナリティクスで計測するベストプラクティス

2017年08月21日
ライター:村山 佑介

GoogleやTwitterが共同でAMPに注力したことで、ウェブサイト内にAMPページをもつサイトも増えつつあります。

1つのコンテンツに対してAMPページのみの運用も可能ですが、基本的にはスマートフォンでの閲覧に最適化されたページがセットとなります。

そうなると運用工数的には別リソースとなりますので、AMPページと非AMPページがユーザーにとってどのように扱われているのか、それぞれのリソースに対して成果を正確に計測できる環境を用意しなければいけません。

先日、Google Developersの日本語版ブログでも計測内容のアップデートがあったため、ご存じの方も多いかと思われますが、AMPページでの計測仕様に一部変更がありました。

何が変わったのか、今まで計測していた場合はどのような変更が必要になるのか。 AMPページを使いビジネスを展開する上で理解しておくべき計測仕様があります。

AMPページをGoogleアナリティクスで計測する上で意外と落とし穴ありますので、現状でのベストプラクティスをご紹介します。

  1. AMPページにおける計測仕様の変更時期について
  2. 何が変わったのか?
  3. Googleアナリティクスで計測する際のプロパティ構成
  4. Googleアナリティクス内の設定
  5. GTMのAMP用コンテナで計測する場合
  6. AMPページをどのように利用するのか、その視点で環境を整える

AMPページにおける計測仕様の変更時期について

まず、アナウンスがあったブログページを確認します。 日本語で確認できるページには以下のものがあります。
Google Developers Japan: Google アナリティクス、AMP のサポートを強化

しかし、上記ページ内でも記載されているように、一次情報としては下記の英語で記載されているページが先行となります。
Google Analytics is Enhancing Support for AMP ? Accelerated Mobile Pages Project

上記、2017年5月16日に公開されたページでは、導入時期について、今後数週間以内に適用されると記載されていますので、当コラムのこの記事が公開される日には導入完了済みと考えられます。

既に導入完了済みの計測仕様の変更ですが、何が変わったのか、今まで計測していた場合、どのように数値が変化するのか、計測実装に変更が必要なのかを理解しておく必要があります。
計測されている数値を正しく理解し、ビジネスに展開するようにしましょう。

何が変わったのか?

2017年5月以前と5月以降では何が変わったのでしょうか。
下記の図とあわせてご紹介していきます。

AMPページを作成するとサイト内外に同じページが下記のように生成されることになり、ページを閲覧するユーザーが、シーンに応じてそれぞれのページを閲覧できるようになります。

3種類のAMPページ

自ドメイン内非AMPページが下記のようなURLで存在していたとします。

http://www.sample.com/test/test.html

自ドメイン内AMPページをディレクトリ分割して作成している場合、下記のようなURLとなります。

https://www.sample.com/amp/test/test.html

キャッシュ内AMPページとは、Google AMP Cache などの AMP キャッシュから提供される AMP ページを指します。

前述のようにAMPページをディレクトリ分割して作成している場合、キャッシュ内AMPページのURLは下記のようになります。最近は後者が中心となり前者はあまり見かけなくなりました。

https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html

自ドメイン内のAMPページをパラメータ付与したり、ファイル名を変更して作成している場合は、下記のようなURLとなります。

http://www.sample.com/test/test.html?amp=1
http://www.sample.com/test/amp.test.html

その場合、キャッシュ内AMPページは下記のようなURLとなります。

https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/test/test.html?amp=1
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/test/test.html?amp=1
https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/test/amp.test.html
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/test/amp.test.html

AMPページの効果を計測するためにGoogleアナリティクスを設置する際、AMPページではjavaScriptが使用できないため、AMPページ専用のコードを設置するか、GTMにてAMP用コンテンツスニペットを設置し、計測させる必要があります
AMP ページにアナリティクスを追加する | AMP ページ向けアナリティクス | Google Developers
設定とインストール - タグマネージャ ヘルプ

Googleアナリティクスで同じユーザーをあらわすclientidは、自ドメイン内では共通の値を使用できるのですが、AMPページ内に設置するGoogleアナリティクスはjavaScriptではなく、生成されるCookieが異なるためclientidも違う値になってしまうという仕様が2017年5月以前までの仕様となります。

先程の図であらわすと2017年5月以前は以下のようなclientidの状況でした。

AMPページの異なるclientid

キャッシュ内AMPページ、自ドメイン内AMPページと自ドメイン内非AMPページでclientidが異なりますので、すべて別ユーザー、別セッションとなります。

例えば、Google検索からGoogleキャッシュのキャッシュ内AMPページを閲覧後、そのAMPページ内にあるリンクから自ドメイン内のAMPページへ遷移します。その後、自ドメイン内のAMPページ内にあるリンクから自ドメイン内非AMPページへ遷移して離脱したとします。

AMPページの遷移

その場合、

ユーザー数は3、セッションは3

となります。

clientidが変更される遷移ごとにセッションがきれるので、直帰率や滞在時間といった指標に影響があります。

計測仕様が変更された2017年5月以降は以下のようなclientidの状況となります。

AMPページ clientidが自ドメイン内は同じに

キャッシュ内AMPページに関しては以前と同様に異なるclientidの値となるので、Googleアナリティクスでは別ユーザーとなり、clientidが異なる自ドメイン内AMPページに遷移する際はセッションが切れます
しかし自ドメイン内AMPページと自ドメイン内非AMPページに関しては、同じCookieの名前を使用することになり、clientidに関しても同じ値を使用できるようになったため、Googleアナリティクスでは同じユーザーとして計測されるようになりました。

つまり、先程と同じような遷移を行った場合、

AMPページの遷移2

ユーザー数は2、セッションは2

となります。

当然のことながら、自ドメイン内AMPページから自ドメイン内非AMPページに遷移した際にセッションが切れることなく計測されませす。セッションが切れないため、直帰率や滞在時間といった指標も2017年5月以前の数値とは異なります。

Googleアナリティクスで計測する際のプロパティ構成

2017年5月以前はキャッシュ内AMPページ、自ドメイン内AMPページと自ドメイン内非AMPページはそれぞれ別ユーザー、別セッションとして計測されるためか、AMPページは非AMPページと別プロパティとして計測することが推奨されていました

2017年5月以前のプロパティ構成

2017年5月以前のプロパティ構成

AMPページから自ドメイン内非AMPページへ遷移する際は、utmキャッシュパラメータを付与して遷移させることで、自ドメイン内非AMPページを計測しているプロパティではAMPページから流入したセッションであると計測できていました。計測実装もAMPページか非AMPページかでプロパティを分ける、といったシンプルな実装でした。

2017年5月以降のプロパティ構成

2017年5月以降のプロパティ構成

前述のように自ドメイン内AMPページと自ドメイン内非AMPページは同じユーザーでセッションを切らずに測定することができるようになったため、Googleアナリティクスにおけるプロパティ構成をUA-XXXXX-1に統一する必要があります。

もし、AMPページから非AMPページへ遷移する際にutmキャンペーンパラメータを付与しているのであれば、utmキャンペーンパラメータが付与されたURLを遷移することでセッションが切れてしまうので、AMPページの非AMPページへのリンクに付与しているutmキャンペーンパラメータを削除する必要があります。

Googleアナリティクス内の設定

今回はAMPページ専用のディレクトリを作成しているケースを例にとって、Googleアナリティクス内の設定をご紹介します。

1.カスタムディメンションの設定

AMPページを計測する場合、Page Hostnameをカスタムディメンションへヒットスコープで計測させましょう。

なぜ、カスタムディメンションにPage Hostnameを設定するかというと、Googleアナリティクスのレポート上で「ホスト名」にて表示されるのはキャッシュ内AMPページであっても自ドメインに寄せられてしまうという計測仕様があるからです。

つまり、キャッシュ内AMPページである下記のページと

https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html

自ドメイン内AMPページである下記のページでは

https://www.sample.com/amp/test/test.html

Googleアナリティクスでどちらも「ホスト名」が” www.sample.com”と計測されてしまいます。

このままだと、キャッシュ内AMPページと自ドメイン内AMPページのどちらへのトラフィックなのかを判別できません。

そこで、カスタムディメンションに、ヒットスコープでフルホスト名を計測させるようにすることで、AMPページへのトラフィックを、キャッシュ内AMPページと自ドメイン内AMPページで区別させることが可能となります。

後述のGTM内における設定でフルホスト名をカスタムディメンションへ計測させる設定を行った場合も、Googleアナリティクス内での設定が必要となります。

以下のように、ヒットスコープでカスタムディメンションを設定しましょう。

カスタムディメンション設定画面

2.コンテンツグループの設定

コンテンツグループの設定は+αの計測対応となりますが、AMPページへのトラフィックのみを簡単に閲覧する際には設定しておくと便利です。

下図はAMPページを「/amp/という文字列を含む」URLで運用している場合の設定例です。

コンテンツグループ ルールを定義

3.チャネルグループの設定

チャネルグループの設定も+αの計測対応です。チャネルグループを設定することで、AMPページへのトラフィック、AMPページからのトラフィックを確認しやすくなります。

OrganicからAMPページ、キャッシュ内AMPページから自ドメイン内AMPページ、キャッシュ内AMPページから自ドメイン内非AMPページの作成例が下記となります。

下図はAMPページを「/amp/という文字列を含む」URLで運用している場合の設定例です。

チャネルグループ organic>AMP
チャネルグループ キャッシュ内AMP>自ドメイン内AMP
チャネルグループ キャッシュ内AMP>自ドメイン内非AMP

その他のプラットフォームからAMPページへの流入等、分析目的に応じて作成していくようにしましょう。

4.AMP用ビューの作成

AMPページも非AMPページも同じプロパティに対してヒットを送信しているため、ビューを分割することで下記のビューパターンを作成することが可能です。

  • AMPページ+非AMPページ
  • ・非AMPページのみ
  • ・AMPページのみ

それぞれの要件に応じてビューフィルタを作成しましょう。AMPページのみのビューを作成するのであれば下記が作成例となります。

下図はAMPページを「/amp/という文字列を含む」URLで運用している場合の設定例です。

AMPのみのビューの作成

5.ユーザーリストの設定

ユーザーリストについてはAMPページと非AMPページでプロパティを分割して計測していた場合で、かつそれぞれのプロパティからユーザーリストをAdWordsへインポートしていた方が対象です。

ユーザーリスト作成も1つのプロパティのみで対応できるようになるため、ユーザーリストの作成しなおしが必要となります。急にリストが減ったなどにならないよう、注意しましょう。

ユーザーリストの修正

GTMのAMP用コンテナで計測する場合

昨今では、すでにGoogleタグマネージャ(GTM)を導入し、計測タグを管理されているサイトも増えてきています。

そこでAMPページをGTMのAMP用コンテナで計測する場合の実装方法について解説します。

1.GTMでAMP用コンテナの作成

GTMで新規コンテナ作成を選択すると以下のようにコンテナの使用場所を選択する画面が表示されます。
その中で、AMPを選択します。

コンテナの作成

2.AMPページにGTMスニペットタグを追加

計測対象となるAMPページにGTMスニペットタグを追加設定します。

GTMスニペットタグの追加設定

3.GTM内の計測設定

GTM内でタグ設定を開始します。

トラッキングIDに非AMPページも計測しているプロパティIDを設定します。
トラッキングタイプはページビューを選択します。
前述のとおり、カスタムディメンションに{{Page Hostname}}を設定します。

ディメンションの値は空いているインデックス番号を指定してください。

GTMのタグ設定

次にトリガーの準備となります。
トリガーを準備する前に決めておくこと、確認しておくことがあります。

それはAMP用コンテナで計測するプロパティが単一プロパティか複数プロパティかという点となります。

・単一プロパティの場合
AMP用コンテナから計測するプロパティが単一プロパティの場合、トリガーの発生場所としては「すべてのページビュー」となります。 設定画面としては以下のようになります。

トリガーの設定 単一プロパティの場合

・複数プロパティの場合
AMP用コンテナで計測するプロパティが複数プロパティの場合、トリガーの発生場所としては「一部のページビュー」を選択します。

トリガーの設定 複数プロパティの場合

AMP用コンテナスニペットを複数のドメインに設置する場合、トリガーの発生場所を「すべてのページビュー」に設定してしまうと、複数のドメイン内におけるAMPページのトラフィックを前述で指定したプロパティIDに対してヒットを送ってしまいます。

複数のドメインにAMPページがあり、共通のAMP用コンテナスニペットを使用している場合、「一部のページビュー」をトリガーの発生場所に設定しましょう。

なお「一部のページビュー」でURLを条件とするトリガーを作る際、Page Hostname変数の仕様に注意が必要です。

Page Hostname変数は「ページが表示された際のホスト名」となるため、キャッシュ内AMP(前述の例で言えばcdn.ampproject.orgまたはwww-sample-com.cdn.ampproject.org)と自ドメイン内AMP(www.sample.com)では異なってしまいます。

例えば、PageHostnemeを使用して「www.sample.com」を「含む」で設定した場合、

https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html
https://www.sample.com/amp/test/test.html

のうち、

https://cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html
https://www-sample-com.cdn.ampproject.org/c/s/www.sample.com/amp/test/test.html

はホスト名が一致しないため、タグが発火しません

ですので、もし「『キャッシュ内AMP』と『自ドメイン内AMP』で計測プロパティを分けたい」などであればPage Hostname変数で条件を作る形で問題ありませんが、「『元となったAMPページのサブドメイン』で計測プロパティを分けたい(『キャッシュ内AMP』と『自ドメイン内AMP』では区別せず、ページに応じてプロパティを分けたい)」場合はPage Hostname変数ではなく、上記のようにPage URL変数を使用すると良いでしょう。

Page URL変数を使用し「www.sample.com」を含む、で設定することで上記3つのURLすべてでタグを発火させることが可能となります。

以上でGTM内での設定が完了となります。

タグの設定

プレビューモードで確認した上で、良きタイミングでタグの公開処理を行いましょう。

AMPページをどのように利用するのか、その視点で環境を整える

AMPという技術はユーザーにとって素晴らしい技術だと思います。

事業側にとっても、ユーザーにメリットがあるため、コンテンツをAMPページで運用するという選択肢は間違いではありません。
ただし、事業としてAMPページを選択するにはビジネスの成果に貢献するコンテンツでありたいものです。

そのためにも、正しく計測できる環境を用意する必要があります。

今回の変更で、今一度確認しておきたい項目を最後にまとめます。

  • AMPページをどのように活用するのか
  • 現状はどのように計測しているのか
  • 計測実装を何のために変更しなければいけないのか

ビジネスの成果にどのようにつなげていくのか、社内でのAMPページの位置づけを決めて計測方針を整えていきましょう。