すでにご存じの方も多いかもしれませんが、ヤフー株式会社が3月19日に、iPhone向けのアプリとして「SmartSearch」というスマートフォンデバイスに特化した検索アプリをリリースしました。対応OSはiOS 7.0以降のみですが、将来的には、iPadやAndroid向けアプリもリリースされると予測されます。
今回は、現時点の「SmartSearch」における流入計測がGoogleアナリティクスにおいては、どのように計測されるのかを検証してみました。
「SmartSearch」とは
まずはじめに、このアプリの特徴としては、スマートフォンが利用されるシーンを想定した機能や、表示内容を考えて作成された検索アプリであることです。
キーワード検索した検索結果において、ウェブサイトや画像、ニュースやYahoo!Japanの運営しているコンテンツサービス、ヤフー株式会社と提携している企業のコンテンツ(NAVERまとめまど)を視覚的に並べて表示し、直感的にとらえやすくなっています。また、検索結果に並べられている情報を閲覧し、その情報に対して「さらに探したい、もっと知りたい」というユーザーがさらに検索しやすいように、ウェブサイトや画像、ニュースなどからも個別に検索を行えるようになっています。
例えば、「SmartSearch」上で「海」と検索すると以下のようになります。
はじめに「海」に関するオーソリティと思われるコンテンツが表示。☆マークをタッチすることで、検索キーワードが保存可能なようです。
概要とされるオーソリティ部分より下は、検索クエリによって異なりますが、「海」という検索では「ウェブ」「画像」「まとめ」が表示されています。「画像」で最上部(1番左上)に表示された画像が、オーソリティ部分にて使用される背景画像になるようです。
「ウェブ」「画像」「まとめ」のそれぞれに表示されている「もっとみる」をタッチすることで、それぞれの検索メニューにて、さらに検索できるユーザビリティとなっています。
例えば、「ウェブ」コンテンツ部分の「もっとみる」をタッチすると以下のようになります。
パソコン版の検索結果と同じく、スマートフォン版での検索結果ておいても、ページタイトルとdescriptionがリスト表示されるブラウザアプリが多い中、この「SmartSearch」ではページタイトルとページのサムネイルプレビューのみが検索結果に表示されるという特徴があります。
また、検索結果を下にスクロールすると、ページナビゲーションが表示されるわけではなく、検索結果内容がレンダリングされて他のページが表示される仕様となっています。
「SmartSearch」は、Googleアナリティクスではどのように計測されるのか
このようなスマートフォンでの検索に特化して作成されたアプリが、近い将来、爆発的に普及する可能性もあります。その時に気になるのは、「SmartSearch」経由でサイトへ流入した数や内容ではないでしょうか。
今回は、いち早く「SmartSearch」経由でサイトへ流入した際は、Googleアナリティクスで計測することが可能なのか検証してみましたので、その内容をご報告させていただきます。
まず、先程も記載したように「SmartSearch」での検索結果ではサイトのサムネイルプレビューが表示されます。
前述の「海」でウェブ検索すると、下記のようなページタイトルとページのサムネイルプレビューが検索結果に表示されます。そして、検索結果を下にスクロールすると、スクロールした分のサムネイルプレビューが表示されます。検索クエリによってスクロールすることができるスクロール量が異なるようにも思えましたが、数多くのサイトをサムネイルプレビューにて表示することができるようです。
ここで問題なのが、このサムネイルプレビューですが、生ログ上でもGoogleアナリティクス上でもアクセスがカウントされ計測されてしまうという点です。
下記は、Googleアナリティクスでのリアルタイムレポートですが、検証用サイトを「SmartSearch」におけるウェブ検索の検索結果にサムネイルプレビューさせたことで、アクセスのカウントを計測することができました。
アクセスがカウントされてしまうのも問題なのですが、すべてのアクセスが「新規セッション」として検出されてしまうのも問題かと思われます。
このページのサムネイルプレビュー時のIPアドレスを生ログで見たところ、「183.79.92.92」からのアクセスとなり、IPアドレス調査ツールで調べてみるとYahooサーバー経由のアクセスと予測することができました。
IPアドレス:183.79.92.92
ホスト名:proxy01.puffer.kks.yahoo-net.jp
IPアドレス割合国:日本(jp)
接続回線:該当なし
また、その際のUAは下記となり、Yahooサーバーが偽装しているUAのようです。
Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 6_0 like Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/536.26 (KHTML, like Gecko) Version/6.0 Mobile/10A5376e Safari/8536.25
このYahooサーバーが偽装しているUAは、Googleアナリティクスでは「パソコン」からの流入として計測されてしまうようです。
スマートフォンの検索アプリですが、「パソコン」からの流入として計測されてしまうのは避けていただきたいところではあります。
では、「SmartSearch」のウェブ検索からウェブサイトへアクセスした際の計測内容をみていきましょう。
先程と同じように、サイトへアクセスされた時点のIPアドレスを生ログで見たところ、「126.253.14.189」が確認でき、「SmartSearch」における検索結果ページでのIPアドレスとは異なることがわかります。こちらのIPアドレスを調査してみると、下記となり、ソフトバンクなのでキャリア網なのではないかと推測することができます。
IPアドレス:126.253.14.189
ホスト名:pw126253014189.6.panda-world.ne.jp
IPアドレス割合国:日本(jp)
接続回線:携帯電話
そして、下記が気になるウェブサイトへアクセスした際のUAです。
Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 7_1 like Mac OS X) AppleWebKit/537.51.2 (KHTML, like Gecko) Mobile/11D167
上記のUAは、実際に「SmartSearch」のウェブ検索を利用し、検証用サイトへアクセスしたiPhone端末のUAとなり、偽装されていないようです。
ただし、スマートフォンアプリからの流入となりますので、「ノーリファラー」として計測されてしまいます。
先程の「SmartSearch」のウェブ検索サムネイルプレビューとあわせて、すべて「ノーリファラー」として計測されてします。
Googleアナリティクスでの「SmartSearch」経由の計測まとめ
サイト名やブランド名にて検索される傾向が強いサイトは、「SmartSearch」におけるウェブ検索結果ページにおいて、サイト内のページがサムネイルプレビュー表示される可能性が高いため、訪問者が多く計測されてしまう可能性があります。
現状、利用者が限定的であり、僅かながらのユーザーしか利用していないと思われる「SmartSearch」ですが、今後、利用者が増えるのであれば、検索結果に表示されるサムネイルプレビュー時の処理を改善していただきたいところです。