※Web担当者Forumの連載「企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場」を更新しました。
今回の取材先は、ベネッセコーポレーション様です。
今回のインタビュー、ライティングは「小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド」の著者 深谷歩さんです。
ヒトと愛犬・愛猫との生活総合誌『いぬのきもち』『ねこのきもち』(ベネッセコーポレーション刊)は、定期購読スタイルの月刊雑誌として、飼い主が必要とする情報がしつけ・健康からお手入れまで網羅されている。「いぬのきもち・ねこのきもち」のWebサイトは、2012年10月にリニューアルされ、オウンドメディア展開に合わせてFacebookとTwitterもスタートした。
その活動はFacebookを中心に、Twitterと合わせて毎日10件以上投稿するほどアクティブで、ユーザー参加型のコミュニケーションを積極的に築いている。『いぬのきもち』『ねこのきもち』のソーシャルメディアの運用を含め、Webサイト全体の運営を管理している松井大和氏に、ソーシャルメディア活用についてうかがった。
Facebook・Twitter活用の目的
リニューアルするWebサイトを盛り上げるためにスタート
―FacebookとTwitterを運用されていますが、運用を始めるきっかけを教えて下さい。
2012年10月に『いぬのきもち』『ねこのきもち』のWebサイトをオウンドメディアにリニューアルするにあたり、ユーザーとのつながりをリニューアル前から持ちたいということで、2012年8月にFacebookとTwitterをほぼ同時に、Webサイトに先行して開始しました。
『いぬのきもち』は約12万部、『ねこのきもち』は約10万部と、ペット向けの雑誌では最大規模ですが、リニューアル前のWebサイトは販売促進または既存読者向けのものでした。雑誌は知っていてもWebサイトを知らないという人も多いため、飼い主さんだけではなく、犬猫好きな方にも楽しんでいただけるオープンなサイトにしたいとの思いでリニューアルしました。
―ソーシャルメディアを始めるとき、社内の反応はどうでしたか。
すでに、社内の別の部署ではソーシャルメディアを活用(ソーシャルメディア公式アカウント一覧)していましたし、会社全体のソーシャルメディア活用のガイドラインがまとまっていたので、開始すること自体はすんなりと決まりました。とはいっても、自分たちでソーシャルメディアの公式アカウントを運用するのは初めての経験だったので、最初は手探り状態でした。
運用体制
本当のおもしろさや楽しさは、実際の作り手でないと伝えられない
―FacebookページやTwitterはどのような形で運用されていますか。
コンテンツのおもしろさ、楽しさを伝えるには、実際に作っている自分たちで試行錯誤しながらやるべきだと思っていますので、どちらもすべて自分たちで投稿内容を考え、運用を行っています。
最初に社内のガイドラインに合わせてマニュアルを作成し、アカウントを開設したばかりのときは、投稿内容を毎回メールベースで確認して承認していました。その後、1~2か月もすると安定してきたので、各担当者の自己判断で投稿できるようにして、今は必要なときだけ事前の確認をするような形で運用しています。
どちらもWebサイトの広報担当キャラクターの「いずみちゃん」が読者のみなさんに話しかけるという形で投稿を作成しています。
―FacebookとTwitterではどういう情報を発信していますか。
Facebookはだいたい1日に3~5回、Twitterは1日に8~12回ほど投稿しています。Facebookの投稿はTwitterとも連動する形になっています。
Facebookで投稿するのは、Webサイトのコンテンツの紹介、またWebサイトで読者から募集している写真を紹介することが多いです。写真を紹介する以外にも、「写真にアテレコをつけて!」「川柳を募集!」「犬猫あるある募集!」というような参加型の投稿を週に2~3回実施しています。
なかでもアテレコ募集は大変好評で、猫の写真のアテレコでは平均して100件ほどのコメントがつきます。そのなから、おもしろいアテレコを選んで、写真に付け加えた形で再度投稿して紹介しています。
また、リアルな読者イベントとして「いぬのきもちフェスタ」を年に数回開催していますが、このイベントの情報をFacebookからリアルタイムで伝えることもあります。
Twitterでは、これらの情報を連動させて投稿することに加えて、ドッグカフェなど犬と猫に関連する施設情報を紹介したり、Webサイト内のコンテンツを紹介しています。
写真に感謝のコメントをもらうことも。飼い主ならではの気持ちに寄り添う
―投稿内容で気をつけていることはありますか。
Facebook、Twitterどちらの場合も一番意識していることは、ユーザーに楽しんでもらうことです。雑誌の購読につながるような販促の情報も挟みますが、ほとんどの投稿はユーザーに楽しんでもらったり、一緒に参加して盛り上がったりしてもらえるようなものにしています。
Facebookで紹介する写真は、Webサイトのコンテストや投稿コーナーで投稿された、自慢の愛犬・愛猫の写真です。Facebookで紹介して他の人からコメントや「いいね!」がつくことを喜んでもらっています。コンテストなどでは、賞品をプレゼントすることもありますが、プレゼント目当てというよりも、ピックアップされてみんなに見てもらうことのほうが、喜びの声をいただくことが多いです。
ユーザー同士がコミュニケーションを楽しんでいらっしゃるので、特にコメントをすることはしていませんが、もちろん、コメントはすべて楽しく拝見していて、質問や内容のミスの指摘などに対してはできる限り返信するようにしています。また、Webサイトのコンテンツ作成などに活用しています。
投稿予約で少人数でもラクラク運用
―投稿頻度がずいぶん高いですが、ユーザーの反応はいかがですか。運用は大変ではないですか。
Facebookは、朝、昼、夕方に投稿していますが、やはり、お昼休みや帰宅時間は反応が増えますね。アテレコの募集などは、参加しやすいお昼休みの時間、帰宅時間に投稿しています。
運用については、「つぶやきデスク」を使って、投稿予約を行っているので非常に効率的に運用できています。
―運用ツールはどういう経緯で選ばれたのですか。
もともと少人数でサイトの制作から運用までしているなかで、さらにFacebookとTwitterの両方を運用するのは大変ですから、最初から運用管理ツールを探していました。Webなどから検索で探したなかでいくつか比較検討したのですが、つぶやきデスクは価格が決め手となりました。しかも、必要な投稿予約や解析機能も備わっているので、助かっています。サポートがないフリーのツールは、何かあったときの対応ができませんので、商用ツールから探しました。
効果測定
ソーシャルメディアが“更新のお知らせ”の役割を担う
―販促だけでなく、コミュニケーションを強化するため、オウンドメディアとソーシャルメディアを始めたということですが、目標はどのように設定していますか。
コミュニケーションを考えたときに、何を指標とするかは難しいところなので、われわれも「いいね!」や「フォロワー」の数以外の指標を模索している段階です。ただ、考えてからでは遅いので、まずはエンゲージメントと認知拡大のために始めました。当然、WebサイトのPVは指標に入っていて、連載記事の人気などを見ています。
ソーシャルメディアに関しては細かな運用分析は行っていませんが、シェアや「いいね!」、コメントの数はチェックしていて、ユーザーの反応を見ながら投稿する内容を選んでいます。Webサイトのアクセス解析にはGoogleアナリティクスを、ソーシャルメディアの拡散やクリック数などの計測には、つぶやきデスクの解析機能を利用しています。
運用当初は、慎重にやっていたこともあって投稿が固い感じでした。また「ぜひ、いいね!してください」「コンテンツを読んでね!」というような呼びかけをしていましたが、最近はあまり書いていません。自然な流れで投稿すれば、ユーザーに呼びかけなくても良い反応をいただけるからです。
実際、Webサイトへの流入元としては、Facebookが最も多くなっています。新着のコンテンツを紹介しているので、ユーザーはかつてのRSSのような感じで見ているのかなと感じています。Webサイトを訪れる人の約半数がスマートフォンです。スマートフォンでFacebookをチェックして、おもしろそうなコンテンツのリンク先を見るというスタイルになっているのでしょう。
一方でTwitterはFacebookと比べると、時々爆発的に拡散して流入が急増することがあります。犬、猫の飼い主さんにとって影響力がある、いわゆるインフルエンサーの方がツイートしてくれると、一気に拡散するのです。
犬、猫コンテンツのポテンシャルはもっと高いはず
―Facebookページの「いいね!」はもうすぐ10万に届きそうですね。「いいね!」を増やすための施策としてどんなことをされていますか。
Facebookページを開設したときに、「犬診断」「猫診断」というアプリを用意し、ここから拡散させてファンを増やしました。当初は3万「いいね!」を目指しましたが、順調に増えたので上方修正して5万にしました。今期は10万人を目指しています。
その他に、Facebook広告を出していて、広告代理店にお願いして毎月少額ですが出稿しています。広告代理店の担当者の話では、「犬、猫というテーマはポテンシャルが高い」ということで、他のFacebookページに比べて、1人あたりの獲得単価は低いそうです。
動物関連のFacebookページのなかには、もっと「いいね!」を集めているところもありますから、まだまだ伸びる余地はあると思っています。
ソーシャルメディアで拡散したコンテンツを書籍化
―今後、目標を達成するためにどんな展開を考えていますか。
Webサイトの「小雪の怒ってなどいない!!」というコーナーで人気の猫、小雪ちゃんの本を今年の12月上旬に出版することが決定しました。
怒り顔の優しい猫の小雪ちゃんは、FacebookやTwitterでシェアされることで、人気に火が付きました。現在、小雪ちゃんのアテレコを特設サイトで募集していて、FacebookとTwitterアカウントで投稿できるようになっています。Webコンテンツもユーザーと一緒に作っている感じです。
また、「第二の小雪を探せ!〇〇顔猫コンテスト」という企画も開催しており、ソーシャルメディアとうまくからめて盛り上げていきたいです。
ソーシャルメディアに比べて、「いぬのきもち・ねこのきもち」のオウンドメディアであるWebサイトの方は、まだまだ知らない人が多いので、Webサイトの認知度を高めてメディア化していきたいと思っています。犬のための施設を検索できるページや犬・猫のグッズが検索できるページなどもあるので、ペットに関わるいろいろな方々・企業とも協力しあいながら業界を盛り上げ、犬・猫がいる生活のすばらしさを広めて、犬・猫のことをずっと愛してくれる飼い主さんが増えることを願っています。