11日、Pinterestの日本語版がリリースされました。 日本法人も設立され、海外支社としてはフランスについで、2番目となります。
そこで、今一度、Pinterest の活用について考えてみたいと思います。
Pinterestとは ~おさらい
テーマを決めた、ボードにキュレーションして、自分の好きな画像をまとめて俯瞰する。ワンクリックでできるネット上のスクラップブックのようなサービスです。
そして、自分と似たセンス、好みを持つ別のユーザーのボードをフォローしたり、フォローされたりして、理屈や説明抜きの、感覚的な共感で新しい出会い、つながりが作られていきます。世界でユーザーが5000万、その8割が女性といわれ、米国市場では、サイトへのトラフィック誘導は、Facebookについで2位。購買率も高いと言われ、昨年初めころには、日本でも関連書籍が出るなど、かなり注目を浴びていたメディアでした。
2012年、5月の楽天のアメリカ本社への出資があり、日本でも利用者が増えるのでは、と期待されたものの、Twitterは引き続き隆盛で、Facebookが大きくブレイクする中、日本においては、次第に話題も少なくなっていました。
英語版しか使えないというハードルの高さと、折悪く、WEB上にある画像を自由にピックアップし、特定アカウントのボードの素材として利用できることから、著作権トラブルがニュースになり、使い方もよくわからないし、問題になったら困る、といったユーザー心理にブレーキをかけていた面はあったかもしれません。
現在は、Pinterestも対策を講じており、サイト側にタグを埋め込むことでピンさせないようにしたり、ピンした画像に、サイトの出典がわかるような表示になっています。
そもそも、ピンされることの効果とは
ソーシャルメディアマーケティングでは多くのファンや、フォロワーを持ち、その発言が影響力を持つユーザーのことを、インフルエンサーと呼びますが、Pinterestの場合は、パワーピナー(Power Pinner)と呼びます。
確かに、パワーピナーと呼ばれる人たちのボードは、洗練された写真誌のようです。
いかにセンスの良いボードをつくり、多くのユーザーにリピン(ピンした画像をさらに、他の人がピンすること)されるか、ここがパワーピナーの腕の見せ所と言えます。
フォロワーはただ眺めるだけでなく、気に入った画像を、自分オリジナルのボードへとリピンすることで拡散していきます。
Pinterest をFacebookや、Twitterアカウントとの連携もでき、ユーザーが新しいピンを追加すると、例えばFacebookによるソーシャルログインを行っている場合、自動的にFacebook投稿が行われます。
例えば、自社の商品に、ソーシャルプラグインとして、Pin it ボタンを設置しておけば、ああ、この商品いいな、と感じたユーザーが、ワンクリックで、ピンすると、それは、Pinterestユーザーに、そして、今や10億人以上のユーザーが利用しているFacebook上にも拡散していきます。
そうした流れの中、日本法人の設立、日本語版のリリースで、国内の利用状況、ビジネスにおける活用はどう変化していくでしょうか?
Pinterestをビジネスに活用する
ファッション、ジュエリー、フードなど、素材を豊富にもっている企業であれば、すぐにでも、活用できそうです。
Harry Winston
ファッション、ジュエリーなどでは、テーマや季節ごとにボードを作成し、自社の商品をピンしていくことができます。Pinterest はボード単位でのフォローも可能なので、そのボードをフォローしているユーザーは、自社の商品の中でも、そのテーマが好きな人ということになります。
そのリピンをチェックすることで、自社の商品が、ユーザーの間でどのようにカテゴライズされているのか? 比較されるのはどの商品か? などを俯瞰できます。
SONY Electronics
Sony Electronics のアカウントでは、新製品をまとめているボードの一方で、歴史あるメーカーらしく、古い製品写真をあつめたボードを作り、古き良き時代を思わせる画像が並べられています。洗練された現在のデザインより、初期の荒削りなデザインの方が魅力的なものも見つかるかもしれません。さらに、同アカウントでは、自社の製品を使って撮影された写真をまとめ、ユーザーの作品にSonyお墨付きの付加価値を提供しつつ、自社の製品のクォリティの高さをアピールしています。
Marketing Land
商品だけが対象ではありません。
Marketing Landでは、記事中の画像を、テーマごとのボードにピンしてあり、それぞれの画像から、元記事へのリンクを貼っています。この画像の意味は?このグラフの出所は? ティザーサイトのような使い方です。 グラフなどの場合は、ビジネスにおける資料作成などにも利用され、メディアの認知度につながっていきます。
自社の商品、サービス、コンテンツを、デザインという切り口から、ユーザーにアピールしていく。Pinterestを利用するメリットはそこにあります。
現在の日本企業でも、自社サイトのコンテンツ施策、Facebookなどのソーシャルメディア活用で、画像コンテンツはある程度ストックできているのではないでしょうか?
Pinterest を使えば、それらをテーマごとにキュレーションして、企業ブランディングに活用できます。
日本語版のリリースで、今後国内ユーザーは増えていきそうです。
まだ国内ユーザーは多くない今だからこそ、Pinterestの活用を検討し、トライアル&エラーを重ね、自社のビジネスに最適な活用を目指す時期が来たのではないでしょうか?