2025年10月にローンチした、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告」(以下、「インストリーム広告」)をご存じでしょうか?
Yahoo!広告からTVerへの配信が可能になったこの新しい広告プロダクトは、一見すると「動画広告」の延長に見えるかもしれません。
一方で、CPMが高く見える点や、コンバージョンを主目的とした運用にはなじみにくい点から、運用型広告の媒体としては扱いづらいという印象を持たれることもあります。
しかし、その違和感はYouTubeなどの動画広告と同じ前提で比較していることから生まれているのかもしれません。
本記事では、「インストリーム広告」という新プロダクトの紹介とともに、TVerへの広告配信を「運用型広告」でどう捉えるべきかを整理していきます。
- TVerとは?
- 「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告」とは?
- LINEヤフーのデータを活用した配信設計
- 「ユーザー」ではなく「視聴者」に向けた広告
- 運用型広告でTVerと向き合う意味
- さいごに
TVerとは?
TVerは「動画配信サービス」だが、「テレビ」でもある
TVerは、民放各局が制作したテレビ番組を公式に配信しているキャッチアップサービスです。

(TVer PMP媒体資料より抜粋)
そのため、TVer上で視聴されるコンテンツは、すべて放送局が責任を持つ番組で構成され、視聴者は「番組を観る」という意識で接触しています。
YouTubeのように、ユーザーが次々と動画を選択していく体験とは異なり、テレビ視聴の延長線上にある体験と言えます。
広告も同様で、TVerに配信される広告は動画広告という形式でありながら、視聴者からはテレビCMに近いものとして受け取られます。テレビCM同様に視聴の途中で広告をスキップできない点も特徴です。また、放送局公式の番組配信という特性から、TVerはテレビと同等の信頼性やブランドセーフティを前提とした環境にあります。
広告が配信される環境や文脈があらかじめ担保されている点は、TVer広告を理解する上で重要なポイントです。
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)インストリーム広告とは?
TVer広告を「運用型広告」として扱える仕組み
「インストリーム広告」は、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)を通じて、TVerに動画広告を配信できるプロダクトです(2026年1月から、ABEMAへの配信もローンチしました)。
配信は、TVerが提供するPMP(Private Marketplace)枠を利用して行われます。
あらかじめ条件が定義されたTVerの広告在庫に対して、Yahoo!広告の管理画面から配信スケジュール(曜日、時間)やターゲティングなどの設定をおこないます。
このため、Yahoo!広告を活用することで、TVer広告は次のような特徴を持ちます。
- デジタル広告ならではのターゲティング設計
- 配信結果をもとにした改善・調整が可能
- 比較的低額からのテスト配信が可能
といった運用型広告ならではの特徴を持つようになります。
テレビCMと同等の環境や文脈を持つTVerに、運用型広告の考え方を持ち込める点が、「インストリーム広告」の大きな特徴であり、魅力であると言えます。
LINEヤフーのデータを活用した配信設計
「誰に届けるか」を設計できるテレビCM
「インストリーム広告」では、LINEヤフーが保有する膨大なデータを活用した配信設計が可能です。
- 年齢・性別などのデモグラフィック
- 興味関心データ
- 行動データ
- オーディエンスデータ※
これらをもとに、どの視聴者に、どのようなメッセージを届けるかを設計できます。
従来のテレビCMでは、番組や時間帯から視聴者像を推測することが一般的でした。「インストリーム広告」では、視聴者そのものを起点に設計できるため、広告の役割をより明確に定義できます。
※リターゲティング配信も設定可能ですが、ユーザーサイズが小さい場合、配信が出にくくなるケースがあり、推奨されません。また、スマートターゲティング、プレイスメントターゲティング、コンテンツキーワードターゲティングは利用できません。
「ユーザー」ではなく「視聴者」に向けた広告
広告が向き合う相手は、どんな環境にいるのか
YouTubeは、個人・企業を問わず無数の動画が投稿される非常に多様なコンテンツが集まるプラットフォームです。その環境の中で広告はユーザーに向けて届けられます。
一方で、TVerはこれまで触れてきた通り、放送局公式の番組のみで構成され、環境や文脈があらかじめ担保された状態で、テレビ番組の視聴者に対して広告を届けることができます。
この違いは、広告設計の考え方に大きく影響し、TVerは、視聴者にブランドの世界観やメッセージを届ける広告コミュニケーションとして、より機能しやすいといえるでしょう。
運用型広告でTVerと向き合う意味
運用型広告の「設計力」を活かす
TVer広告は、YouTube広告の代替ではありません。
一方で、従来のテレビCMとも異なる特性を持っています。
運用型広告の考え方を取り入れることで、
- 広告の役割を整理する
- 配信条件を意図的に設計する
- 次の施策につなげるための検証を行う
といった広告設計の視点をTVer広告にも持ち込めます。
これは、テレビCMを「運用型広告として最適化する」という話ではなく、運用型広告の設計力でテレビCMと向き合うという考え方です。
さいごに
「インストリーム広告」は、運用型広告の基準だけで評価すると、違和感を覚える場面もあるかもしれません。しかし、TVerで広告を届けるのは「ユーザー」ではなく「視聴者」です。
この前提に立つことで、「インストリーム広告」は、運用型広告の設計力を活かしながら、視聴者にブランドの世界観やメッセージを届けるための広告手法として捉えられるようになります。
本記事が、新しい広告プロダクトをどう扱い、どう位置づけるかを考えるひとつのヒントになれば幸いです。





