Part 1: 世界のトップマーケターが語る – POSSIBLE 2025 in マイアミからのハイライト[概要+セッション1・2]
2025年05月15日
ライター:黒島 正貴

(左から:弊社 Ayudante Canada COO 山浦氏、筆者(私))

2025年4月28日から30日まで、私は米国マイアミで開催された大規模なマーケティングカンファレンス「POSSIBLE 2025」に参加しました。このイベントには世界中のマーケター、広告主、テクノロジーリーダーが集まり、マーケティングの未来について議論が交わされました。3日間にわたり、参加者は活発なディスカッションに参加し、業界の最新動向を共有し、急速に進化する業界の課題と機会について意見を交わしました。本レポートでは、現地で体感したイベントの雰囲気、主要テーマ、印象に残ったセッションやパネルのハイライトを紹介します。

マーケティングの未来を開く POSSIBLE 2025

(POSSIBLE共同創設者兼CEO クリスチャン・ムッヘ)

毎年恒例のPOSSIBLE 2025は、伝統と革新が融合する象徴的な「フォンテンブロー・マイアミ・ビーチ」で開催されました。この歴史ある会場は、世界のトップマーケター、広告主、テクノロジーイノベーターがつながり、協力し、業界の未来を形づくる舞台として理想的な空間でした。

開幕セッションでは、POSSIBLEの共同創設者兼CEOであるクリスチャン・ムッヘ氏が次のように語り、参加者を迎えました。

「POSSIBLEは単なるイベントではありません。マーケティングの未来を共創する、グローバルなエコシステムです。」

「成長」と「意図性(intentionality)」をテーマに掲げたPOSSIBLE 2025は、従来型の展示会ではなく、意義ある対話と変革のためのダイナミックなハブとしてスタートしました。

主な発表事項:

  • Googleが2027年まで創設パートナーとして継続支援
    Googleは戦略的・財政的支援を継続し、イベントの質と影響力を担保していくことを表明。
  • 会場がEden Rocおよび周辺ビーチエリアまで拡大
    参加者数の増加に伴い、より柔軟なセッションフォーマットとネットワーキングスペースを確保。
  • 2日間で2,700件以上の1on1ミーティング
    ビジネスマッチングサービス「Possible Connect」により、ターゲットを絞ったビジネスディスカッションが効率的に実現。
  • 新フォーマット「Possible Unplugged」導入
    少人数・対話重視のインタラクティブセッションで、舞台裏の知見や率直な交流を促進。
  • 主要キーノートがX(旧Twitter)で世界配信
    現地参加ができなかった人にもリアルタイムで重要インサイトを共有し、包摂性とリーチを拡大。

参加者数は前年より1,500人以上増加し、スポンサー数も40%増加。POSSIBLE 2025はその規模と意気込みを象徴するイベントとして開幕しました。

セッションハイライト1:AI時代のストーリーテリングの力 – Google × R/GA

(左から:R/GA グローバルCCO ティファニー・ロルフ氏、Google CMO ロレイン・トゥーヒル氏)

このセッションでは、GoogleのCMOロレイン・トゥーヒル氏とR/GAのグローバルCCOティファニー・ロルフ氏が、AIと創造性の関係性の進化について語りました。

主なポイント:

  • GoogleマーケティングにおけるAI活用の3領域
    1. 日常業務の生産性向上:メールや会議メモの要約、ドラフト作成などの支援
    2. メディア計測:50以上の市場でキャンペーンの最適化
    3. クリエイティブ制作:スピード向上と新たな表現の可能性
  • AIはコスト削減以上の存在
    AIはより良い成果を迅速かつスケーラブルに実現する「成長の原動力」であるべき。
  • 体験型イノベーション
    「Phones Forever」など、ユーザー生成コンテンツとAIを組み合わせた文化的関連性のあるキャンペーン事例を紹介。
  • 新たなクリエイティブ職種の登場
    高品質なプロンプト作成とビジョンの定義が重要に。人間の創造力は今まで以上に必要とされている。
  • 品質基準「Google Grade」の維持
    AIの導入においても、品質を高めるためのトレーニングと監督体制が徹底されている。

このセッションから得られた重要なメッセージは、「マーケティングの未来はテクノロジーだけでなく、人間の創造力を再定義することにある。AIはその“共創者”である」ということでした。

セッションハイライト2:Advantage X – 言論の自由とグローバルタウンスクエアの変革 – X(旧Twitter)

(左から:投資家・起業家 アンソニー・ポンプリアーノ氏、X CEO リンダ・ヤッカリーノ氏)

XのCEOリンダ・ヤッカリーノ氏は、投資家アンソニー・ポンプリアーノ氏と共に登壇。Xが取り組むリアルタイムコンテンツ、コミュニティ、AI、コマースを融合させた大胆な戦略を発表しました。

主なポイント:

  • Xのミッション
    言論の自由を守り、リアルタイムのグローバル対話を促進すること。月間アクティブユーザー数は6億人を超え、140カ国で「ニュースアプリNo.1」を獲得。
  • Community Notesの影響力
    事実確認の非中央集権型機能により、
    • 注釈付き投稿は再共有率が60%低下
    • 誤情報投稿者の80%が投稿を削除
  • AIとの統合 – X.AI「Grok」
    リアルタイムのデータストリームをAIに統合し、従来の静的モデルとは異なる「ライブで適応するシステム」へ。
  • オリジナル番組の強化
    「From the Desk」や「Chloe in Wonderland」など、独自番組が急成長し、新たなエンタメ・配信プラットフォームへと進化中。
  • コマース&広告戦略
    ターゲティング精度、レコメンド精度、パフォーマンス最適化により、Xはコンテンツと商取引のハブへ。
  • スポーツを中心に据える戦略
    NFL、NBA、オリンピック、FIFAなどと連携し、大型スポーツイベント時の「最初のスクロール先」になることを目指す。

「他のAIは静的だが、我々はリアルタイムだ。」– リンダ・ヤッカリーノ

このセッションは、Xが単なるブランド変更にとどまらず、インターネットにおけるコンテンツ、コミュニティ、商取引のあり方そのものを再定義しようとしていることを鮮明に示しました。


🔜 次回予告:Part 2 – POSSIBLE 2025のAI・イノベーション・価値創造セッションまとめへ
セッション3・4の内容とイベントの総括をお届けします。

ー主要な屋内EXPOホール:大半の出展者と来場者が集まった中心的な展示エリアー

ーメインセッションホール:基調講演や主要パネルディスカッションが開催された会場ー

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黒島 正貴
北米ビジネスディベロップメント(グローバル)責任者
コンサルタントとして15年以上の経験を持ち、HIS、楽天、キッコーマンなどの企業において、社内外に向けたソリューション提案やデジタルトランスフォーメーションの推進に携わってきました。2024年には日本からカナダへ拠点を移し、現在はビジネスディベロップメントとして、北米市場における事業開発やパートナーシップ構築に取り組んでいます。グローバルな視点を活かし、Ayudanteの価値を世界に広げることを目指しています
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