GA4:キーイベントに重み付けをして計測する
2025年03月31日
ライター:金 はる香

サービスへのお問い合わせをコンバージョン(キーイベント)にしているサイトで、お問い合わせとは別に資料ダウンロードなどを、中間コンバージョン(キーイベント)として設定されることがあると思います。

各アクションをGA4でキーイベントに設定している場合、計測されればどちらもキーイベントが1つカウントされますが、それぞれのアクションを起こすユーザーの検討状況には違いがあり、自社にもたらされる価値も異なるのではないでしょうか。

GA4では、このような違いを、キーイベントに値を付与することで数値データとして収集することができます。

本コラムでは、キーイベントに価値を定義してGA4で計測する方法についてご紹介します。
※この投稿に記載の内容はすべて2025年3月時点での情報です。

  1. キーイベントについて
  2. キーイベントに価値を付与するメリット
  3. キーイベントに値を設定する
  4. 設定した値は「イベントの値」指標で確認
  5. 設定前に収集されたキーイベントには適用不可
  6. さいごに

キーイベントについて

「キーイベント」は、サイト内ユーザー行動のうち、自社のビジネスに影響する重要なアクションを測定したイベントのことを指しており、以前は「コンバージョン」と呼ばれていました。

具体的には、お問い合わせや資料請求をゴールとしているサイトであれば、サイトに訪問したユーザーが「お問い合わせ」を送信した時や、資料ダウンロードボタンをクリックした時に取得するイベントがこれに該当するでしょう。

キーイベントは、GA4で計測しているイベントの中から該当するイベントを選んで、管理画面でマークをつけることで設定できます。

キーイベントの設定方法や、コンバージョンがキーイベントに変更された背景については、下記コラムもご参考ください。

コラム:いまさら聞けない、GA4のキーイベント設定方法(コンバージョン設定方法)
コラム:[GA4]キーイベントとコンバージョンの解説

キーイベントに価値を付与するメリット

メリットとしては、ユーザーのアクションがもたらす価値を「数値」としてデータ化できる点があげられます。

お問い合わせ〇件、資料ダウンロード□件、といった件数のみが情報として提示された時、「(一般的には)お問い合わせのほうが重要である。という前提を踏まえて、比較・確認が行われるでしょう。

ですが、その前提を知らない人が見たらどうでしょうか?

例えば、これらのデータを機械学習に活用するとなった時、「お問い合わせのほうが自社にとって価値がある。」ことを認識してもらうためには、それぞれのキーイベントの価値が認識できる形で付与されている必要があります。

  • 「資料ダウンロード」キーイベントが100件の流入元A
  • 「お問い合わせ」キーイベントが50件の流入元B

前提を知らない場合、件数だけで判断すると流入元Aに関心が高まりますが

  • 「資料ダウンロード」には、100円の価値
  • 「お問い合わせ」には、1,000円の価値

各キーイベントの価値が定義されていたらどうでしょう?

  • 「資料ダウンロード」キーイベントが100件で10,000円の価値となる流入元A
  • 「お問い合わせ」キーイベントが50件で50,000円の価値となる流入元B

キーイベントの価値が比較要素として加わることで、前提の情報を知らずとも、流入元Aと流入元Bに与えられた数値データで比較することが可能になります。
※実際には流入にかかったコストも関わってきますが、本コラムではキーイベントの重みづけに焦点をあてているため、割愛させていただきます。

上記は流入元を例にしていますが、ユーザーに置き換えた場合も、「お問い合わせ」をしたユーザーが「資料ダウンロード」をしたユーザーよりも自社への関心が高いことが、数値データとして明確になります。

このように、件数だけではなくそれぞれの価値が数値として付与されていると、データの質も向上し、情報の受け手をより詳細な判断へと導く助けとなるでしょう。

キーイベントに値を設定する

では実際に、キーイベントに値を設定する方法ですが、本コラムでは、下記2つのパターンをご紹介します。

それぞれの特性を確認いただき、現在の計測状況に応じて採択いただければと思います。

デフォルトのキーイベント値とは

ここでご紹介する「デフォルトのキーイベント値」ですが、GA4では管理画面の操作で、1つのキーイベントに対して1つの「デフォルトの値」が設定可能になっています。

いつでも変更することができ、既存のキーイベントに後から設定することも可能です。

名前のとおりですが「デフォルトの値」ですので、取得されたキーイベントに既に「値(value)」が付与されている場合は、その値を上書きすることはできません。

既存のキーイベントに設定する場合は、どのような計測が行われているか確認してから実施することをお勧めします。

デフォルトのキーイベント値を設定する方法

必要権限:プロパティの管理者または編集者権限

「管理>プロパティ設定>データの表示>キーイベント」画面にて設定を行います。

値を設定したいキーイベントの右側にある「︙」をクリックして「デフォルトのキーイベント値を設定する」を選択します。

表示された「デフォルトのキーイベント値」設定画面で、「デフォルトのキーイベント値を設定する」を選択し、「通貨単位」と「値」を設定して保存します。


※キャプチャの例では「日本円」を選択し、値として「100」を設定しています。

「デフォルトのキーイベント値」はこれで設定完了です。

設定後に取得されたデータで、値が表示されることを確認してください。

「デフォルトのキーイベント値」は、GA4の管理画面で設定でき、サイト改修の必要もなく便利ですが、前述したようにあくまでも「デフォルト」のため、既にキーイベントの基となるイベントに他の値(value)が付与されている場合には、これを上書きすることができない点にご留意ください。

GTMでイベントに値を設定する方法

必要権限:GTMコンテナの編集以上の権限(公開には公開権限が必要です)
     プロパティのマーケティング担当者以上の権限(キーイベント化実施時)

次に、キーイベントの基となるイベントに値を設定する方法をご紹介します。こちらは、値が設定されたイベントをキーイベントとしてマークすることで、重みづけを行います。

GA4で計測するイベントに値を付与するには、イベントパラメータを使用します。今回はGTMで設定する方法ですので、該当するGA4イベントタグに、下記イベントパラメータを追加します。
※ここでは、推奨イベントの「generate_lead」を計測しているタグを例にしていますが、適宜、計測したいイベントにて設定ください。

  • currencyパラメータ・・・・通貨単位を設定(値は通貨コードを入力:下記公式ヘルプを参照ください)
  • valueパラメータ・・・・・イベントの値を設定(値は半角数字を入力)

※キャプチャの例ではcurrencyパラメータに日本円を意味する「JPY」、valueパラメータに「1000」を入力しています。

パラメータを追加したら、タグを発火させるためのトリガーをセットし、プレビューモードなどで動作確認をした後に、GTMを公開してイベント計測のための設定が完了となります。

こちらは、GA4管理画面で「デフォルトのキーイベント値」を設定する方法よりも少々手間がかかりますが、GTMの変数などを使用して複雑な設定も可能になります。

該当イベントを、GA4管理画面でキーイベントとしてマーク(設定)することも忘れずに実施してください。

※今回はイベントに値を設定する方法として記載しています。トリガーやその他設定については、適宜計測されたいタイミングや計測しようとする条件にあわせて作成ください。

キーイベントの基となるイベント計測をGTMで行う方法やイベントパラメータについては、下記コラムもご参考ください。

コラム:いまさら聞けない、GA4のキーイベント設定方法(コンバージョン設定方法)【再掲】
コラム:GTMでGA4のクリックを計測する方法
※クリック計測のコラムですがイベントパラメータについてもわかりやすく紹介しています。

公式ヘルプ:[GA4] イベント パラメータ
公式ヘルプ:[GA4] 通貨のリファレンス(利用可能な通貨とコード)

(参考)イベント定義
generate_lead:ユーザーが問い合わせのためにフォームまたはリクエストを送信したとき

設定した値は「イベントの値」指標で確認

今回ご紹介している「デフォルトのキーイベント値」や「イベントに付与したvalueパラメータの値」は、GA4のレポートにおいて「イベントの値」指標で確認できます。

※上記イメージでは、file_downloadに設定した「デフォルトのキーイベント値:100円」×イベント数分の「イベントの値」が確認できます。

なお、GA4では、この「イベントの値」に基づいたオーディエンスの作成も可能となっています。
広告セクションのレポートや、トラフィック獲得レポートにある「合計収益」としては表示されません。

「イベントの値」指標は、その定義からもキーイベントだけではなくイベントの「値」が表示されることになるため、キーイベントだけに絞って確認する必要もでてきます。

この辺りが、キーイベントの値として設定した側としては少々難を感じる部分でもありますが、外部ツールに連携して分析・活用されるケースを視野に入れていただければと思います。

(参考)各指標の定義
イベントの値:イベントで指定されたすべての VALUE パラメータの合計
合計収益:購入、定期購入、広告掲載によって発生した収益の合計

設定前に収集されたキーイベントには適用不可

今回ご紹介した、「デフォルトのキーイベント値」や、GTMでGA4イベントタグに設定するvalueパラメータの「値」は、設定(公開)された後に計測されたキーイベント(イベント)に適用されます。
設定する前に計測収集されたキーイベントには適用されませんのでご注意ください。

さいごに

今回は、GA4のキーイベントに値を付与する方法についてご紹介しました。

キーイベントを設定しようと思うが、最終コンバージョン以外に中間コンバージョンもある。中間コンバージョンはどうやって計測するのが良いのだろうか?と悩まれる方もいらっしゃると思います。そのような時は、どちらもキーイベントとして計測し、それぞれの値で差をつけて計測することで、データに重みづけ要素を加えてみてはいかがでしょうか?

データを活用する際にはそのデータ量も重要になるため、キーイベントへの重みづけを行う事で即座に大きな成果が期待できるとは言い難いですが、各キーイベントの価値を「数値」として計測することで、データの質の向上が見込めることをお伝えできればと思います。

本記事の内容が、お役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人
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金 はる香
カスタマーサクセスコンサルタント
これまで広告代理店にて、主にお客様のGA4やGTMにおける導入設定サポートや、BQと連携したLooker Studioでのダッシュボード作成などを担当しておりました。Googleのソリューションは、常にアップデートをしていて、どんどん改良される点が魅力だと感じています。夫、息子、愛犬2匹の5人(匹)家族。
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