キーイベント レート、見ていますか?
2024年12月25日
ライター:太田 正幸

2024年6月にGA4に登場した指標「セッション キーイベント レート」「ユーザー キーイベント レート」について紹介します。

これらの指標は、どこからの流入が目標のアクションに繋がっているのか、どのような属性のユーザーがターゲットとして適切なのかといった評価をする上で非常に重要であり、マーケティング施策を進める上で必須の確認項目です。

  1. キーイベントのおさらい
  2. セッション キーイベント レート
  3. ユーザー キーイベント レート
  4. 2つの指標の使い分けと注意点
  5. まとめ

キーイベントのおさらい

まず、キーイベントについておさらいをしておきます。GA4において、キーイベントとは、ビジネスの成果にとって重要なアクションを計測するためのイベントのことを指します。これは一般的にはコンバージョンと呼ばれており、GA4でも以前はコンバージョンと呼ばれていました。ところが、当時はGoogle広告とGA4でコンバージョンの定義(数え方)が異なっており、それを統一するため、2024年3月にGA4での名称をキーイベントに変更したという経緯があります。

GA4では、どのイベントをキーイベントとして計測するかは、マーケティング担当者が自社ビジネスにおけるKPIを考慮し、自身で選択して決定します。例えば、資料請求の送信完了、商品の購入完了などをキーイベントに設定し、その発生状況を基に施策の成果を検証します。

セッション キーイベント レート

セッション キーイベント レートとは、その名の通り、キーイベントが発生したセッションの割合であり、計算式は以下になります。

「キーイベントが発生したセッション数」/「セッション数」

この分子は、セッション毎に1回しかカウントしないユニバーサルアナリティクスでのコンバージョン数と同じ数字なので、GA4のセッション キーイベント レートはユニバーサルアナリティクスの時のコンバージョン率と同じものになります。その重要性にも関わらず、以前はこの数字をGA4で確認するためには担当者が自分で算出するしかありませんでした。

ユニバーサルアナリティクスのコンバージョン率と同じ値を算出したい(同じ基準で比較をしたい)といったご要望をお持ちの場合には、今後はこのセッション キーイベント レートを使用していただければと思います。

具体的なレポートは、標準レポートで以下のように確認することができます。

セッション キーイベント レート(標準レポート)

更にプルダウンメニューから選択することで、特定のキーイベントに限定したセッション キーイベント レートも表示することが可能です。

purchaseに限定したセッション キーイベント レート

このセッション キーイベント レートは探索レポートやLooker Studioでも指標として使用することが可能ですが、現在ではどちらも上記のような特定のキーイベントに限定したセッション キーイベント レートは取得することができません。(因みに、Looker Studioでは「セッション キーイベント率」という名称になっています)

セッション キーイベント レート(探索レポート)

ユーザー キーイベント レート

セッション キーイベント レートと同様に、ユーザー キーイベント レートはキーイベントが発生したユーザーの割合であり、計算式は以下になります。

「キーイベントが発生した(アクティブ)ユーザー数」/「アクティブユーザー数」

ユーザーの割合なので、指定した期間中に同じユーザーに複数回キーイベントが発生しても、この値が増加することはありません。従ってユーザー間のキーイベントの偏りに影響されない数字になります。逆に、キーイベントの発生回数が重要な場面では、これを指標として使用することは適切ではありません。

こちらも、具体的なレポートは、例えば以下の標準レポートで確認することができます。

ユーザー キーイベント レート(標準レポート)

この指標は総ユーザー数ではなくアクティブ ユーザー数をベースに算出される点にもご注意ください。総ユーザー数ベースの数字が必要なケースでは、前述の式の分母を「総ユーザー数」にして、自分で算出する必要があります。

2つの指標の使い分けと注意点

セッション キーイベント レートとユーザー キーイベント レートは、どのように使い分けをすれば良いでしょうか?これは状況によって異なるため、この問いに対して明確な回答をすることは難しいのですが、計測対象のサイト・アプリについて次のようなポイントを目安に使い分けをしていただく必要があります。

それぞれの指標が適しているケース:

  • セッション キーイベント レート
    • 一定期間中に同じユーザーに何度もキーイベントが発生する
    • 初回訪問からキーイベントの発生までに要する時間が比較的に短い
    • ユーザーの訪問がそのままキーイベントの発生につながることを期待してサイトが作られている
  • ユーザー キーイベント レート
    • ユーザー毎に1回しかキーイベントが発生しない
    • 初回訪問からキーイベントの発生までに長い時間を要する
    • キーイベントの発生までに、何度もユーザーとのコミュニケーションが発生する

最後に、特にセッション キーイベント レートに関する注意点があります。セッション キーイベント レートはあくまでそのセッションだけを見た評価だという事を十分に理解した上で使用しないと思わぬミスにつながる可能性があります。例えば、認知系の施策からの流入のセッション キーイベント レートが他と比べて低かったとしても、実際には他のセッションでのキーイベントの発生を間接的にサポートをしている可能性は十分にあります。全体としてはアトリビューションを考慮して判断し、セッション キーイベント レートはセッション単体の評価として使用することをお勧めします。

まとめ

GA4に「セッション キーイベント レート」「ユーザー キーイベント レート」という2つの指標が存在します。これらはユニバーサルアナリティクスでのコンバージョン率などに相当し、ビジネスにとって非常に重要な指標です。色々と注意点も多い指標ではありますが、積極的な利用をお勧めします。

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この記事を書いた人
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太田 正幸
シニアカスタマーサクセスコンサルタント
AIの博士号を持つ、元研究者。マーケティング統括、データサイエンティスト等の経験も豊富。特にデジタルマーケティングに関しては、事業側、コンサルの両方の経験を持ち、GA, GTM, BigQueryだけでなく、MA, BI, DX, DMP, SEO, 広告運用まで全てを網羅。それでも本人はデジタルではないマーケティングの方が得意だと思っている。最新技術と戦略と甘い物が好き。
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