2024年11月29日に開かれた「宣伝会議サミット2024 東京」にアユダンテのシニアソリューションコンサルタント中村が登壇しました。
昨今、Cookieの利用規制が厳しくなることで起きているマーケティングへの影響と、計測関連の対策としてGoogleのソリューションなどを紹介しました。
本公演の内容は、4部構成となります。本コラムでは内容の抜粋をご紹介いたします。
詳細は下記動画よりご覧ください。
今、起きているマーケティング界隈の計測事情
インターネットサービス利用ユーザーの内、けっして少なくない割合が、企業に個人情報を提供することに不安を感じているという背景のもと、プライバシーに関する法整備が進み、マーケティングに必要とされていたデータを取得しにくくなるということが起こっています。この流れは止めることはできず、加速することが想像できます。
多くのマーケテイング手法は、ブラウザのCookieや広告識別子という個を識別するIDを活用することで成り立ってきました。「データを取得しにくくなっている」ということがどういうことで、どこに影響が起こるかをしっかり理解することが重要になってきます。
計測精度はマーケティングの最大化や最適化につながります。不確かな計測はマーケテイング効率を損ない、これはユーザーとの信頼関係構築の障壁となり、企業のブランド価値の棄損につながる可能性があります。
EUでは当たり前のCookie同意バナーは日本にやってくるのか
GDPR(EU一般データ保護規則)では、ブラウザのCookieは個人情報に該当するため、Cookieの取得、活用には原則ユーザーの同意が必要です。この同意をとる仕組みが、Cookie同意バナーです。機能を実装する場合、CMP(Consent Management Platform)を利用することが多くなっています。
日本の法律では現在、個人情報の第三者提供をする場合は同意の取得と利用目的の明示が必要ですが、利用の同意は必須ではありません。今後もし、Cookie同意バナーの設置が必要になってきた場合、Cookie利用をユーザーは拒否することができるようになります。計測が損失する可能性が増えます。この流れに対して事前に情報を収集し対策を検討しておくことが必要と考えられます。
Googleの同意モード
「Google同意モード」というフレーズを聞いたことはありますでしょうか。
Cookie同意バナーとフレーズが似ているため混乱してしまいますが、CMP(ここでは、Cookie同意バナーの事を指します)とは別の事を指します。GoogleはGoogleタグマネージャーなどを利用して、GoogleアナリティクスやGoogle広告、その他マーケティングツールの計測を行うソリューションを持っておりますが、Cookie同意バナーの同意ステータスに従って、計測を管理する仕組みをGoogle同意モードと呼びます。CMPはあくまでもWebサイトなどにおけるユーザーの同意ステータスを管理する仕組みとなり、計測は管理しておりません。CMPとGoogle同意モードを組み合わせることで、ユーザーが選択したCookie同意情報に従った、行動計測(Googleアナリティクス)やGoogle広告を含む広告メディアの計測が可能となります。
Google同意モードのもう1つの機能が「損失されたコンバージョンをモデリングにより補完」することです。Google同意モードに準じたGoogleアナリティクスの計測を行うと、Googleアナリティクスでは機械学習モデリング集計が行われ、Cookie利用の同意をしたユーザの情報を利用して、同意しなかったユーザーの計測をできる限り補完します。
まるで、一昔前に戻ったような錯覚を感じるデジタルマーケティング界隈のデータ損失事変。計測が全くできなくなったわけではありません。テクニカル面(データ計測と活用)と法律面(プライバシーポリシーや利用規約などの対応)の両面の情報と対策を模索していくことが必要になってきました。