※本記事はGA4有償版の機能について解説しています。
GA4では大規模なデータを処理するためにデータサンプリング(サンプリング)が使用され、GA4有償の機能にはサンプリングを適用しない【非サンプリングレポート】を独自に利用することができます。
【非サンプリングレポート】を利用するにはレポートのデータ量に応じてトークン(リクエスト)が必要で、上限が300トークンと日常業務でレポート作成に利用するには上限トークン数が少ない状況でした。しかし、2024年10月にこの非サンプリングレポートの利用をするための上限トークンが300から20,000へ大幅に増加しました。これにより多くのレポートを非サンプリングレポートで作成することができるようになりました。
サンプリングとは
サンプリングとは、計測しているデータから一部のサンプルデータを抽出して分析し、全体のデータを予測する手法です。GA4では無料版と有償版(Google アナリティクス360)でクエリの割り当て上限が異なり、無料版のプロパティではクエリごとに1,000万イベント、有償版プロパティではクエリごとに最大10億イベントでサンプリングが行われます。
サンプリングをすることにより、GA4では抽出したデータからスケールアップ後の予測されたデータを出力することで、データの影響を抑えてすばやくレポートを表示することが可能になっています。
アユダンテコラム:[GA4] データのサンプリングに注意
非サンプリングレポートの使い方
データ探索で非サンプリングレポートを利用するには、GA360のプロパティであることとレポートを作成するユーザーの権限が「アナリスト」以上の必要があります。レポート作成時にサンプリングの条件が発生すると右上にあるアイコンに赤文字で「!」が表示されます。
「!」のアイコンを選択すると「非サンプリングデータの結果をリクエスト」のリンクが表示され、選択することで非サンプリングレポートのリクエストトークン数が表示され、レポートを作成するトークン数がある場合は「続行」を選択すると非サンプリングレポートの作成リクエストが行われます。
※今回の機能拡張で、ここの上限トークン数が大幅に増加しました。
非サンプリングレポートは通常30分未満で作成され、レポート作成が完了すると非サンプリングレポートのリンクが記載されたメールが届きます。非サンプリングレポートは元レポートの別タブで緑のアイコンで出力されています。
また、今回の拡張でGA4のData APIでもSampling Levelの記述が追加されました。
(2024/11/1時点で英語ヘルプのみ記述)
ヘルプ:Google アナリティクス Data API(英語)
SAMPLING_LEVEL_UNSPECIFIED
タイプの指定なし
LOW
- 無償版プロパティ:クエリごとに1,000万イベントのサンプリングレベル
- 有償版プロパティ(360):クエリごとに1億イベントのサンプリングレベル
MEDIUM
有償版プロパティ(360)限定:クエリごとに10億イベントのサンプリングレベル
UNSAMPLED
有償版プロパティ(360)限定:非サンプリングデータ
非サンプリングレポートの注意点・制限事項
非サンプリングレポートはアドホックで利用・編集できる標準のデータ探索レポートと異なり、サンプリングされたレポートを元にリクエストされた結果のレポートなため、非サンプリングレポート出力後に期間の変更やディメンションの追加をすることができません。主な制限事項や注意点を記載します。
ヘルプ:[GA4] Google アナリティクス 360 の非サンプリング データ探索
主な制限事項
- Google アナリティクス360限定の機能です。無償版で利用することはできません。
- 非サンプリングレポートはサンプリングが発生しているレポートのみ利用することができます。
- データ探索で追加できるタブは10個が上限のため、すでにタブが10個ある場合は非サンプリングレポートをリクエストする前にいずれかのレポートを削除する必要があります。
- 手法:ライフタイムレポートでは非サンプリングレポートはサポートされていません。
- 非サンプリングレポートはTCV、CSVのエクスポートで最大1,000万セルを出力することができます。
主な注意点
- 非サンプリングレポートは読み取り専用です。
- 非サンプリングレポートは一時的なレポートで50日を経過すると期限切れになります。
- 非サンプリングレポートは自動的に「共有」モードになります。
まとめ
2024年10月の機能拡張で非サンプリングレポートがより便利になりました。集計するレポートで日常的にサンプリングが発生しているサイトでは、この機会にぜひGA 360の導入を検討してみてはいかがでしょうか。