探索ツールを使ったランディングページレポートの作成例について説明をします。レポート要件を満たす過程で、探索ツールの以下の2点について理解を深めることを期待します。
- 異なるスコープのディメンションをクロス集計する場合の注意点
- セグメントの活用方法
レポート要件
複数のドメイン(ayudante.jpとayudanteinc.com)を計測対象にしたプロパティにおいて、ホスト名情報を加味したランディングページ毎にコンバージョン数(購入)を集計したい
<前提条件>
- GA4のプロパティ内にクロスドメイン設定をした複数のドメインが計測されている
- コンバージョンイベントは、片方のドメイン(ayudante.jp)に1個ある
- ayudante.jpとayudanteinc.comは相互リンクされておりGA4のクロスドメイン設定がされている
昨今、GA4のクロスドメインを利用した計測によく出会います。
運用上、広告のランディングページを別ドメインで準備することもあり、複数のドメインに散らばったランディングページから、コンバージョンイベントにどれだけ到達しているかを調べたいケースが多いのではないでしょうか。
異なるスコープのディメンションのクロス集計による失敗
探索ツールの自由形式レポートを用いて、評価をしたいランディングページとホスト名を並べてディメンションにセットし、指標にセッション、コンバージョン(購入)をセットしたレポートを作ってみます。
レポート設定手順
- ディメンションの選択
・ランディングページ + クエリ文字列
・ホスト名 - 指標を選択
・セッション
・購入 - フィルター ※特定の条件のレポートとします
・ランディングページ+ クエリ文字列 (次の文字列を完全一致) /
レポート結果
ディメンションに「セッションスコープ」と「イベントスコープ」の情報を混在させたレポートとなります。
この場合、レポート全体がイベントスコープのディメンション「ホスト名」に引っ張られ、購入イベントが存在しない ayudanteinc.comのおいては、購入が0件となります。
ディメンションにセッションスコープとイベントスコープ(もしくはアイテムスコープ)の情報を混在させてレポートを作成した場合は、組み合わせるディメンション、指標次第では、期待通りのレポートを作ることができないことがあります。
また、探索ツールには、以下の制限事項があります。
非対応のリクエスト
引用:Google アナリティクスヘルプ > [GA4] データ探索ツールを使ってみる
データ探索に、対応していないディメンション、指標または両方の組み合わせが含まれている場合は、非対応のリクエスト アイコンが表示され、リクエストの更新が求められます。
セグメントを使ったレポート
必要なディメンションと指標を組み合わせるだけでは、期待通りのレポートを作れないときに、活用できる手段として、セグメントがございます。
特にセッションやシークエンスといったユーザーの連続した行動を捉えるのに、セグメントは強力なツールとなります。
以下の通り、セグメントを利用し、要件を満たすレポートを作ってみます。
レポート設定手順
- ディメンジョンの選択
・ランディングページ + クエリ文字列
・ホスト名 - 指標を選択
・閲覧開始数 - フィルター
・ランディングページ + クエリ文字列 (次の文字列を完全一致) / - セグメント
・セッション:page_view
・セッション:purchase
2つのセグメントの設定内容は以下の通りです。
セグメントについて補足をします。
セグメント「セッション:page_view」は、ディメンション「ランディングページ」、指標「閲覧開始数」と組み合わせるため、イベントpage_viewを含むセッションセグメントです。
セグメント「セッション:purhcase」は、指標「購入」を含むセッションセグメントです。
ディメンションランディングページを利用する際は必ずpage_viewイベントが必要なため、page_viewイベントを含むセグメントとしています。
レポート結果
指標をセッションから閲覧開始数に変更したため、少し値に変化がありますが、ランディングページがayudanteinc.comのTOPページの場合の、購入(イベント:purchase)に至ったセッションをセグメントで表現することができました。
目的の行動を行ったセグメントをセッションスコープやユーザースコープで作成することで、ディメンションと掛け合わせてレポートを作ることができます。
さいごに
探索ツールの自由形式レポートは、GA4における分析手法としてパワフルなツールの1つです。
一方で、GA4の計測実装状況の把握と、ディメンション、指標、スコープの理解が必要となり、使い始めの敷居は少し高いと考えられます。
第1ステップとして、直感的な操作でシンプルなクロス集計レポートを量産することでツールの特性を理解することをお勧めします。
次のステップとして、セグメントを活用した分析が重要になってきます。指標とディメンションの掛け合わせだけでは導くことができない分析レポートを作れます。
また、よく使うセグメントは、オーディエンスやオーディエンストリガーの設定に繋がり、集計分析がより高度になります。
第1ステップの活用方法であるページや、イベントのクロス集計は、一見ユーザー分析をしているように見えますが、Webサイト、アプリの機能評価をしているケースが多くなります。
しかし、セグメントを利用し始めると、分析の軸はユーザー行動に変わります。例えば、「〇〇を利用した、もしくは見たユーザーのセッションセグメント」などです。
Webサイトやアプリの課題を見つけるフェーズから、ユーザー行動の可視化とセグメント毎の評価を行うフェーズに移行する上で、セグメントの活用はなくてはならないツールになると考えます。