Googleアナリティクス(以降、GA4と呼びます)とアプリのGoogle広告キャンペーンを連携する際に利用されるIDは広告識別子advertising_id(Androidでは広告IDと呼び、iOSではIDFAと呼ばれる)の情報が使われております。2021年3月にリリースされたiOS14.5(iPadOS14.5、tvOS14.5)によって、iOSの広告識別子情報の取得状況を確認をしてみましょう。
サービスによってユーザーに追跡を許可されている割合は変わってきます。GA4で考え抜かれたリマーケティング用オーディエンスを作ったとしてもアプリのGoogle広告へ連携できるのは、アクティビティの追跡を許可された端末を持っているユーザだけになります。GA4のオーディエンスのボリュームが100,000件あったとして、追跡許可率が20%であれば、20,000件のリマーケティングリストと変わりません。iOSアプリにおけるリマーケティングの難しい点になります。
GA4は広告識別子を取得しているのか
GA4で作成したオーディエンスはアプリのGoogle広告アカウントと連携することで利用ができます。では、実際にGA4のレポートや、BigQueryで広告識別子の存在を確認したことはありますでしょうか。
BigQuery Exportで広告識別子の追加
アプリ開発エンジニアにアナリティクスデータの収取時に広告識別子の収集しているかを確認しましょう。これはプライバシーポリシーにも影響する実装、設定のため、自社法務担当者に取得の可否を含め確認するとよろしいかとおもいます。実装確認には、以下の内容を参考にしてください。
Google サポート【公式】アナリティクス データの収集と使用方法を構成する
GA4レポート(標準レポート、探索レポート)のディメンションには、広告識別子はございません。アプリによる取得の確認には、BigQuery Exportが必要になります。Exportの設定を行う際に、以下の「モバイルアプリストリーム用の広告識別子の追加」のチェックボックスを有効にしてください。※自社法務担当者に取得の可否確認が必要となります
BigQueryの広告IDの確認
クエリーによる確認方法の例となります。以下の2つのフィールドの取得状況を確認します。自動収集イベント「session_start」において確認を行った方法となります。
- フィールド名:device.advertising_id
- データ型:STRING
- 説明:広告 ID または IDFA
- フィールド名:device.is_limited_ad_tracking
- データ型 :BOOLEAN
- 説明:デバイスの広告トラッキング制限の設定。iOS14 以降では、IDFA がゼロ以外の場合、false が返されます。
注記:
- advertising_idを取得していない場合は、iOSは”、Andoridはnullが入っているようです
- user_pseude_idでユーザ数をカウントしました
- advertising_idの文字列の有無と、広告トラッキング制限の設定フラグの集計を行いました
- OSのバージョン情報も1つの分析軸になると思います。iOS14.5以上を範囲とした方が正確に集計できます
CREATE TEMPORARY FUNCTION fromDate() AS (DATE('2023-01-01'));
CREATE TEMPORARY FUNCTION toDate() AS (DATE('2023-01-31'));
WITH
ad_id as(
SELECT
PARSE_DATE("%Y%m%d", event_date) AS datetime,
platform,
user_pseudo_id,
device.advertising_id,
device.is_limited_ad_tracking
FROM `xxxxx.analytics_123456789.events_*`
WHERE _TABLE_SUFFIX BETWEEN FORMAT_DATE('%Y%m%d', fromDate()) AND FORMAT_DATE('%Y%m%d', toDate())
AND event_name in('session_start')
AND platform in('IOS','ANDROID')
)
SELECT
datetime,
platform,
SUM(is_limited_with_id) limited_ad_with_id_uu,
SUM(is_limited_with_flag) limited_ad_with_flag_uu,
COUNT(user_pseudo_id) all_uu,
SUM(is_limited_with_id)/COUNT(user_pseudo_id)limited_ad_tracking_id_uu_rate,
SUM(is_limited_with_flag)/COUNT(user_pseudo_id)limited_ad_tracking_flag_uu_rate
From
(SELECT
datetime,
platform,
user_pseudo_id,
MAX(if(advertising_id is null OR advertising_id='',1,0))is_limited_with_id,
MAX(if(is_limited_ad_tracking='Yes',1,0))is_limited_with_flag
FROM ad_id
GROUP BY 1,2,3)
GROUP BY 1,2
ORDER BY
datetime,
platform
以下、集計したものをグラフにした一例です。※注記:仮想データを使った参考グラフとなります
iOS14.5がリリースされ、アプリのバージョンアップが行われると、広告識別子の取得率がガクンと落ちることが確認できます。
広告識別子の追跡許可率の改善
広告識別子追跡の許可をユーザにリクエストする方法は、Appleのガイドラインに詳しく説明がございます。iOS14.5以降の端末上のアプリでは、ユーザをトラッキングしたり、デバイスの広告識別子にアクセスする際には、App Tracking Tranparency(ATT)frameworkを通じてユーザの許可を得る必要があります。実装を行っていないアプリでは、広告識別子にアクセスできないため、対応が必要となります。
さいごに
GA4のオーディエンスを作成し、アプリのGoogle広告と連携すると、オーディエンスマネージャーのサイズで対象リストのボリュームを確認できます。
リマーケティングキャンペーンは効果が良いことが多いですが、反面、リストの質を担保しながらオーディエンスリストを集めてくることが重要なため、Google広告の機能並びに、GA4の予測オーディエンスを活用しながら、実施することが重要になってきます。