GA4がリリースされてから、様々な方がGA4への移行の準備開始または移行されている頃かと思います。
そんな中、カスタムディメンションやイベント(カテゴリ、アクション、ラベル)の内容は引き続き計測したいと考えていると思います。
カスタムディメンションやイベントの値は各サービスごとに固有かつ様々な設計で計測されているはずです。
GA4で引き続き、そのような値を計測するために新たにウェブサイトに手を加える必要があるかというと実はそうではありません。
GTMで計測実装の運用を行っていればサイト改修は不要です。
本コラムでは簡単な例をもとにGA4の設定、計測方法を解説します。
現GAの計測状況を棚卸する
サイト改修は不要とはいえ、GTMでそれなりの設定は必要です。
設定にあたり、現計測状況を棚卸し、これを機に利用していないカスタムディメンションやイベントなどはGA4で計測しないなど整理する必要があります。
エクセルやスプレッドシートにカスタムディメンションやイベントを書き出して俯瞰で確認する方法がよいです。
ポイントとなるのがそのカスタムディメンションやイベントがGTMの「どのタグ」で設定されているかも一緒に棚卸します。
現GAの計測内容をGA4に合わせて設計する
カスタムディメンションの設計
カスタムディメンションはGA4にもあるため、再設計と言うほどの作業は必要ありません。
ただし、GA4のカスタムディメンションはスコープがイベント(ヒット)、ユーザーのみとなっています。(2020年11月現在)
セッションスコープのカスタムディメンションはどうするかなど検討は必要です。
実装においては現GAのカスタムディメンションは番号で指定するのに対して、GA4はパラメータ名、ユーザープロパティ名に任意の文字列を設定して実装する必要があります。
棚卸した表にパラメータ名、ユーザープロパティ名を追記し設計します。
イベントの設計
現GAのイベントはイベントカテゴリ、アクション、ラベルの3つのディメンションで構成されます。
GA4はこのような構成はなく、イベント名、パラメータ名を組み合わせて独自に構成します。
GTMでGA4用計測を実装する
GTMで取得しているカスタムディメンションの値やイベントの各値はGA4に流用できます。
また、発火条件であるトリガーも流用可能です。
つまり、GA4用にウェブサイト上に何かしら実装する必要はありません。
以下、ページビュー計測とイベント計測の例をあげます。
ページビュー計測
現GAとGA4で計測対象のページがまったく同じである場合は、現GAのトリガー条件をそのまま移植します。
SPA計測のために「履歴の変更」トリガーが設定されている場合は注意が必要です。
GA4は拡張計測機能でSPA計測が可能になっているため、GTMでSPA用の実装は必用ありません。(※SPAの作りによってはその限りではありません。)
そのため、GA4では「履歴の変更」トリガーは設定しません。
カスタムディメンション値は [現GAの計測内容をGA4に合わせて設計する] で定義したパラメータ、ユーザープロパティにマッピングします。
イベント計測
棚卸で、対象イベントがどのタグで実装されているかがわかっているため、そのタグ設定を元にGA4用に置き換えて設定します。
イベントの発火タイミングがGA4で変わることはないため、トリガーはそのまま使いまわせます。
イベント カテゴリ、アクション、ラベルは [現GAの計測内容をGA4に合わせて設計する] で定義したイベント名、パラメータ名にマッピングします。
例えば、以下のような設計を行った場合はイベント名は固定値、パラメータが変動値となり、固定値は直接GTMに設定します。
変動値は現GAの設定をそのまま流用します。
注意点はGA4はイベント名に全角を使うことができません。
計測は可能ですが、オーディエンス作成の際に全角文字が含まれているとエラーとなってしまいます。
そのため、半角英数字に置き換えて設定します。
変動値が全角になっていて、それをイベント名に設定する場合はどうするかといった方法を解説します。
例えば以下のようなdataLayerによってイベントアクションの値「ログイン」が設定され、GA4ではその値「ログイン」をイベント名に設定する場合です。
dataLayerの値を半角に変えてしまうと、ウェブサイト改修が発生し現GAの計測値も変わってしまうため得策ではありません。
GTMのルックアップテーブル変数を使って、半角に置き換えてからGA4のイベント名に設定します。
置き換えた値をGA4のイベントタグに設定すれば現GAにも影響を与えずGA4の仕様に合わせた設定が可能になります。
まとめ
現GAで計測している内容をGA4でも計測する場合、すでにGTMで計測しているウェブサイトであればサイトの改修は不用といえます。
そのため、ウェブサイトの開発スケジュールなどにとらわれずにGA4計測を開始することができます。
GTMだけでできるとはいえ、現状の計測状況の棚卸、GA4でどのように計測するかといった整理と設計はしっかりと行っておく必要があります。