※2021/6/30更新※
本コラムの解説動画も公開しました。こちらも併せてご覧くださいませ。1.iOS14のアップデート内容はどういったものか?
2020年6月にApple社によるWWDC内で「iOS14ではユーザーの許可がなければ今後IDFAを取得しない」という事が発表されました。このアップデートは2021年早春に実施されるとアナウンスされています。なお、2/9(火)時点ではまだ実施されていません。
IDFAとはiOSの広告識別子のことです。つまりiOSを使用するデバイス(iphoneなど)の広告をトラッキングするために使われています。今まではIDFAを取得できていましたが、iOS14アップデート後はユーザーの許可によってはじめて取得できるという仕様に変更されます。
この仕様は全アプリで義務化されるため、FacebookやInstagramを利用するユーザーが「IDFA取得を許可しない」と選択した場合、Facebook広告におけるトラッキングに大幅な制限がかかります。どれくらいの割合のユーザーが「IDFA取得を許可しない」を選択するかは未知数ですが、この割合がかなり高い場合、Facebook広告の配信効率が低下することが見込まれています。なお、「IDFA取得を許可する」を選択した場合は今まで通りの計測が可能です。
こちらの記述が間違っていたので「3.iOS14アップデートで最も影響度の高い変更内容とは?」の【iOSアップデート後】を修正しました。
本コラムでは、このアップデートを受けてFacebook広告において最低限これだけはやっておいて欲しい「ドメイン認証」と「合算イベント測定」の操作手順を解説します。
2.本コラムの対象者
Facebook広告を利用しているウェブ広告主さま
※今回はアプリ広告主さまを含めていません
3.iOS14アップデートで最も影響度の高い変更内容とは?
iOS14アップデートによって生じる影響は様々なものがありますが、最も影響度が高いものはイベントの上限数。イベントというのは端的に言うと、コンバージョンポイント(ECであれば購入やカート追加など)です。具体的には標準イベント、カスタムコンバージョンが該当します。1ドメインに対して、制限なしでイベント計測できる(もしかしたら上限あるかもしれませんが無視できるレベル)
【iOS14アップデート後】
「IDFA取得を許可しない」場合、1ドメインに対して、8つのイベント計測しかできない。
8つのイベントに優先順位を設定し、1ユーザーに対していずれか1つのイベントしか計測できない。
※ECで「購入」と「カート追加」をイベント設定している場合、ユーザーが購入に至ると購入は計測されるが、カート追加は計測されない仕様
「IDFA取得を許可する」場合でも、1ドメインに対して、8つのイベント計測しかできない。
1ユーザーに対して複数のイベントを計測できます。
※ECで「購入」と「カート追加」をイベント設定している場合、ユーザーが購入に至ると購入、カート追加ともに計測される仕様
4.1ドメイン8イベントの上限に抵触するケース
①広告代理店を複数利用しており、広告アカウントやFacebookピクセルが複数あるケース
広告アカウントやFacebookピクセルがいくつあっても、1ドメイン8イベントに制限されます。
②サブドメインでサービスを分けているケース
ドメイン全体で8イベントしか設定できません。サブドメイン毎に8イベント計測可能とはなりません。
・test.com
・food.test.com
・fashion.test.com
③グローバル企業のケース
ドメインの設定方法次第で条件が異なります。
※トップレベルドメインで国を管理する場合、各国8イベントずつ設定可能
・test.com
・test.de
・test.uk
※サブドメインで国を管理する場合、全世界で8イベントしか設定できない
・uk.test.com
・jp.test.com
・il.test.com
※ディレクトリで国を管理する場合、全世界で8イベントしか設定できない
・test.com/uk
・test.com/fr
・test.com/jp
5.ドメイン認証と合算イベント計測とは?
ドメイン認証とは?
「このウェブサイトは私が所有者です」という事をFacebook側に明示するための設定です。
iOS14アップデート対応に必須とアナウンスされている事項となります。
合算イベント計測とは?
「イベントの優先順位設定」と認識すればOKです。
ここで優先順位を指定しないと計測対象が定まりません(おそらくイベント計測されなくなります)。
6.ドメイン認証の設定手順
a. 広告マネージャーの画面から「ビジネス設定」をクリック
b. ブランドセーフティー>ドメインにアクセスし「追加」をクリック
c. ドメインを入力し「ドメインを追加」をクリック
d. 「HTMLファイルアップロード」をクリック
e. 「HTML verification file」をクリックし、HTMLファイルをダウンロード
f. Google SearchConsoleの認証手順と同様ですが、FTPツールなどを使用してrootディレクトリにHTMLファイルをアップロード
g. ドメイン認証完了
7.合算イベントの設定手順
a. 広告マネージャーの画面から「イベントマネージャー」をクリック
b. ドメインに設置しているピクセルを選択し「合算イベント測定」をクリック
c. 「ウェブイベント設定」をクリック
d. 対象のドメインを探し、ドメインをクリック
e. 「イベント編集」をクリック
f. メッセージを読んだ後「編集」をクリック
g. イベントの優先順位を設定し、「送信」をクリック
Facebookピクセルに紐付いているカスタムコンバージョン、標準イベントが選択可能
h. 設定内容と説明文を確認し「はい、これらの変更を理解しました」をONにして「適用」をクリック
i. 設定完了
8.終わりに
サブドメインでサービスを分けているケースや、グローバル企業がトップレベルドメインで管理していないケース(おそらく大半はこの管理方法は採用していないのでは?と感じます)が特に影響度は大きく、早期に対応する必要があるでしょう。
今回のiOS14アップデートはGDPRやCCPAなどの世界的なユーザープライバシー保護の流れを受けたApple社の対応と言えます。Google Chromeでのサードパーティーcookie終了など、一人のユーザーとしてはプライバシー保護の流れは良いと感じる反面、広告運用者としては長期的には広告成果が見えにくい厳しい時代になっていくのではと感じています。