Googleアナリティクスではページビュー、セッションとユーザーと異なる指標があり、その中でもユーザーという指標を利用したレポートやセグメントには制限が存在します。今回は下記のヘルプには書かれているけど忘れがちな制限について取り上げたいと思います。
そもそもユーザーとは
Googleアナリティクスにおけるユーザーとは特定の期間においてサイトへ訪問したユニークユーザー数です。
ユニークユーザー数はブラウザごとに付与されたGoogleアナリティクスのCookieによって判別されるため、ユニークブラウザ数といっても過言ではありません。UserIDビューにてユーザーがサイトのログイン機能でログインした際にuidへユニークな値を付与していた場合はブラウザ、デバイスを超えてユーザー数を計測することができます。
例として下記のアクセスが非ログインのサイトで存在したとします。
Aさん(Chrome) | 4月1日 | 1セッション、5ページビュー |
Aさん(IE) | 4月2日 | 1セッション、3ページビュー |
Aさん(Chrome) | 4月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 4月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
この場合、4月1日~3日のユーザー数は3となります。
ユーザーベースセグメントの制限
Googleアナリティクスにて使用することができるセグメントとの大きなルールとしてセッションベースとユーザーベースのセグメントが存在します。
セッションベースのセグメントは該当のセッションに対して具体的な抽出条件を指定して絞りだすセグメント、ユーザーベースのセグメントは該当のセッションに対して指定した具体的な条件をもつユーザーを抽出するセグメントになります。
ユーザーベースのセグメントを利用すると、抽出することができる期間が最大93日と制限されるため使用方法には注意が必要です。
どのようなデータの際に制限が発生するか、下記の例にて解説します。
Aさん(Chrome) | 5月1日 | 1セッション、5ページビュー |
Aさん(IE) | 5月2日 | 1セッション、3ページビュー |
Aさん(Chrome) | 5月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 5月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
上記の例でセッションベースのセグメントで「コンバージョンした」という条件でセグメントを作成した場合、下記のセッションが抽出されます。
Aさん(Chrome) | 5月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 5月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
2セッション、3ページビュー、2コンバージョンです。
同じ例を基にユーザーベースのセグメントで「コンバージョンした」という条件でセグメントを作成した場合、下記のセッションが抽出されます。
Aさん(Chrome) | 5月1日 | 1セッション、5ページビュー |
Aさん(Chrome) | 5月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 5月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
3セッション、8ページビュー、2コンバージョンです。
Aさん(Chrome)は5月3日にコンバージョンしたユーザーとなり、同ユーザーは5月1日にもセッションが存在するためデータとして抽出することができます。
上記のユーザーベースにおけるセグメントの仕様を理解した上で、下記の例にてユーザーベースのセグメントにおける制限を解説します。
Bさん(Firefox) | 1月1日 | 1セッション、4ページビュー |
Aさん(Chrome) | 5月1日 | 1セッション、5ページビュー |
Aさん(IE) | 5月2日 | 1セッション、3ページビュー |
Aさん(Chrome) | 5月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 5月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
上記の例でユーザーベースのセグメントにて「コンバージョンした」という条件でセグメントを作成した場合、下記のセッションが抽出されます。
Aさん(Chrome) | 5月1日 | 1セッション、5ページビュー |
Aさん(Chrome) | 5月3日 | 1セッション、1ページビュー、1コンバージョン |
Bさん(Firefox) | 5月3日 | 1セッション、2ページビュー、1コンバージョン |
3セッション、8ページビュー、2コンバージョンです。
Bさん(Firefox)は1月1日にもセッションが存在しますが、ユーザーベースのセグメントを使用した場合は、期間が最大93日となる制限が発生します。
期間が93日を超える期間がレポートにて設定された際は、開始日から自動的に期間が93日間へリセットされます。
なお、ヘルプには最大90日と記載されていますが、下記のキャプチャのように実際のGoogleアナリティクスにおける画面上では93日と表示され、利用できる最大日数も93日間となります。
ユーザーを使用したセグメント、標準レポート、カスタムレポートの制限
見落としがちな制限事項としてユーザーを使用したセグメント、表示レポート、カスタムレポートの制限として、指定した期間内でセッション数が1,000回を超えたセッションに対しては機械のトラフィックとしてみなされるといった制限があります。
前述のセグメントの他に、標準レポートにてユーザーが表示されているレポートやカスタムレポートで指標にユーザーを選択したレポートでは、指定した期間内で特定のユーザーにおけるセッションが1,001回目から計測されなくなるというものです。
標準のレポートでユーザーが表示されているレポート例として下記が存在します。
ユーザー>サマリー
カスタムレポート
ユーザーベースのセグメントにおける条件とは違い、93日以上を指定したレポートに対しても適用されます。
例えば、2015年1月1日から2015年12月31日を指定したレポートにてユーザーが含まれる場合にて、特定のユーザーにおけるセッションが1,000回を超えていた場合、1,001回目からのセッションは計測対象外としてレポート画面に表示されます。
2015年1月1日から2015年6月30日と2015年7月1日から2015年12月31日の2つの期間にてレポートをわけた場合で、特定のユーザーにおけるセッションがそれぞれの期間で1,000回を超えていなかった場合、2015年1月1日から2015年12月31日のセッション数と、2015年1月1日から2015年6月30日と2015年7月1日から2015年12月31日の2つの期間でわけたセッション数を加算したものは数値が乖離します。
実際に機械のトラフィックである可能性もありますが、1日において何回もアクセスが発生するようなメディアサイトやゲームサイトにおいては特定の期間にてセッション数が1,000回を超える可能性もありますので注意しましょう。