写真投稿だけで大丈夫? 複雑化するFacebook ニュースフィードの新アルゴリズム
2013年08月27日
ライター:Mat McGee

※この記事はMarketing Landの許諾を得て、以下の記事を翻訳したものです。
EdgeRank Is Dead: Facebook’s News Feed Algorithm Now Has Close To 100K Weight Factors

  1. 当初、それは、回転式つまみであった
  2. つまみからエッジランクへ
  3. エッジランクの次にくるのは?
  4. 親密度、重みと経過時間
  5. 関係性の設定
  6. 投稿の種類
  7. 投稿を非表示/スパム報告
  8. 広告のクリック、その他のタイムラインの閲覧
  9. デバイスと技術的配慮
  10. ストーリーバンピング(Story Bumping)と直近接触者(Last Actor)
  11. 最後に
Facebookがどのようにニュースフィードに表示するコンテンツを選択し、順位付けしているか、今後クライアントに説明する時は、エッジランクという用語を使わない方が良いだろう。 Facebookの初代ニュースフィードランキングシステムであるエッジランクは消滅した。 Facebook社内では、同社が機械学習に基づいたより複雑なランキングアルゴリズムを導入し始めてからの約2年半、この用語は使用されていない。現在のニュースフィードアルゴリズムには覚えやすい名前は付けられていないが、同社のエンジニアの話ではエッジランクが過去のものであることは明らかである。 今週、Facebook社ニュースフィードランキング担当技術マネージャーのLars Backstrom 氏との電話で、彼は「ニュースフィードを生成するモデルの独立因子は10万近くになる」と言っていた。エッジランクのオリジナル3大要素であるAffinity (親密度)、 Weight (重み)、 Time Decay (経過時間) は今でもニュースフィードランキングの重要な因子ではあるが、「他の因子も同じく重要」であると述べている。 言い換えれば、現在のニュースフィードアルゴリズムはこの1~2年の間に非常に精巧なものに進化してきたということだ。 「検索エンジンとそのWebサイトのランク付け方法を例にとれば、最もわかりやすいかもしれません」と、Backstrom 氏は述べた。「現在のGoogleをAlta Vistaと比較しているようなものです。GoogleもBingも、パーソナリゼーションなど数多くの新しいシグナルを使用しています。ページ内の単語が最も重要視された検索初期と比べるとかなり精巧なものです」 この発言は、マーケティング担当者や事業主にとって、ニュースフィードランキングの説明をはるかに超える意味を持つ。これは、Facebookユーザーへのオーガニックリーチを増やすための現在の複雑な競争を反映(同時に、原因でもあるのだが)している。 この競争の勝者は誰か?  それは、Facebookがどのように過去の[親密度][重み][経過時間]を脱却してきたのかを理解し、自らも脱却する人々である。現在のニュースフィードアルゴリズムを語る前に、まずは数年前からの状況を振り返ってみよう。

当初、それは、回転式つまみであった

2006年の9月に誕生したFacebookのニュースフィードが提供を約束したのは、引用すると「その日一日の新しい投稿一覧をパーソナライズし、マークがいつブリトニー・スピアーズをお気に入りに加えたのか、あなたの片想いの相手がいつ交際相手と別れフリーとなったのか、知ることができます。」というものであった。 そう、これが当時の発表からそのままの引用したものである。何ともかわいいではないか。 Facebookはニュースフィードのローンチにより、わざわざクリックして友達のプロフィールを表示せずに、各個人のソーシャルネットワークの中で最も重要なコンテンツをユーザーに表示することを目指した。そのため、各個人に重要なものを決定する方法を見つけ出す必要があった。 最近開催されたFacebookのニュースフィードメディアイベントにおいて、「当初、ニュースフィードランキングは複数の回転式つまみでした」と、 Facebookの製品担当副社長であるChris Cox氏は語った。「画像のつまみをほんの少し上げ、プラットフォームの話題のつまみをほんの少し下げ」

回転式つまみ画像

Cox氏は、Facebookのオフィスで彼の同僚と共にどのようにランキング「つまみ」を調整したのか、ユーモアを交えて説明を行った。つまみの調整はユーザーからのフィードバックに基づいて行われ、そのフィードバックはしばしば怒りのメールであったり、Facebookオフィス外でのユーザーとの会話であった。 当時は、今よりずっと単純な時代だった。

つまみからエッジランクへ

Facebookはその時代から明らかに大きな成長を遂げた。特に2007年11月のFacebook広告とFacebookページの同時サービス開始は大きな影響を与えた。 企業やクラブ、団体が現存するファンや新しいファンへのリーチを増やそうとFacebookページを作成し、使い始めた。それにより、ユーザーのニュースフィードにはより多くのコンテンツが表示され、こみ入った、手に負えない状況となった。 同社は「回転式つまみ」をエッジランクへと発展させた。エッジランクは、 a) 数千の投稿 (またはFacebookが表現するところの「エッジ」 ) の中からユーザーのニュースフィードに表示するものを決定し、 b) 表示順序を決定するためにランク付けをする、アルゴリズムであり、次の3大要素があった。
  • Affinity:親密度 ; ユーザーとコンテンツ/情報源の関係はどれほど親密か?
  • Weight: 重み ; コンテンツに対してどの種のアクションが行われたか?
  • Decay: 経過時間 ; コンテンツはどの程度、最新/進行中の状態か?
エッジランクにより、Facebookはユーザーに対してよりパーソナライズされた ニュースフィードを提供できるようになった。Cox氏の説明によれば、Facebook上で数多くのゲームをプレイするユーザーの ニュースフィードには、より多くのゲーム関連コンテンツが表示されうる。多くのグループディスカッションに参加するユーザーには、その類いのコンテンツが表示される、という具合だ。

エッジランクの次にくるのは?

エッジランクでは、主にユーザーによるFacebookの使い方が、 ニュースフィードの表示内容を決定した。そして、それは今も変わらない。なぜなら、Cox氏が先週語ったように、「我々はユーザーが訪れるたびに最も面白い体験をしてもらえるサービスの提供に従事しています」 ただし、現在ではその作業がこれまでになく複雑なものとなっている。 考えてみれば、毎月、10億人以上の人々がFacebookを使用している。アメリカでは一日当たり1億2800万人がFacebookを使用している。そのユーザーは様々なコンテンツ表示性能を持つ数十種類のモバイル機器を使用している。1,800万のFacebookページが存在し、その多くは積極的に注目を求め、可能な限り頻繁なニュースフィードへの表示を求めている。この数字には、Facebookページは持たず、通常アカウントでFacebookを利用している多数の企業は含まれていない。 このすべてが進行する中で、Facebook曰く、典型的なユーザーには、1回の訪問でニュースフィードに表示される『可能性のある』投稿が約1,500件ある。 では、ユーザーが何を目にし、Facebook ページのどのコンテンツがニュースフィードに表示されるかを、Facebookはどのように決定しているのか?  Facebookがそのすべてを明らかにすることはないということは想像に難くないが、近年発展を遂げたニュースフィードアルゴリズムの一部に関して、Backstrom 氏は包み隠さず語った。

親密度、重みと経過時間

Backstrom 曰く、これらは「今でも重要」だが、現在では各要素に複数の因子レベルが存在する。「数多くの異なるファセットが存在します。[親密度]には複数のカテゴリと複数のサブカテゴリがあります」 Facebookは、各ユーザーと友達やページとの間の親密さを測定しようと試みているが、測定は単に個人的なやり取りに基づいたものではない。Backstrom 氏によれば、Facebook は全体的なやり取りにも着目し、そのシグナルがある程度大きい場合は個人的なやり取りよりも重要視されることがある。 「例えば、ある最新情報を100人のユーザーに表示し、それと交流を図った人がわずか数名だった場合、あなたのニュースフィードには表示しないかもしれません。しかし、数多くの人々が交流を図った場合、あなたへも表示することを決定するかもしれません」

関係性の設定

別の要因は、 Facebookユーザーが適用できる関係性の設定である。それぞれの友達に対して、もう一歩踏み込んだ設定として「親しい友達」または「知り合い」とリストで分類ができる。「いいね! 」したページに対しては、ユーザーは「お知らせを受け取る」または「更新情報を受け取る」を選択でき、どのようなコンテンツをユーザーが目にしたいのかより詳細に管理できる設定がある。

関係性設定画像

「私達は、[親密性]を自然に引き出そうとしています」と、Backstrom 氏は語る。「しかし、手間をかけてより詳しい関係を教えてくだされば、それを考慮にいれます」

投稿の種類

ニュースフィードアルゴリズムは、各ユーザーが好む傾向のある投稿の種類を考慮する。写真投稿に対して反応を示すことが多いユーザーのニュースフィードには、より多くの写真投稿が表示されやすくなり、リンクをクリックする傾向のあるユーザーには、リンク付きの投稿がより多く表示される。 Backstrom 氏によれば、これはさらに詳細なレベルにも適用される。「全体的なやり取りだけではありません。それぞれの友達のどの種類の投稿と最も多く交流を図っているのかにも着目しています」 言い換えれば、1種類の投稿を継続的にパブリッシュするFacebookページのオーナーは、他の種類の投稿と交流を図るファンからは投稿を見てもらえない可能性が高くなる。

投稿を非表示 / スパム報告

ニュースフィードの見え方は、投稿を非表示にする、または、スパムとして報告するユーザーの行動にも影響を受けうる。しかし、投稿がユーザーのニュースフィードへ表示されないようにする設定閾値があるというような単純なことではない。 「各投稿に対して、同じ計算処理をしています」と、Backstrom 氏は説明した。「任意の投稿と、任意のユーザーのヒストリーを考慮し、この投稿を気に入る確率はどの程度か? 非表示にする可能性はどの程度か? 私達はこれらを検討し、ニュースフィードにこの投稿を表示することは正味でプラスだろうか? と、判断に努めています」 さらに、非表示にされていた投稿を考慮する時、経過時間の要素が入る。ある投稿をニュースフィードに表示するかどうかを決定する場合、最近の「非表示」はより重みを持つが、それらの「非表示」は時間が経つにつれ影響力が小さくなるとも述べている。

広告のクリック、その他のタイムラインの閲覧

ニュースフィードアルゴリズムは、どの広告を表示するか、いつ広告を表示するか、どこに広告を表示するか、を決定するアルゴリズムとは全く別のものである。しかし、Facebook広告に対するユーザーの反応は、ニュースフィードの表示内容に影響を与えうる。 「ユーザーに何を表示すべきか検討する際、外される要素は何もありません」「広告のクリックや、他のタイムラインの閲覧に着目することもありえます。ユーザーがニュースフィードで交流を図るものに限ったことではありません」

デバイスと技術的配慮

当然、このニュースフィードアルゴリズムは、表示内容を決定する際に、使用デバイスやユーザーのインターネット接続スピードさえも考慮している。 「旧型のガラケーの中には技術的な限界があり、表示することができないコンテンツもあります」「ある特定機種では、Facebookユーザーに対してコンテンツが実行しづらいことも理解しています。ユーザーのインターネット接続スピードが遅い場合、より多くのテキスト最新情報を表示するかもしれません。ユーザーが興味を持ち、交流したくなるようなコンテンツを表示しようと試みています」

ストーリーバンピング(Story Bumping)と直近接触者(Last Actor)

先週Facebookが発表したばかりの、この2つの新要素も忘れてはいけない。ストーリーバンピング(Story Bumping)は、 古い見逃した投稿でもやり取りが続行している場合は、その投稿にニュースフィード 表示のセカンドチャンスを与えることで[経過時間]ルールにひねりを加える。 直近接触者(Last Actor)は最新性を重視する。 Facebookはユーザーのやり取りの直近50件を追跡し、それにより大きな比重を置いてニュースフィードへの表示内容を決定する。これは新着順で機能するので、ユーザーがさらに新しいやり取りを50件行うと、やり取りの価値は下がる。

最後に

Facebookのニュースフィードアルゴリズムがこの数年間に著しく発展したことはおわかりいただけたと思う。エッジランクは過去のものとなり、Backstrom 氏が言うところの「ますます複雑になるばかりの」機会学習ベースのアルゴリズムに置き換えられてきた。 これは、Facebook上で注目を得たいブランドやマーケット担当者に新しい課題を提示するが、同社曰く、ページオーナーやその他の人々に対するアドバイスは変わらない。すなわち、シェア、コメント、いいね!、クリックを引き寄せる多種多様な興味深いコンテンツを作成しパブリッシュすること。そのためには、ファンが交流を図る投稿の種類に始まり、Facebookを使うときファンが使用している多種多様なデバイスに至るまで、自らのFacebookファンを理解することが必要となる。 私達は、Facebookのニュースフィード変更に関するレポートを続投し、私達の寄稿者もヒントやアドバイスを共有し続ける予定だ。ニュースフィードの作動に影響を与える変更に関して、この先Facebookはより多くを公開すると約束しているので、ビジネスニュースページで新しいFacebookをチェックしておくとよいかもしれない。

※訳者注

8月24日、この記事の後、Facebookはさらに投稿の品質を判定するアルゴリズムも組み込んだと発表。詳細はこちら