ご依頼された経緯とお客様の要望
弊社の運用型広告支援/コンサルティングサービスをご利用いただいており、弊社サービスに信頼をいただいていた中で、Quick DMPサービスのご紹介をさせていただく機会をいただく事となりました。
お客様の課題
- 事業成長と供に、継続的かつリアルタイムにモニタリングが必要なKPIの数やバリエーションが増え、KPI算出にかかる社内工数が急速に増えてきていた
- オンラインとオフラインのデータ統合が急務だった
- 社内各部門のKPI定義を統一し、全社で自由に分析ができる分析データマートを必要としていた
施策のポイントと内容
ポイント1
お客様環境に応じたデータ収集と加工
鎌倉新書様の初期ダッシュボード構築にあたり、直近で必要となったデータソースは以下となります。
- Googleアナリティクスデータ API経由
- 複数の基幹システムからのCSVデータ Quick DMP SFTPサーバ経由
- 各種売上値
- 各種CV値
- 各種目標値
今回のプロジェクトではプロジェクト開始時に以下の課題がありました。
- 社内基幹システムとのデータ連携が困難
- 一部基幹システムからのデータは、データエクスポートモジュールをお客様側がこれから開発しお客様が運用される(弊社側のインターフェイスを検討、調整し、運用する必要がある)
鎌倉新書様のGoogleアナリティクスデータはAPIで取得後、そのままAmazon Redshiftデータベースへ格納されます。基幹システムからのデータは、お客様側でデータをいったんCSVファイルにエクスポートしていただき、弊社Quick DMP SFTPサーバへファイルをアップロードいただきます。アップロードされたCSVファイルは、Quick DMPサーバがRedshift DBへそのままインサートします。
Redshift DBに集められたデータは、必要に応じて各データの粒度レベルを合わせるなどの集計加工処理が行われます。また各社内システム毎にデータ取得するタイミングが異なりますので、必要に応じてスケジューリングを行いました。
今後追加を予定しているデータソースは、GoogleやYahoo!などの広告運用データや、Search Consoleデータ、CRM系データなどになります。
ポイント2
Tableauダッシュボードの柔軟かつ安価な配信運用
配信先はChatWork、Googleドライブ、Tableau Online。
今回のTableauダッシュボードの配信環境には、Tableau Onlineを使用しています。
Tableau Onlineを利用する事で、まずは簡単かつクイックにサーバ系の機能を利用する事ができますし、必要に応じてユーザ数をスケールできます。
Tableau OnlineはTableau社が提供するTableau Serverの所謂SaaS版で、Tableau Desktopで作成したダッシュボードやデータソースをTableau Onlineへパブリッシュし、組織内で共有する事が出来ます。
鎌倉新書様では、社内コミュニケーションツールとしてChatWorkを利用されています。Tableauの特徴でもある動的ダッシュボードではなくなってしまいますが、静的なTableauダッシュボード画像のChatWorkへの配信を、鎌倉新書様はご要望されました。そのご要望のために、今回弊社では連携ソリューションを開発し、Tableau Online上のテキストベースのKPIレポートをChatWorkのチャットルームへ毎朝配信する機能を提供しました。
※最新のChatWork APIでは画像を含めたファイルの配信に対応していますので、現在はダッシュボード画像のChatWorkへの配信に対応しております。
また、ご利用者の要望、状況に合わせ、
- Tableau Desktopを利用しているユーザは、さらにアドホックな分析
- 簡易的にKPIをビジュアルに確認したいユーザはTableau Onlineへログインし確認
- Tableauユーザ以外は、Googleドライブ上で毎日更新されるダッシュボードの画像ベースのPDFファイルをダウンロードし確認
できるように設計いたしました。
Tableau Desktopを利用したアドホックな分析の一例としては、一部の流入チャネルをフィルターし、ドリルダウンで詳細分析を行ったり、パラメーターで売上のシミュレーションを行ったりする事も出来ます。
ポイント3
要件対応への手厚いサポートと密なコミュニケーション
これまで鎌倉新書様では、類似のサービス含め過去に経験の無いサービスの導入となり、本サービスの導入にあたっては不安を感じておられました。
Quick DMPの標準サービスであるオンデマンドレポートサービスでは、毎月お客様と定例ミーティングを行い、新たなビジネス要件の追加や変更によるデータソースやダッシュボードの追加・変更に対応しています。
鎌倉新書様プロジェクトにおいても、仕様追加や変更のリクエストは多く、また短期間で対応を求められました。
そこで両社合意にて、毎週1度ChatWork Liveを使った音声通話による定例ミーティングを行い、更に毎日30分ほどチャット形式でデイリータスクの棚卸し確認を行っています。
これによりお客様の不安が解消された事はもちろんの事、結果的に業務改善のためのPDCAサイクルのスピードアップをはかることができました。
施策後の成果
- ダッシュボード配信にかかる工数の大幅な削減
- 導入前のExcelでの手作業と比較し、ダッシュボードの配信に関わる毎日のデータ準備や加工、集計などを考慮し算出すると、導入前に毎月12時間ほどかかっていた工数が自動配信により0時間に工数を削減する事が出来ました。
- 意思統一スピードの向上やコミュニケーションの質が向上
- 全社共通KPIダッシュボードの実現により、全社員が同じ定義のKPIを毎日確認する事ができるようになり、意思統一スピードの向上やコミュニケーションの質の向上を実現しています。
- アクションの指示出しスピードの向上や効果検証のスピードの向上
- KPIダッシュボードのChatWork配信により、モバイル環境でいつでも誰でもどこででもビジネスの状況を確認する事ができるようになったため、指示出しスピードの向上や効果検証のスピードの向上を実現しています。結果的にはPDCAサイクル全体のスピードが向上しています。
お客様の声
- 弊社にお声掛け頂いた経緯と、ご発注いただいた決め手をお聞かせください。
- アユダンテの広告運用サービスを利用していた事がはじめのきっかけとなります。発注の決め手は二つあります。一つ目には手厚いサポートを必要としていた点です。鎌倉新書ではビジネス側もエンジニア側もこういったサービスの導入経験が無い状況でしたので、そのような状況でもサポートをいただけそうな点が一つの決め手でもありました。
二つ目にはコストパフォーマンスが良かった点です。仮にインハウスで開発したとしても、プロジェクトの立ち上がり時には最低2名以上のリソース配分が必要となる想定でした。社外から分析基盤構築を得意とする社員を新たに2名以上確保し、プロジェクトが運用フェーズに移った後も同じリソースをキープする事は経営上の観点からは難しく、Quick DMPのような社外サービスを活用する方が良いという判断に至りました。
これらの点が他社と比較した際に決定的に違いました。
- 今回の導入にあたり、弊社アユダンテ以外でどのような企業を検討されましたか?
- アユダンテを含めトータル6社を検討しました。SIerからBIを得意とする企業や、DSPを得意とする企業などが検討対象となりました。もっと高度な機能やサービスを提案された企業も何社かありましたが、金額面でQuick DMPサービスより1つ、2つくらい桁が多いものではありました。現状の鎌倉新書の企業規模としては、Quick DMPサービスが一番金額的にもサービス内容的にも身の丈にフィットしたものでした。
- 今後の課題や改善点はございますか?
- 現状は静的なTableauダッシュボードのChatWork配信が先行していますが、Tableau活用のメリットを更に享受するためにも、今後は社員全員でデータ分析をもっとゴリゴリ行っていけたらいいなと考えています。Tableauはもっと自由に分析ができるツールだと考えていますので、まだまだポテンシャルがあると考えております。
『情報を取る』という活動にいくら投資していくのか、またその投資をどれだけ効率的に実施していくのかは、今後も引き続き活動のテーマとなります。
- 今後の展開や計画をお聞かせいただけますか?
- 大幅な業務改善効果が期待されるサービスパートナー向けの新たな分析ダッシュボードを2018年8月以降にリリースを予定しています。新たな分析ダッシュボードの活用で、Quick DMPサービスやTableau分析の効果を社内に示し、社内の分析カルチャーの更なる醸成や、業務改善のPDCAサイクルのスピード向上に勤めたいと思います。
担当スタッフ
担当スタッフからのコメント
時代にマッチしたビジネスモデルで急成長をされている鎌倉新書様は、モニタリングするKPIも新たなものが急遽追加されたり、急ぎの仕様変更があったりします。そうしたご要望に随時対応していくのは、なかなか大変ですが、Quick DMPサービスの導入をきっかけに、お客様社内の分析カルチャーが着実に醸成され、データドリブンな組織へと急速に転換されてきていることを感じ、担当としてはやりがいを感じるプロジェクトです。
データビジュアライゼーションコンサルタント:加藤 賢之