【AYUDANTE NEWS 2025年7月号から抜粋】ヒートマップ初心者の疑問に答える! SEO×広告対談で分かる実践ノウハウ
2025年09月16日
ライター:小林 奈穂
SEO

本コラムはAYUDANTE NEWS 2025年7月号から一部抜粋してお送りしております。全文に関しては毎月月末に配信しているニュースレターのバックナンバーからご覧ください。

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今回のニュースレターは、「ヒートマップ初心者の疑問に答える」をテーマに、弊社弊社SEOコンサルタントの高橋 智子SEO&SEMコンサルタントのリョウ ジェシカに話を聞きました。

  1. はじめに:ヒートマップツールの基本と使い分け
  2. ファーストビューでユーザーを離脱させない
  3. 熟読エリアって何をもって判断する?
  4. クリックされないボタン、どうする?
  5. レコーディング機能との併用で気づきが増える
  6. レコーディング機能は時間泥棒? いったい何人見ればいい?
  7. BtoBとBtoCで変わるヒートマップの読み解き方
  8. 広告運用者視点のヒートマップ活用:CV(コンバージョン)に直結する要素にフォーカスしてチェックする(ニュースレター限定)
  9. まとめ ユーザーの“感情”を想像する視点(ニュースレター限定)

はじめに:ヒートマップツールの基本と使い分け

小林

入社した時、アユダンテの広告チーム、SEOチームが、ヒートマップ分析で盛り上がっていて驚いた経験があります。テクニカルSEOのイメージが強かったのですが、社内Slackにも「ヒートマップ研究会」のチャンネルがあって、かなり熱いです。 ずばりお聞きしたいのですが、ヒートマップ分析の価値って何なんでしょう?

高橋

ヒートマップでユーザー行動を見ることで、「ユーザーがここでこんな風に動いてるから、こう変えてみませんか?」という建設的な提案をしやすくなると思います。よく担当者の主観的な意見だったり、偉い人の鶴の一声でサイト改善が進むような場面もあるかなと思うんですが、「それでいいのかなぁ…」と感じている方にはぜひ触ってみて欲しいです。

ジェシカ

改善は「思い込みの打破」から始まることも多いんです。「こう見せれば効果的」と自信を持っていたページ構成が、実はユーザーの行動とズレていることもある。ヒートマップは、そのズレに気づかせてくれる。
常にデータの背後にあるユーザーの気持ちを想像し、ユーザーの目線で考える姿勢を身につけたいと思っています。“ここを押してほしい”ではなく、“ここで立ち止まってしまう理由は何か”という視点。仮説と観察の繰り返しでしか見えてこない部分が、実はCV改善のカギになることも多いのです。

ファーストビューでユーザーを離脱させない

小林

ヒートマップを見るとき、ページの上のほう、つまりファーストビューに注目することが多いですよね。やっぱり重要なんでしょうか?

高橋

めっちゃ重要です!!
ファーストビューだけで、読み進むか離脱するか判断するユーザーは多いです。読み進めてもらうには、「ユーザーの関心にあっていること」 と「まどろっこしくなさそう」 と感じてもらうことが大事です。

小林

ファーストビューがうまく機能していない原因はどんなものが考えられますか?

ジェシカ

ファーストビューの直後で離脱率が高い場合は、やはりズレが原因かもしれません。ユーザーがページを開いた瞬間に、「なんか違う」と違和感を感じると、すぐにページを離れてしまいます。
こうした離脱はヒートマップを使うことで比較的発見しやすく、ファーストビューの滞在時間やクリックの分布から違和感のサインを読み取ることができます。

たとえば広告のクリック率が高いけど、直帰率も高い場合、こうした違和感による離脱が考えられます。広告バナーや広告文にユーザーが抱いた期待と、実際のページ内容にズレがあることが原因と考えられます。

高橋

自然検索からの流入の場合にも同じことが言えます。ユーザーは何かを求めてやって来ていますから、出だしでピントがずれていると感じると、ユーザーは検索結果に戻ってしまいます。これはSEOの評価としてもよくありません。だからh1やファーストビューの設計にはとても神経を使います。
おざなりなアイキャッチ画像や、まったくクリックされていないパーツを、ファーストビューに置くゆとりなんてないんです。

ジェシカ

ユーザーが自然に見る位置や動線に必要な情報が置かれているのか?その点も重要です。ただ、デバイスによってもユーザー行動は違うので、離脱の原因やタイミングにも差が出てきます。
スマホは画面が小さいぶん、ファーストビューで興味を引けないと、そのままスクロールされずに離脱されてしまうことが多いです。
一方でPCは画面が広い分、内容がごちゃついていたり導線がわかりづらいと、途中で離脱されてしまいます。また、PCだと視線が「F字型」に動きやすいので、上部や左側に重要な情報がないとスルーされてしまいます。
こうした違いを意識して、スマホとPCで分けてヒートマップを分析するのがポイントです。

小林

たしかに、以前ディレクションをしていた時に、PCで見るとちょうどよく情報が目に入る構成でも、スマートフォンで見るとトップの画像が大きすぎて、ファーストビューに他の情報が一切見えず、それが原因で離脱されていたケースもありました。

熟読エリアって何をもって判断する?

小林

ファーストビューがうまく機能して、下にスクロールしてくれたとして、途中の離脱はどう分析しますか?

ジェシカ

離脱の原因はさまざまです。たとえば途中のリンクから他へ移動してしまうケース、デザインが見づらくて読むのを途中でやめてしまうケースなども考えられます。
ヒートマップで離脱が発生している箇所を特定したら、必ずユーザーの気持ちになって、実際のページを確認しましょう。原因を突き止められる可能性がぐっと高くなります。

高橋

私は、途中でスクロールが急激に減った箇所にも注目します。そこで「わかりにくさ」や「めんどくささ」を感じていないか?
たとえば長すぎるテキストブロックや、見出しが不親切なセクションなどですね。コンテンツのリズムが悪いと、ユーザーは思考の流れを崩してしまって、そこで離脱してしまいます。

小林

記事ページなどでは、うまく機能しているか判断するときに、熟読されているかで見る場合があると思います。熟読って何をもって判断しますか?

高橋

アテンションヒートマップで暖色になっている部分を、「熟読されている」とみなすことが多いです。でも、あくまで「長く滞在していた」という事実を示しているものなので過信は禁物です。
アテンションヒートマップは、「読まれてる=良い」じゃなくて、「手を止めている=改善余地のあるポイント」かもしれない、と考えるようにしていますね。

ジェシカ

高橋さんが言うように、指標だけをうのみにしないことです。

熟読エリアをチェックする際は、レコーディング機能を使って、ユーザーの実際の動きをチェックしてみると、より深く状況を理解できると思います。
もしかすると、読みにくかったり、迷って止まっていただけという可能性もあるので、ユーザーの行動の裏にある気持ちや状況を想像しながら見ることが大切です。

ヒートマップはあくまで「面」の情報です。レコーディング機能は、「時間」や「行動」を確認できます。一緒に見て初めて判断できることもたくさんあります。

小林

なるほど。以前はあまり注目していなかった部分だったんですが、レコーディングを見てみると、意外とそこでユーザーの動きが止まっていたんですよね。ヒートマップでは気づけなかった「ちょっとした迷い」が、録画だとすごく直感的に伝わってきて、「見たかどうか」より「どう見ていたのか」が大事だと改めて感じました。

クリックされないボタン、どうする?

小林

たとえば、CTA(コンバージョンにつながるボタン)が複数設置されているページがあったとして、その中にひとつだけ「まったくクリックされておらず、CVにもつながっていないボタン」があった場合、どう判断すべきだと思いますか?

ジェシカ

CVにつながっていないボタンがある場合、単純に削除するのではなく、まずは「なぜ機能していないのか」を見極めることが大切だと思います。たとえば、ユーザーの導線や意図とボタンの内容がズレていないか、視認性や文言が弱くて気づかれていないのではないか、リンク先の内容に期待とのギャップがあるのではないか、といった複数の視点から仮説を立てます。

その上で、ボタンの位置や文言の調整といった改善を行い、必要であればABテストで検証します。改善しても効果が見られない場合は、削除や別の導線への置き換えも検討できますが、重要なのは、数字だけを見て判断せず、その背後にあるユーザーの意図や行動をしっかり読み取ることだと思います。

高橋

あとは、そもそもユーザーに見られていなかったのでは?という、設置箇所に課題がある場合もあります。
クリックヒートマップとスクロールヒートマップを見比べてみて、ボタンのある箇所よりも前で多くのユーザーが離脱してしまっていたら、もちろんボタンは見てもらえませんから、クリックもされません。重要なCTAは、ちゃんとユーザーにリーチできる箇所に設置することが大前提になります。

小林

なるほど。ボタンひとつでも、文脈や構成が大きく影響するんだなと感じました。思い込みでボタンに注目しすぎると、かえって原因を見失ってしまうこともあるんですね。

レコーディング機能との併用で気づきが増える

小林

ヒートマップは「面」で見るツールという印象がありました。でも、レコーディングツールと併用するとやっぱり精度が上がるんですね?

ジェシカ

上がりますね。たとえばMicrosoft Clarityだと、あるボタンの近くで「何度もカーソルが行き来してるのにクリックされていない」とか、「マウスが止まっているけどクリックしなかった」といった挙動がわかるのです。
ヒートマップだと色でまとめられてしまう部分も、レコーディング機能なら具体的に「どんな操作がされたか」がわかります。ユーザーの意図がより立体的に浮かび上がる感じですね。

高橋

あと、レコーディングを見ていると「はじめに一番下までページをなめる」とか「一度見た箇所に戻ってまた読む」といった動きも確認できるので、ヒートマップだけではわからないユーザーの気持ちを推察することができます。

ジェシカ

あとは離脱直前の動きにも注目しています。「何を見て、その後に離脱したのか」「どの要素を境に集中が切れたのか」といった、“違和感”や“納得感の不足”が録画だと手に取るように分かることもあります。レコーディングツールは、ユーザーの頭の中をのぞくヒントが詰まっていると言ってもいいかもしれません。

小林

ヒートマップだけだと“定量的な情報”に見えるところも、レコーディングがあることで“動的に体験している様子”が分かる。まるでユーザーの後ろから一緒にページを見ているような感覚ですね。だからこそ、両者を組み合わせることで、「どこを見ているか」だけでなく「どんな気持ちでページを見ていたか」にも近づける気がします。

レコーディング機能は時間泥棒? いったい何人見ればいい? 

小林

でも、レコーディング機能を何人も見ていると、時間泥棒ですよね。何人を見ればいいか、どうやって選べばいいか、などの目安はありますか?

ジェシカ

ただ、漠然と見るのではなく、ユーザーのどんな行動を見たいか、しっかりと仮説を立てることです。ここが気になる、この施策がうまくいったかなど、見るポイントが決まっていると、かなり効率が上がります。
その上で、時短のポイントを2つ上げたいと思います。

まずはフィルター機能。Microsoft Clarityなど他のツールでもフィルターやセグメントの機能があります。その機能を使って対象のユーザーを絞り込むこと。
次にAI要約機能。Clarityの場合は、AIがユーザー行動を要約して説明してくれる機能があります。うまく使うと、かなり作業の時短になると思います。
たとえば、ユーザーがどこで「デッドクリック」や「イライラクリック」したか見たいときは、まず条件でフィルターをかけてから「レコーディングを要約する」を押すと、AIがサマリーを出してくれます。

また、この要約機能は、「上位のレコーディング」と「カスタム選択」の2つが選べるんですが、私はいつも気になるものを10件くらい手動で選んで要約しています。
出てきた要約をざっと見て、「あ、これは気になるな」というものだけを深掘りしていく感じです。全部のレコーディングを見るより、かなり効率よくチェックできますよ。

高橋

レコーディングは目的なく見ると時間が溶けますね。
ジェシカさんと同じで、必ず分析したい対象を決めて、なるべく具体的にユーザーの条件をフィルターで設定するのがまずは大事だと思います。

何名見るべきかは一概に言えませんし、あくまで私の経験ですが、少なくとも10件くらいは見るようにしています。状況によってはもう少し見る場合もあります。
レコーディングでは、「一部のユーザーに見られる特徴的な行動」がサイト改善のヒントになることも多いので、そういった新しい気付きが出てこなくなったら切り上げるようにしています。

BtoBとBtoCで変わるヒートマップの読み解き方

小林

ちなみに、BtoBとBtoCでヒートマップの見方や改善アプローチって変わってきたりしますか?

※BtoB(Business to Business)企業が他の企業に向けて商品やサービスを提供するビジネス形態で、BtoC(Business to Consumer)企業が一般消費者に向けて商品やサービスを提供するビジネス形態を指します。

ジェシカ

ヒートマップの見方という点では、BtoCとBtoBで大きく変わらないと思っています。

高橋

そうですね、どこがクリックされたのか、どこまでスクロールされたのか、どこで手が止まっていたのか、といった分析のポイントは共通だと思います。
ただ…

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