本コラムはAYUDANTE NEWS 2025年1月号を全編公開でお送りしております。
ニュースレター公開から半年経過したため全編公開でお送りいたします。
本記事の内容は公開時点での2025年1月29日時点での情報となります。
「SEOがどうなるか?」をテーマに単なる予測ではなく、SEOチームが重視するポイントを、アユダンテの江沢 真紀、コガン・ポリーナ、西村 彰悟の対話形式でお届けします。
- 昨年の米国欧州 SEOカンファレンスのまとめ
- AI Overview (AIO) とゼロクリック増加への対応
- あらためてテクニカルSEOが重要
- SEOはユーザーエクスペリエンス向上)
- ユーザー視点の徹底
昨年の米国欧州 SEOカンファレンスのまとめ

アユダンテは海外のカンファレンスに、毎年何名かの社員が参加しています。 昨年2024年は西村さんとコガンさんが参加して社内勉強会で共有してくれましたね?

はい、去年は米国のBrighton SEOに初めて参加しました。AIがますます影響力を強める中、SEOでの最新の打ち手について魅力的なプレゼンが盛りだくさんでした。その熱量に圧倒されました。

海外の最新情報は、SEOチームの方針にも活かされています。西村さん、そのSEOカンファレンスで印象に残ったポイントをまとめていただけますか?

結構幅が広かったのですが、まず印象に残った点は、「AI検索とゼロクリック増加への対応」や「あらためてテクニカルSEOが重要」あたりですね。あとはブランド価値の訴求や、データ分析の重要性、SNS・口コミサイトなど検索の外での対応、ユーザーエクスペリエンスの重要性などでいろいろな学びがありました。

私は春にドイツのSMX Munich、リモートで夏にSMX Advanced、冬にSMX Nextに参加しました。私は「ユーザーエクスペリエンスの向上」が一番重要だと思います。データ分析も、量より質が重視され、定性分析がより注目されていた印象です。
(※西村が参加したBrighton SEOやコガンが参加したSMX Munichなど海外出張はもちろん会社負担です!)

3つ揃いましたね。
・AI検索とゼロクリック増加への対応
・あらためてテクニカルSEOが重要
・ユーザーエクスペリエンスの向上
どれも重要なのでひとつずつ見ていきますが、私も今やSEOで一番重要なのは、ユーザーエクスペリエンスだと思っています。アユダンテとしても昨年もっとも重要なテーマと捉えており今年も引き続き注力していく予定です。
AI Overview (AIO) とゼロクリック増加への対応

西村さんがカンファレンスの社内勉強会で共有してくれたように、ここ数年の顕著な変化としてゼロクリックの増加があります。
特に、キーワードの種類によって、検索順位とクリック数の相関がなくなってきていると感じています。今年はさらにそれが進みそうです。
昨年12月に発表されたBotify × DemandSphereのAI Overviewの調査データはかなり興味深かったです。米国で12万キーワードのSERPsを調査した結果、次のような傾向が見えてきているとのことです。
1.米国では半分近い検索でAIOが出現し、スマートフォンの表示画面の76%を占める可能性があることが判明。
2.月間検索回数が1,000回未満のクエリの55%に表示された。
3.ロングテールキーワード(5語以上の会話型)が73%。
4.クエリタイプはインフォメーショナルが58%、コマースは19%程度だった。
5.参照されるリンクの75%は、オーガニックのTOP12
昨年12月に発表されたBotify × DemandSphereのAI Overviewの調査データ



BrightonSEOのセッションでも同様の調査結果やPerplexityがオーガニック上位の検索結果を使っているのではないかという話がありました。従来の検索結果で上位を獲得する施策は依然として重要に思います。

AIO対策のためにもSEOによるオーガニック対策が引き続き重要だと感じます。

私も同じ印象です。
AIOにしてもAI検索エンジン対策としてもデータ元はGoogleかBingなのでやはりSEO対策の重要性は変わらないですよね。
いずれにしろ単純な順位だけでなく、変化の激しいSERPsのチェックにも取り組んでいく必要があると考えています。
今年もSERPsの変化はいろいろあるでしょう。拙速な対応は禁物ですが、表示される様々な要素をAIOや広告含めて分析し動向を追っていければと考えています。
昨年後半からはじめたアユダンテの新しい試みですが、SEOと検索広告を連携させて分析する「SERPs MAX」のサービスも開始しました。
ページのクローラビリティ向上など従来のSEOの重要性

続いて「あらためてテクニカルSEOが重要」の部分について詳しくお願いします。これレンダリングのお話ですよね?

はい、GoogleとBingのクローラーは2019年末にJavaScriptでレンダリングされたコンテンツを認識できるようになりましたが、すべてを認識できる訳ではありません。
たとえば、アコーディオンやハンバーガーメニューのような非表示コンテンツについて、コンテンツ自体は既にページ上に存在しているものの装飾により非表示になっているパターンであればクローラーから読み取ることができますが、クリックするまで存在しないコンテンツは認識されません。
このような問題への対処は、検索エンジンからページの内容を正しく理解してもらうために重要です。

ページはインデックスされていても、レンダリングがされていないコンテンツが意外とあります。加えてセキュリティ強化の影響が出たケースもありました。
サーバーなどシステム設定の変更で、検索エンジンのロボットを気付かないうちにはじいていたケースなども起こっています。

近年はサイト側がSPAや無限スクロールのような高度な技術を取り入れた結果、却って検索エンジンからコンテンツを適切に認識できなくなるケースがサイト規模の大小問わず発生しています。また、今後はChatGPTなどのLLM系サービスから正しくブランドを理解してもらうためにも重要な取り組みです。

なるほど、昔からGoogleはJavaScriptに弱いとされていて、それがレンダリングエンジンの強化によってかなりよくなってきていましたが、依然ここは気を付けないといけませんね。特にスマホはカルーセルやハンバーガーメニューなどJavaScriptによる実装が増えてますから…インデックスされているからと安心せずに「レンダリング」されているかを今一度確認すべきですね。
SEOはユーザーエクスペリエンス向上

続いてメインディッシュの「ユーザーエクスペリエンス」ですが、昨年はアユダンテのSlackチャネルに「ヒートマップ向上委員会」が立ち上がりSEOチーム以外の人も参加して社内勉強会を重ねました。

サーチコンソールやGA4の定量的なデータを確認しつつ、それ以上にユーザー行動の「質」の分析をしています。検索から来訪したあとユーザーがLPをどう歩いたのか、ヒートマップツールの分析がむちゃくちゃ大事です。

SEOの改善施策でスマホ画面の最適化を提案していますが、重視するポイントがかなり昔と違ってきていますよね。未だに内部リンクをどこかに置けばいいとフッター付近に大量に置いているサイトもありますが、今はユーザーにクリックされないリンクは評価されていない印象です。本当に「質」が大事になってきました。

とにかくユーザー視点でサイト改善をすることに尽きますが、Googleのユーザー理解の精度が上がったということでもありますね。

昨年は、Googleの検索内部文書のリークも話題になり、弊社でも相当読み込んでコラムにまとめました。検索結果からのクリックデータやChromeのデータなどの属性があることがわかり、ここからもユーザー行動の重要性の裏付けがかなり取れたと感じました。
2024年5月Googleの社内文書が流出、SEO担当者が押さえておきたいポイント徹底解説
ユーザー視点の徹底

今年は去年からの流れを汲んでAI関連の動向を見ていく、そして引き続きユーザー行動へフォーカスすることが大事だと思っています。
ところで、私たちのSEOの取り組みって変わると思います?あまり変わらない?その点はどうですか?

時々聞かれるのですが、本質的にユーザー視点での改善という姿勢は変わっていません。ただ、SEOの施策自体はかなり変わっています。

確かに。ユーザー視点は昔からだけど、やることは結構変わってきてますよね。検索エンジンに向けた対策というものがほとんどなくなってきている。

検索エンジンに確実にコンテンツを読んでもらうためのテクニカルな対策はこれからも必要です。加えて、今はユーザーのストレスやノイズになるものを徹底的に排除することが求められていると思います。

すぐではなくとも生成AIの影響で検索エンジン業界は変化していく可能性が高いと思います。変化を追いかけつつ、ユーザー視点を徹底する取り組みをさらに追求していきたいと思います。
編集後記
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以下はニュースレター編集部の後記です。
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【AYUDANTE NEWS 2025年2月号から抜粋】
2月号の「何度目かのGoogle検索エンジン死亡予測、今回は本物か?」のチラ見せはこちらから