SEO Mythbusting 最終エピソードのまとめ: ウェブの今後
2019年08月29日
SEO

Google WebmastersのYouTubeチャネルで配信されているSEO都市伝説の誤解を解くシリーズ「SEO Mythbusting」の最終エピソードを翻訳してお届けします。
(エピソード5はこの記事でまとめています)

エピソード6は2019年7月3日に公開され、このシリーズの最終エピソードになりました。
Google社のウェブマスタートレンドアナリストのMartin Splitt氏とウェブデベロップメントエコシステムディレクターのDion Almaer氏がウェブの将来について話しています。

以下、エピソードの内容をご紹介します。

概要

  1. PWA・PCサイト・AMPなどで同一のコンテンツを複数のサイトで持つシナリオ
  2. パフォーマンスとSEOツールの連携(Googleとサードパーティー)
  3. 不明の要素の見方
  4. Web Components、virtual-scrollerとSEOの関係
  5. バーチャルアシスタント、セマンティックデータと構造化データの今後

Q&A

以下、エピソード6の内容をまとめます。一部省略や言い換えをしておりますが、主な意味が失われないようにまとめるようにしております。

Almaer氏:
自分はChrome組織内のウェブ開発エコシステムグループでChrome、検索、広告など、Googleがウェブに関わるすべての面で仕事をしています。個人的に、ウェブのエコシステムにとても興味があり、ウェブの健康や、私たちがどのように開発者や検索に役立てるかを考えています。
2018年11月のChrome Dev Summitで基調演説した際、ウェブプラットフォームなどのアップデートについて紹介しました。その際に私たちがサーチに近づいて世界をより便利にしてきているのか、逆に新しい問題を生み出しているのかと内心考えていて、Splitt氏の観点から意見を聞きたかったのです。例えば、Pinterest社はパフォーマンスが素晴らしいPWAを作っています。また、通常のPCウェブサイトがあり、更にAMPも活用しています。複数のウェブサイトを持っているこのようなシナリオでどのサイトを検索に出すべきかについてはどう考えたら良いですか?
Splitt氏:
いい質問ですね。同じコンテンツを複数のフォーマットで提供している場合、より多くのユーザーに該当するものを優先するべきです。例えば、サインインユーザー向けの機能なら、検索に出して新規ユーザーがそこに流入した際にどうすれば良いかわからず混乱します。
ユーザーが何を検索して、どう意図して検索しているかを意識するべきです。
例えば、Almaer氏がDev Summitのために作った画像掲示板を検索したいとします。「画像掲示板 Dev Summit」で検索すれば、おそらくロードが早く、オフラインでもアクセスできるためPWAを出すべきです。ただ、AMP版にもリンクすることでAMP版も併せて表示できるようにしておくと良いでしょう。[PWAやAMPは]ランキングシグナルではないので、ページの役割やユーザー要素、検索クエリによって順位が異なるかもしれませんが、リンクをし合えばGoogleがサイトオーナーの代わりに判断を行えます。
更にPCサイトがあると素晴らしいですし、レスポンシブだと尚更良いです。レスポンシブでなければ、alternateリンクを設定します。モバイルファーストクローラーでおそらくPCよりPWAが優先されますが、PCのユーザーにはPCサイトを表示するかもしれません。そのあたり、サイトオーナーが気にしなくて良くするために、Googleが代わりに判断するようにしています。ただ、より多くのユーザーに該当するコンテンツに対して適切なカノニカルタグを設定し、Googleがユーザーが検索しているものに対してより適切な結果を出せるようにしましょう。
Almaer氏:
最近様々な検索関連ツールを個別で見るのではなく、連携を行う話題も出ています。例えば、Lighthouse、ページスピードインサイト、サーチコンソールなどが別々に存在しています。Chrome Dev Summitでは一部のツールの統合を発表しました。例えば、ページスピードインサイトが現在Lighthouseを使用しています。もう一つの事例ですが、Wayfair社では担当者がパフォーマンス(サイト速度)関連施策完了後に良い結果を維持するために活用できるパフォーマンスポータルを作成しました。一度予算を積んで、施策を行って良い結果を見たのちに、[サイトを放置し]パフォーマンスが段々落ちていくことは良くあります。Wayfair社がそのようにならないような素晴らしいパフォーマンス文化を作っています。そんなパフォーマンスレポートに更にSEOの要素を出せたら良いなと思いました。パフォーマンスとSEOの2つの世界を渡ってどちらの要素も見られるようにするにはどうすれば良いですか?
Splitt氏:
Lighthouseに既にいくつかのSEO診断項目が含まれています。更にSEOの観点からパフォーマンスが大事なため、サーチコンソールにもその要素がいくつか入っています。特にモバイルで、すごくロードに時間がかかるページより、ユーザーにコンテンツをより速く届けるページを優先したいです。外部ベンダーがSEO要素を確認したい場合、既にサーチコンソールはデータがパッケージ化されたツールとして活用できるかと思います。更に、現在サードパーティーのコンテンツプロバイダーやプラットフォームにサーチコンソールのデータを連携できるように取り組んでいます。例えば大手のCMSを使っている場合に、そのUIと別に馴染みのないサーチコンソールのUIを使ってもらうのは不便なので、サーチコンソールのデータをそのCMS内に表示できるようにしたいです。APIでサーチコンソールのクリック率、インプレッション数、クリック数やインデックス数などのデータを取得できるようにしたいと考えています。例えばIDE(統合開発環境)やWayfair社がやっているようなものになるかもしれません。まだ一般公開するには早いですが、将来的には使えるようにする予定です。
Almaer氏:
不明の要素もわかるようになりたいという話を聞きます。A、BやCをすれば、CLTVにどのような影響があるか?などです。パフォーマンス側でたまに見る例として、施策を行って改善したのに、指標の数字的には悪くなったというパターンがあります。検証環境ではスピードが上がっていて、目視でも明らかに速くなっているのに、なんで全体的に指標が悪化しているのか?そこで実は、リーチが変わり2Gネットワークや新しいマーケットのユーザーにもアプローチできるようになっていました。
新規顧客をたくさん確保できて、収益も上がって、今まで見ていた指標の平均値がもう役に立たなくなります。検索でも、次に優先すべき指標が何なのかをどのように決めれば良いですか?
Splitt氏:
サーチコンソールに既に存在する情報が役立つかと思います。例えばどのページが良くて、どのページが良くなかったかを確認できて、それの原因が技術的な部分にもコンテンツの部分にもある可能性があります。視界を少し広げて見ると良いです。例えば、Almaer氏が出した例の通り、特定の1つの指標だけを見ていれば悪化したことにしか気づかないですが、実はユーザー数が増えたので悪いことではないことがわかります。検索でも技術だけでなく、コンテンツ戦略も視界に入れて、全体的な視点から見ると同様なことが考えられます。皆さんが見ているツールにそのようなデータを表示できれば、コンテンツとその見せ方、ユーザーニーズへの応え方にも注意するべきということがわかるようになるかもしれません。技術者でも、コンテンツの見せ方によってページがどれぐらい表示されて、順位が何位ぐらいか、検索結果からどれぐらいクリックされているかなどを見るべきかと思います。このような情報をより多くの人に届けたいと思います。
Almaer氏:
最近Web Componentsが話題になっています。更に新しいWeb Componentのvirtual-scrollerをリリースしました。開発者がずっとDOMで活用できるウェブ版のUITableViewを望んできましたので、この機能でニーズに応えられると思います。ただ、SEOにはどの影響があるか?バーチャルな動作なので、検索エンジンがそれを解釈できるか?パフォーマンスを向上させつつ、SEOを取りこぼさないためにはどうしたら良いですか?
Splitt氏:
ブラウザーチームとSEOチームは一緒に動いていて、SEOチームがウェブプラットフォームを利用して、ブラウザーを動かしているとも言えます。そのため、Web Componentsやvirtual-scrollerも視界に入れています。最近遅延読み込みのヘルプも出していますし、この機能はとても素晴らしいと思います。
しかし、Web Componentsは注意すべき機能であり、既に一部ガイドラインでカバーされていて、今後更に情報を追加する予定です。新しいWeb Componentsを作成する際、セマンティックに見えて実は厳密にセマンティックではなかったりします。例えばボタンに見えて、実はdivベースだったり、アクセシビリティ要素が失われたり、検索がセマンティックな部分を失っていたりします。現在、コンテンツ本体をLight DOMに配置し、Web ComponentsとShadow DOMはコンテンツの見せ方に使うことを推奨しています。Virtual-scrollerは特殊で見せ方だけでなく、コンテンツの取得と動作にも影響しますので、現在それが検索と共存できるように取り組んでいます。こちらの新しい機能は私たちにとってもとても嬉しい機能なので、ウェブマスターたちがそれらを気にせずに活用できるようにしていきたいです。
Almaer氏:
Web Componentsを活用して検索エンジンと、バーチャルアシスタントがどちらも解釈できるセマンティック情報を追加していく将来を楽しみにしています。購入の可能性をより広げて、バーチャルアシスタントがロングテールにも対応できるようになれたら良いと思います。ウェブサイトを作成する際、開発者は既に色々大変でウェブサイトで最新機能を使いつつ、パフォーマンスのための施策、見つけやすさのための施策、デジタルアシスタント用にも施策を行わなればならないとなると…将来的に [検索エンジンにもバーチャルアシスタントにも簡単に対応できるところまで]行けると思いますか?
Splitt氏:
意外と速いと思いますよ。既に構造化データマークアップを使用してページ内情報を提示することを推奨しています。それで検索エンジンだけでなく、ページをパースするどなたでもその情報を使用できます。標準化されたSchema.orgというフォーマットを使っていますので、Google専用のものではないですし、開発者にもデジタルアシスタントにももっと広く使われていくと良いと思います。そうしたら様々なセマンティック情報をパッケージ化して、Almaer氏が話したような[ロングテールの購入が可能な]エクスペリエンスで活用してウェブをよりパワフルにできるのではないかと思います。

(カメラに向けて)ほら、開発とSEOは敵にならなくても良いでしょう!

まとめ・感想

今回のお話は割と曖昧で視聴者の想像に任せられた部分が多かったと思いますが、Googleの検索がウェブの進化に合わせようとしていて、最新機能にも追い付いてきて、なるべくウェブマスターに負担をかけないように取り組んできていることがわかります。
また、サードパーティーのツールやCMSとの連携の話からも、サーチとバーチャルアシスタントの話からも、やはり将来的にウェブをサイロで考えず、より全体を見る視点から前に進む必要があると考えられます。

SEO Mythbustingシリーズ全体で多くのSEOの誤解が解けたとは厳密には言えないですが、聞く機会がないGooglebotの仕組みの話やGoogleのJavaScript、ウェブフレームワーク、ウェブの最新機能との相性の話、またGoogleの考え方について新しいことを知ることができたので、SEO担当者と技術者にとって見るべきシリーズになったと思います。

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