セールスフォースの継続成長のカギを握る「伴走型」SEM&ディスプレイ広告とは
2016年08月23日
ライター:寳 洋平

継続成長を続けるセールスフォース・ドットコム様(以下、セールスフォース)のデジタルマーケティングの取り組み方とは。デジタルマーケティングの担当者にお話をうかがいます。

はじめに――毎年130%の継続的成長をデジタルマーケティングで実現する

世界NO.1のCRMソリューションを提供するセールスフォースでは、毎年前年比130%の成長を目指してデジタルマーケティングを積極的に活用しています。
このデジタルマーケティングチャネルの成長を支えるため、アユダンテではPaid Search(=検索連動型広告、SEM)とDisplay(ディスプレイネットワーク広告)、Organic Search(自然検索)の3つのチャネルをメインに支援しています。ディレクター北本大介氏、小貫純一郎氏、吉川まり氏に取り組みについてお話をうかがいました。

デジタルマーケティング支援の領域とゴール

デジタルマーケティング支援の領域とゴール

課題:リードの「量」「質」両面の追求

寳:まずは御社がもたれていた課題についてお話いただけますか。

北本:セールスフォースにおけるデジタルマーケティングの目的は、新しい顧客を得るためのリードの獲得です。リードは「量」だけではなく「質」が求められます。そのために2つの指標を活用しており、現場では常にこの言葉が飛び交っています。
1つはValid Lead。フォームを入力して完了ページに到達した情報からスパムや重複などを除き、電話営業の部隊が確実に連絡の取れる有効なリードのことをさします。営業の稼働を支えるために、まずはこの確かなリードの数、つまり「量」を増やすことがデジタルマーケティングの大切な役割です。もう1つはPipeline(=商談金額)。デジタルマーケティングのチームでは、Pipelineは見込み顧客から発注いただけた場合の商談金額のことをさします。そもそもリードを獲得するのはビジネスに利益をもたらすのが目的であり、獲得したリードのPipelineの大きさによる「質」の評価もまた重要です。
このようにデジタルマーケティングのチームには、「量」を追求しながら同時に「質」の維持向上が求められており、これをクリアすることが課題としてありました。

実行施策:インタビューと伴走型広告運用

●行なった取り組み
2014年
  • インタビュー(マーケティング/営業/代理店担当者)
  • アカウントの分析と改善プランのドキュメント化
2015年~現在
  • 伴走型広告運用
  • Displayチャネルの強化
  • PDCAを支えるダッシュボード設計

■高いレベルで共通認識を持つ

寳:2014年秋、まずは過去アカウントの分析と、関係者へのインタビューを行うことからはじまりました。全体像をできるだけ正確にとらえるべく、インタビューでは直接の担当となるデジタルマーケティングの方に加え、日々見込み顧客と接しておられる営業の方や、広告を運用されている代理店担当者の方を含めて、詳しく話をうかがいました。
2015年からは御社のデジタルマーケティングのチームに加わるかたちで、戦略立案から広告運用まで、現場に深く携わらせていただくようになっています。

北本:基本的に週1回MTGをしていますが、それに加えて、平日ほとんど毎日対話していますね。まさに「伴走」していただいている。そのことで、今弊社が直面しているリアルな課題に対して迅速に解決するためのサポートをいただけていると考えています。

寳:ありがとうございます。現場では本当にさまざまな課題が生まれるので、リアルタイムでつぶしていく感じですね。取り組みが始まった当初、認識のずれをなくしたい、とよくおっしゃられていました。

北本:ええ、そこがいちばん重要だと思っています。目標を達成するために御社のようなパートナーへ助けを依頼しています。そのときお互いの認識がすこしでもずれてしまうとよいものはできないと考えていて、高いレベルで共通認識を持っていただくためにお願いしていました。何か一つずれると、次の別のものもずれてきてしまいますしね。

寳:2014年にアカウントの分析と改善プランのドキュメント化をした際、「できるかぎり言語化してほしい」とご依頼いただいて、通常のドキュメントからすると、相当文字量が多いドキュメントになったかと思います。くわしくお聞きしたインタビュー内容について詳細に言語化したことは、その後現場に入らせていただいてから視点を合わせることにも大変役立っています。

■目的から考える

寳:週1MTGの場では、例えばコンバージョンオプティマイザーの動きがどうであるとか、動的検索広告はこういう仕組みだからこうであるとか、広告についての議論になることも多いです。あるとき北本さんが「目的と手段を混同したくない」と話されて、ハッとしたことがありました。

北本:ええ、話しましたね。広告についての議論はもちろんするべきでしょうが、広告はあくまでも目的を達成するための手段でしかないので。目的からずれてしまうような議論をしすぎるのは違うという考えがあり、お伝えした記憶があります。

寳:正直、深く反省したんです。手段である広告プロダクトが詳細な機能を持っているので、専門領域を持つ人間が陥りがちなのでは と思います。
御社デジタルマーケティングにとっては、新しいリードを獲得することが目的ですよね。その「量」を増やす手段としてDisplayチャネルが有望であると位置付け、強化を行なってきたのが2015年からの取り組みの大きな点の一つだと言えます。

北本:ええ。Displayチャネルの役割が見えたことは大きかったですよね。成果に結びつくなかで、それまでSEMに多く割いていたコストをDisplayチャネルへも投資するようになり、ここ2年で大きく変わり、コスト配分は逆転しました。ディスプレイチャネルの拡大のなかで、DoubleClickにも取り組むようになりました。

■PDCAを支えるダッシュボード設計

寳:ビジネスとしては当然のことですが、リードは「量」だけではなく、「質」が求められます。ただ、正直なところ、広告の管理画面の数字だけで質を判断するのは難しいですね。

北本:そうなんです。冒頭で申し上げたように、獲得したリードのPipelineの大きさによる「質」の評価をしないとならないのとCVした方に営業が電話をかけるとき、本当に弊社の製品・サービスに関心を持っていただける方なのかどうかも「質」の評価としてあります。

寳:どちらも、広告の管理画面の数字だけでは判断を見誤ることになります。その解決を目指し、2016年に入ってから、Tableauを使ってOrganicチャネルにおける検索回数と流入回数データ、SEM・Displayチャネルにおける表示回数と流入回数データ、サイト内における行動データ、CRMデータをつなげて、リアルタイムで動きが見えるダッシュボード作りを進めています。

北本:広告を通じてのリードの質を評価することができるようになるのはもちろんですし、日々の異常にすぐ気づいて手を打つための、すばやい分析ができるツールとして機能することを期待しています。

結果:前年比130%以上の成長。その鍵は「同じ目線での伴走」

鍵は「同じ目線での伴走」
(写真はイメージです)

北本:2015年度のデジタルマーケティングは期初の目標である130%を上回る結果を残すことができました。成功の要因としてはやはり、アユダンテのみなさんと「綿密なコミュニケーション」ができていること、そして「同じ目線で伴走」していただけていることにあると思っています。あと、寳さんのように熱くコミットいただけるのは、めずらしいことだと思います。

寳:ありがとうございます。毎日活発に会話して本当に一緒に走っているので、私たちアユダンテのメンバーも御社デジタルマーケティングのチームと同じ目線に立って、成果を上げることにフォーカスできていると考えています。これからもどうぞよろしくお願いします。最後に小貫さん、吉川さんからも私たちに対して一言いただいて、結びとさせていただけますか。

セールスフォース・ドットコム マネージャー 小貫純一郎氏からの一言

「受け身のコンサルティング会社が多いなか、アユダンテさんは弊社デジタルマーケティングチームの要望に応えるだけではなく、プロアクティブに課題を提示し、チームの目標を達成するために本当に必要なことを追求してくれる最高のビジネスパートナーです」

セールスフォース・ドットコム 吉川まり氏からの一言

「アユダンテの皆様とのお仕事で一番感じるのは、同じ目標に向かって進むチームであるということです。スピード感のある意見交換、議論を経ての施策の実行と、日々の細やかなオペレーションなしには現在の成果はありません。深い知識と経験から多くを学ばせていただいています」


【会社プロフィール】

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社名:
株式会社セールスフォース・ドットコム / salesforce.com Co.,Ltd
事業内容:
クラウド・ソーシャル・モバイルのテクノロジーを企業で活用するためのクラウドアプリケーション及びクラウドプラットフォームの提供。製品としてSales Cloudがある。

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